ギリシャ空軍(ギリシャくうぐん、ギリシア語: Ελληνική Πολεμική Αεροπορία)は、ギリシャ軍を構成するギリシャの空軍組織である。ギリシャ国防省(英語版)の管轄下に置かれている。
概要
設立期
ギリシャで最初の航空部隊は、フランスの支援のもと1911年に設立された。6 人のギリシャ軍人がフランスへ訓練に送られ、その後4機のファルマン[要曖昧さ回避]機が発注された。
最初のギリシャ人飛行家となったエマヌエル・アルギュロポウロスは、1912年2月8日にニューポール IV.G戦闘機で最初の飛行に成功した。また、デメトリオス・カムベロス中尉は最初の軍事任務をこなした。カムゲロスはまた、6月にはファルマン水上機「ダエダロス」号に乗って水上離陸に成功し、海軍航空隊を発足させた。9月には、ギリシャ陸軍が最初の航空隊となる航空中隊(Λόχος Αεροπόρων)を発足させた。
実戦への参加
ギリシャ空軍は、バルカン戦争、第一次世界大戦、希土戦争、第二次世界大戦に参加した。また、度重なる内戦やクーデターでも一定の影響力を持った。
当初は陸軍航空隊と海軍航空隊は別個に存在していたが、1930年に航空省が発足するとその管轄下におかれる空軍に統合され、陸・海軍に続くギリシャ第3の軍隊となった。1931年には、空軍アカデミーであるイカロン学校が開校した。
戦間期における機材は、初期にはスパッド S.VIIのような第一次世界大戦期の航空機、中期以降はポーランド製のP.24やフランス製のMB.151、ドイツ製のDo 22などが運用された。
第二次世界大戦初期の1940年には侵攻したイタリア軍を首尾よく撃退したが、翌1941年4月にはナチス・ドイツ軍によってギリシャ空軍は壊滅した。空軍は中東方面でイギリス空軍の1飛行隊として再建され、スピットファイアやハリケーン、ボルティモアを運用した。
1944年にはイギリス軍が上陸し、ギリシャはドイツ軍を撃退した。しかし、ギリシャ国内は各派が争って混乱を極め、そのままギリシャ内戦に突入した。
戦後
1950年代、軍は再建と北大西洋条約機構(NATO)標準への再編成を行った。ギリシャ空軍は朝鮮戦争に参加し、1 部隊が輸送任務を行った。ギリシャは2001年までNATOの核戦力の一端を担ったが、核攻撃に際してはアメリカ合衆国より給与されるB61核爆弾をA-7 コルセア II若しくはF-104Gによって投下する予定であった。1980年代末まで、空軍はアメリカ合衆国より給与される核弾頭を装備できるナイキ・ハーキュリーズ地対空ミサイルを運用した。
トルコとの間断なき緊張関係の末、1974年にはトルコ軍がキプロス島に侵攻した。キプロス紛争では、ギリシャ空軍機とトルコ空軍機との間で空中戦も発生した。アメリカ合衆国は核兵器をギリシャやトルコから撤去し、実戦に使用される不安を除去した。ギリシャはこれをNATOによるトルコ擁護策だとして批判し、1974年から1980年まで自国軍をNATO軍の指揮下から外す措置をとった。
その後、ギリシャはNATOとの関係を修復し、1981年には欧州共同体(EC)の10番目の加盟国となった。空軍ではF-4EファントムIIやミラージュ2000、C-130ハーキュリーズなどの新型機材の導入を進め、隣国の中でも能力の高い機材を保有する軍隊へと成長していった。最新の機材は、フランス製の戦闘機ミラージュ2000-5やアメリカ製のF-16Cブロック52+の他、2020年9月にはフランス・ダッソー製のラファール戦闘機を18機導入する計画を発表した[1]。また、F-4Eは「ピース・イカロス」計画のもと自国で近代化改修され、F-4E PI2000となった。防空ミサイルでは、9K331「トール」やS-300という旧東側製の機材も運用している。
なお、世界でも珍しく農業機部隊を保有している。発展途上国や(空軍ではないが)アメリカ麻薬取締局などでは麻薬対策として(除草剤を麻薬植物の畑に強行散布する)保有しているケースはあるが、ギリシャ空軍は専ら民生用に用いており、グラマン アグキャットやPZL M-18ドロマデルを装備している。
