アマツバメ科
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ヨーロッパアマツバメ Apus apus
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分類
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アマツバメ科(雨燕科、アマツバメか、Apodidae)は、鳥綱アマツバメ目に属する科。模式属はアマツバメ属。
分布
高緯度地方や海洋島を除いた全世界。
形態
多くの種は尾羽が短い。翼は非常に細長く、腕指骨や指骨も長いため飛翔時には三日月状や鎌状に見える。
嘴は小型だが、口は大型。地上に降りるのは断崖・樹洞などの垂直面に営巣・育雛するときだけで、頭部を上に向けてぶらさがるように止まる。歩くことはほとんどない。そのため趾の4本すべて前方に向いて、非常に小型で湾曲した鋭い爪が生えている。体内には大量の脂肪が蓄えられ、これにより数日間であれば絶食にも耐えることができる。これは高空での獲物の量に変動が大きいことに対する適応と考えられている。
卵は白い殻で覆われる。
分類
形態の酷似した種が多く同定が難しいため、構成種は約70-100種と変動が大きい。
アマツバメ属 Apus
Chaetura
Collocalia
Cypseloides
ハリオアマツバメ属 Hirundapus
Panyptila
Schoutedenapus
Tachornis
生態
主に高空に生息する。睡眠時も高空で短時間の睡眠と滑空を繰り返していると考えられている。交尾も飛翔中に行う。地表や樹上などの水平面に下りることは無く、また水平面から飛翔することはできない。
食性は動物食で、主に昆虫を食べる。多くの場合は高空を飛翔しながら口を大きく開け、飛翔している獲物を捕食する。雨天時には獲物が高空にいなくなったり低空に集まることから、雨が降っている地域から別の地域へ移動したり逆に低空に現れることもある。
繁殖形態は卵生。雌雄で断崖や洞窟、樹洞に草や木の葉、羽毛などを唾液で固めた多くの種では皿状の巣を作り、卵を産む。
人間との関係
建築物に巣を作る種もいる。
一部の種は唾液腺分泌物で造られた巣が食用とされることもある(燕の巣)。
開発による生息地の破壊、人為的に移入された動物による捕食などにより生息数が減少している種もいる。
関連項目
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アマツバメ科に関連するカテゴリがあります。
参考文献
- 安部直哉 『山渓名前図鑑 野鳥の名前』、山と渓谷社、2008年、40-41頁。
- 五百沢日丸 『日本の鳥550 山野の鳥 増補改訂版』、文一総合出版、2004年、100-103頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ6 アフリカ』、講談社、2000年、189頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ5 東南アジアの島々』、講談社、2000年、180-181頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ3 中央・南アメリカ』、講談社、2001年、213-214頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ8 太平洋、インド洋』、講談社、2001年、101、208-209頁。
- 黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科7 鳥I』、平凡社、1986年、102-105頁。
- 高野伸二編 『山渓カラー名鑑 日本の野鳥 特装版』、山と渓谷社、1985年、353頁。
- 高野伸二 『フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版』、日本野鳥の会、2007年、218-219頁。
- 中村登流監修 『原色ワイド図鑑4 鳥』、学習研究社、1984年、55頁。
- 真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年、375-377頁。
- 『小学館の図鑑NEO 鳥』、小学館、2002年、82-83頁。