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カミング・アウト とは、カミングアウト・オブ・ザ・クローゼット (英 : coming out of the closet )という、自らの性的指向 、恋愛的指向 、性自認 を自己開示 することを表す言葉。カミングアウト と表記されることも多い。
「カミング・アウト(coming out)」はデビューする、世に出る、単に秘密を公言・公表することなどを一般的に広く用いられる言い回し。「外に出てくる、出かけてくる」「姿を現す」、「新しい映画が公開される」、そういった「表に出ていない状態から表に出ている状態への移行」が広く、coming outという言葉が用いられる[1] 。ただし、ここでは「カミング・アウト・オブ・ザ・クローゼット」の略の意味のみについて記述する[2] 。
動詞形 では、「come out as 〜」として用いられる[1] 。自身(当人)ではなく、他者がこれらを暴露することをアウティング (英 : outing )という[3] 。
語源
語の本来の意味はデビューする、世に出ることである。
秘密にしていた自らの出自や性的指向を公にするという意味は、同性愛 者が家族や親友や職場や社会から同性愛者であることを隠すために、異性愛 者として振る舞っていたことに由来する。この「真の自分を押し込め、暗く抑圧された窮屈な状態」のことをアメリカ の同性愛者の間では「押入れ (クローゼット )の中にいる」と比喩されていた[要出典 ] 。そこから、「(真の自分を押し込んでいた)クローゼットの中から出て真の姿を開放する」という意味でクローゼットから「カミングアウト」という用語がアメリカのゲイ社会で生まれた[要出典 ] 。
概要
欧米では基本的に同性愛者 が使う表現であるが、日本においては薬害エイズ 問題に絡んで、同性愛者ではない者がHIV感染者であることを表明するケースが最も代表的であったため、C型肝炎 やアトピー性皮膚炎 、アルコール依存症 などの持病を明かすことや、さらには被差別部落出身者 や被爆者 の子孫であることなど、その出自を明らかにすることを「カミングアウト」と表現することも多い[要出典 ] 。このほか、出自や体質あるいは病気以外に、ベジタリアン 、異性装 、性産業 従事など世間体のうえで詳らかにしにくい趣味・嗜好・習慣・過去を持つことなど、自身の価値観を告白する場合にも用いられることもある。
本来は、レズビアンやゲイが自己の性的指向を家族、友人、同僚などに明かせず心理的に悩んでいる状況を「押入れに閉じこもっている」と比喩し、そこから「coming out of the closet(カミング・アウト・オブ・ザ・クローゼット)」(押入れから出てくる)が短縮された言葉である。よって、社会に対して自分が同性愛者であることを「表明」する行為というより、自分の家族や学校、職場の友人、同僚、知り合いに自分が同性愛者であることを「打ち明ける」・「告白」するという意味が強い。よって、単に自身の性的指向等を告げるだけではなく、打ち明けた相手との新しく肯定的な関係を築くための過程を含めてカミングアウトと呼ぶこともある。欧米では、例えば家族に黙って新しい宗教 (イスラム教 など)に改宗していたり、薬物依存 であったり、あるいは大学をこっそり中退している場合にその事実を家族に告白する場合にカミングアウトの表現が使われるのもこのためである。また、友人の間ではアウトであるが家族にはまだアウトしていない、逆に家族、友人にはアウトしているが職場ではアウトしていないなどの場合も存在する。芸能人がゲイあるいはレズビアンであることをマスコミ などに表明する場合は、このカミングアウトの延長であると見なされる[要出典 ] 。
歴史
アメリカでは、初期にエイズ が同性愛者の間で蔓延したため、エイズに感染した同性愛者がほとんど仕方なしに家族にエイズ感染と自分が同性愛者であることをカミングアウト・告白するということになった。これにより拒絶されたり、逆にあるがままの自分を受け入れられたりと経験はさまざまであった。また、著名な芸能人の幾人かがこれにより同性愛者であることとエイズ感染を表明することになり、カミングアウトという観念が同性愛者の間だけでなく社会一般にも認識されるようになった[要出典 ] 。
同性愛以外にも、性同一性障害 の概念が知られるようになると、性別を超えて自分の好きな服装や生活、更にはジェンダー に沿った肉体を手に入れるためにカミングアウトする人も出るようになり、これらに関しても、一定の理解が寄せられるようになってきている[要出典 ] 。
しかしその一方で、社会の偏見やそれに基づく差別により、カミングアウトにより社会的地位を喪失したり、他人から迫害される、地域コミュニティ から排斥されるなどの弊害が起きることも多く、人権問題や雇用問題と絡んで、係争中のケースも少なくはない[要出典 ] 。
被カミングアウト側の負担・人間関係変化
準備不足や勢いに任せたカミングアウトをしてしまったときは、受け手側から期待とは異なる反応が起きてしまう[4] 。「カミングアウト」の中でも、性的に好きな異性愛者へ、特に共通 の知人・友人らがいる異性愛者 へ性的に好き(恋愛感情 )伝える際、父母や子女など親族に伝える際、既婚 時の配偶者 や姻族 に伝える際には、これらのケースだと人間関係に大きな変化を生む傾向にある[5] 。異性愛者間のケース だと単に友人や知人と思っていただけの人から性的に好きだと告白された後から避けるようになり、周囲に何故関わり方が変わったかを問われた際に「告白されたから」と理由を明かしても問題にはならない。しかし、異性愛者への好意を含んだカミングアウトの際には、距離を置かれたりするだけでは留まらず、避けるようになった理由を周囲 に問われたり、批判された被カミングアウト側が非難や詰問に耐えきれず、(相手から)好きだと言われたからだと周囲に明かすこと、つまりアウティングが起きるからである[5] [3] 。例として、一橋大学アウティング事件 はロースクール の同級生である同性愛男子学生Aからのカミングアウトと恋愛感情告白を受け「Zくん」は、「おう。マジか。正直言うと、びっくりしたわ。Aのことはいい奴だと思うけど、そういう対象としては見れない。付き合うことはできないけど、これからもよき友達でいて欲しい。これがおれの返事だわ」と断った。そして、Aから食事や遊びなど誘いの連絡が来るたびに差し障りのない拒否的な返事をしていたのに続く連絡、授業準備中に親しげに話しかけてくること、自身の腕や肩に触れてきたことも不満に感じ、「Zくん」は「Aくん」のために精神的に不安定になり睡眠が取れなくなっていった。「Zくん」は、「Aくん」を避けるために、二人と「共通の友人たち」とも距離を置きだした。しかし、自分たちを避けるようになった理由を「二人の事情を知らない同級の友人ら」から問われるようになっていた。「告白」から約3ヶ月後に、Aくんも含めたロースクールのクラスメイト9人で作るLINEグループに「おれもうおまえがゲイであることを隠しておくのムリだ。ごめん」と投稿したこ。Zくんは、「友達に自分の状況 をわかってもらうためには、こうするしかなかった。」とし、アウティングには正当な理由があったので違法ではない、と裁判で主張している[3] 。
peco はryuchell のから結婚して子供を持った後に「男性が好き」とカミングアウトを受けた際に[6] [7] [8] 、本当に衝撃を受け、何回も泣き[8] 、人生で初めての食欲が無くなる自体が起き、最終的に8キロの減量となったことを彼の死後に明かした。彼女は、「どんなに体調が悪くてもごはんは食べられていたし、嫌なことがあったら食に走るほうだった。朝ごはん を残すということを初めて経験しました。」と振り返っている[6] 。
脚注
関連項目