アカガシラサギ(赤頭鷺、Ardeola bacchus)は、ペリカン目サギ科アカガシラサギ属に分類される鳥類。
分布
インドネシア(スマトラ島北部、ボルネオ島)、カンボジア、タイ、中華人民共和国南東部、台湾、日本、ベトナム、マレーシア、ミャンマー東部、ラオス
夏季に中華人民共和国中東部で繁殖し、冬季になると東南アジアへ南下し越冬する。英名Chineseは中華人民共和国で繁殖する事に由来する。中華人民共和国南部では周年生息する。日本では冬季に越冬のため主に南西諸島に少数飛来(冬鳥)する。兵庫県神戸市でも越冬記録がある。まれに渡りの途中に飛来(旅鳥)し、秋田県、熊本県、千葉県では繁殖例がある。
形態
全長42-45cm。翼開張75-90cm。腹部は白い羽毛で被われる。尾羽や翼の色彩は白い。
嘴の色彩は黄色く、先端が黒い。後肢の色彩はオレンジがかった黄色や黄緑色。
夏季は頭部から頸部が赤褐色、胴体上面は青みがかった灰黒色、胸部が紫褐色の羽毛で被われ(夏羽)、和名の由来になっている。冬季は頭部から頸部、胸部、胴体上面が黒褐色の羽毛で被われ、淡褐色の縦縞が入る(冬羽)。
生態
河川、湖沼、湿原、干潟、水田などに生息する。夜行性。
食性は動物食で、魚類、甲殻類、水生昆虫、両生類などを食べる。
繁殖形態は卵生。集団繁殖地(コロニー)を形成する。しばしば他種と混成でコロニーを作る。雄が巣材を集め、雌が竹林などの樹上に巣を作る。1腹3-6個の卵を産み、抱卵期間は18-22日である。抱卵、育雛とも雌雄共同で行う。雛は孵化後約30日で飛べるようになるが、その後6日程の間は親から給餌される。
人間との関係
種小名bacchusはローマ神話の酒神「バッカス」の意で、夏羽の色彩が赤ワインを連想させる事に由来する。
画像
関連項目
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参考文献
- 安部直哉 『山溪名前図鑑 野鳥の名前』、山と溪谷社、2008年、20頁。
- 桐原政志 『日本の鳥550 水辺の鳥』、文一総合出版、2000年、79頁。
- 黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科7 鳥類I』、平凡社、1986年、179頁。
- 高野伸二 『フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版』、日本野鳥の会、2007年、110-111頁。
- 中村登流監修 『原色ワイド図鑑4 鳥』、学習研究社、1984年、130、170頁。
- 真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年、65頁。
- 『小学館の図鑑NEO 鳥』、小学館、2002年、24頁。
- 叶内拓哉 『山溪ハンディ図鑑7 日本の野鳥』、山と溪谷社、1998年
- 『世界の動物|分類と飼育 コウノトリ目+フラミンゴ目』、財団法人東京動物園協会、1985年、28頁
外部リンク