組織
管理組織
戦力
- ギリシャ空軍参謀
- 戦術訓練司令部
- ラリサ空軍作戦センター
- 第110戦闘航空団
- 第111戦闘航空団
- 第330戦闘迎撃飛行隊
- 第341戦闘爆撃飛行隊
- 第347戦闘爆撃迎撃飛行隊
- 第114戦闘航空団
- 第115戦闘航空団
- 第116戦闘航空団
- 第117戦闘航空団
- レーダー部隊
- 第1空域管制センター
- 第2空域管制センター
- 第3空域管制センター
- 戦闘群
- 第126戦闘群
- 第130戦闘群
- 第131戦闘群
- 第132戦闘群
- 第133戦闘群
- 第134戦闘群
- 第135戦闘群
- 第138戦闘群
- 第350誘導ミサイル連隊
- 第21誘導ミサイル中隊
- 第22誘導ミサイル中隊
- 第23誘導ミサイル中隊
- 第24誘導ミサイル中隊
- 第25誘導ミサイル中隊
- 第26誘導ミサイル中隊
- 整備小隊
- 特別部隊
- 第380早期警戒飛行隊
- 航空作戦センター
- 戦術兵器学校
- 航空写真解析センター
- 第140電子戦中隊
- 空軍支援司令部
- 第112戦闘航空団
- 第31特殊戦飛行隊
- 第353海洋偵察飛行隊
- 第352要人輸送飛行隊
- 救急ヘリコプター部隊
- 戦術輸送飛行隊
- 第354戦術輸送飛行隊
- 第355戦術輸送飛行隊
- 第356戦術輸送飛行隊
- 捜索救難飛行隊
- 第113戦闘航空団
- 第129支援航空団
- 第206空軍インフラ航空団
- 第201空軍補給処
- 第204弾薬補給処
- 石油配給部隊
- 空軍訓練司令部
- 空軍アカデミー
- 第120訓練航空団
- 第361航空訓練飛行隊
- 第362航空訓練飛行隊
- 第363航空訓練飛行隊
- 第364航空訓練飛行隊
- 海上サバイバル訓練学校
- 防空要員訓練センター
- 第124基礎訓練連隊
- 第1士官訓練中隊
- 第2士官訓練中隊
- 第3士官訓練中隊
- 局地防衛訓練中隊
- 空軍幕僚大学
- 空軍戦術下士官アカデミー
- 空軍管理下士官アカデミー
- 空軍無線航空士アカデミー
- 第128情報航空電子機器訓練小隊
階級
士官
- OF-9 大将 (Πτεραρχος)
- OF-8 中将 (Αντιπτεραρχος)
- OF-7 少将 (Υποπτεραρχος)
- OF-6 准将 (Ταξιαρχος)
- OF-5 大佐 (Σμηναρχος)
- OF-4 中佐 (Αντισμηναρχος)
- OF-3 少佐 (Επισμηναγος)
- OF-2 大尉 (Σμηναγος)
- OF-1 中尉 (Υποσμηναγος)
- OF-1 少尉 (Ανθυποσμηναγος)
准士官
下士官
- OR-8 上級曹長 (Αρχισμηνιας)
- OR-7 曹長 (Επισμηνιας)
- OR-6 軍曹 (Σμηνίας)
- OR-5 伍長 (Υποσμηνίας)
兵
- OR-4 無し
- OR-3 1等空兵 (Εφεδρος Σμηνιας)
- OR-2 無し
- OR-1 2等空兵 (Σμηνιτης)
装備
戦闘機
電子戦機・早期警戒機・対潜哨戒機など
練習機
回転翼機
ギャラリー
-
-
P.24戦闘爆撃機
-
-
C-130ハーキュリーズ輸送機
-
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-
F-104Gスターファイター戦闘機
-
F-4EファントムII戦闘機
-
F-16Dファイティングファルコン戦闘機
-
ミラージュ2000EG戦闘機
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脚注
出典
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
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