オオバキスミレ (大葉黄菫、学名 : Viola brevistipulata subsp. brevistipulata var. brevistipulata または Viola brevistipulata )は、スミレ科 スミレ属 の多年草 の一種。積雪量の多い日本海側 の山地に広く分布する日本の特産で、変種が多い。若葉は山菜 として利用できる。
名称
和名の由来は、他のスミレと比べて葉が大きく黄色の花であることによる[ 3] 。フランス のフランシェとサバチェが白山 で採取したものを基準標本 とし、Viola pubescens var. brevistipulata と命名されたが、1916年 にドイツ のベッカーにより独立種 Viola brevistipulata とされた[ 4] 。
分布・生育地
北海道 南西部から本州近畿地方 以北の日本海側(多雪地域)の山地帯から亜高山帯 に分布する。原野や山麓、林縁、草地、河岸など、日当たりのよい場所、樹陰のいずれにも自生する。
形態・生態
多年生の草本。横に長く這う地下茎 があり、地下茎の先端から新芽が生える。地上茎は直立して高さ10 - 30センチメートル (cm) ほどになる。地上茎の基部から伸びる心形の根生葉 (1、2枚)と、地上茎の上部につく広卵状形の茎葉(3、4枚)があり、長さは2 - 8 cmで葉身の先は尖る。葉の縁は、ギザギザの形状。
花期は5 - 6月ごろ。茎の上部に直径1.5 cmほどの黄色の花を1 - 3個つける。黄色い花弁には、紫色の線が入っている。
種の保全状況評価
日本の以下の都道府県 で、レッドリスト の指定を受けている[ 5] 。
利用
新芽や開花前の茎葉を山菜 として食用にする。採取時期は4 - 5月ごろが適期とされ、茎葉だけを摘み取り、資源保護のため根こそぎ取らないようにする。花後の茎葉も、多少かたいが利用することができる。摘んだ若芽や茎葉はさっと茹でて水にさらし、ごま やクルミ 、マヨネーズ などの和え物 、おひたし 、酢の物 などにしたり、生のまま天ぷら 、卵とじ、サラダ にする。
近縁種
本種は、以下のような多くの変種 と亜種 があるが、中間型のものもあり分類には多説ある。
ミヤマキスミレ (深山黄菫 学名:Viola brevistipulata var. acuminata )、オオバキスミレ亜高山帯、草地
フギレオオバキスミレ (斑切大葉黄菫 学名:Viola brevistipulata var. laciniata )、北海道南西部の亜高山帯
フチゲオオバキスミレ (縁毛大葉黄菫 学名:Viola brevistipulata var. ciliata )、北海道南部と北日本の太平洋側
ナエバキスミレ (苗場黄菫 学名:Viola brevistipulata var. kishidae )、飯豊山地 から苗場山 、北アルプス 北部にかけての山地帯~亜高山帯
ダイセンキスミレ (大山黄菫 学名:Viola brevistipulata var. minor )、大山 周辺
エゾキスミレ (蝦夷黄菫 学名:Viola brevistipulata ssp. hidakana )、北海道のアポイ岳 など
米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)によれば、オオバキスミレの項に「韓国から本種の3変種 var. brevistipulata (털노랑재비꽃) ; var. minor (한라털노랑재비꽃) ; var. laciniata (오대털노랑재비꽃) が報告されているが、これらは全て V. mueldorfii に当るものと見て間違いないと思う」と注釈をつけている[ 1] 。
以下の似た種がある。高山帯のスミレには、黄色の花を咲かせる種が多い[ 7] 。
脚注
参考文献
外部リンク
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