クイナ科
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クイナ Rallus aquaticus
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分類
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クイナ科(クイナか、Rallidae)は、鳥綱ツル目に属する科。鳥類の中でも飛翔力を失いやすいことで知られ、飛ばない種が出現しやすい[1]。特に島嶼において絶滅した種が多い[2]。
分布
アフリカ大陸、北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、ユーラシア大陸、インドネシア、オーストラリア、ソロモン諸島、日本、ニュージーランド、パプアニューギニア、フィリピン、マダガスカル
形態
尾羽は短く、角張るか丸みを帯びる。尾羽の枚数は6-16枚。翼は短く丸みを帯びる。初列風切は主に10枚、次列風切は10-20枚。繁殖後に風切羽が生え換わり、一時的に飛翔できない期間がある。
体型は側扁する種が多く、これにより茂みの中を移動することに適している。一部の種では上嘴から額にかけて肉質(額板)で覆われる。頸部は短いかやや長い。胸椎は癒合しない。後肢は頑丈で、やや長い。趾は長く、第1趾は第2-4趾よりも上方にある。
分類
原始的なウロコクイナ亜科とその他すべての種を含むクイナ亜科に分類されるが、亜科を分けていないことも多い。分類については諸説あり、古くは52属に分類されていたが年代がたつにつれて整理されて、現在では17属から36属程度の間で分類されているのが普通である。ここではRipleyが1977年に分類したものを主に参考にして表示した。
ウロコクイナ亜科 Himantornithidae
クイナ亜科 Rallinae
生態
湿原、草原、森林、湖沼などに生息する。多くの種は単独で生活するが、一部の種は群れを形成して生活する。渡りを行わない種が多い。
食性は雑食(一部の種は植物食)で、昆虫、両生類、鳥類の雛、小形哺乳類、果実、種子などを食べる。
繁殖形態は卵生。多くの種で婚姻形態は一夫一妻で、多くの種で繁殖期ごとにペアが解消される。樹上や茂みに植物の葉などで巣を作るが、水生植物の間や浅瀬に植物の葉や石を積み上げた巣を作る種もいる。雌雄交代で抱卵する種が多い。雛は孵化してから数日で巣から離れるようになる。雌雄共に育雛を行う。
人間との関係
開発による生息地の破壊、食用の乱獲、人為的に移入された動物による捕食、植物による植生の変化などにより生息数は減少している種もいる。
画像
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マメクロクイナ
A. rogersi
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オオバン
F. atra
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バン
Gallin. chloropus
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セイケイ
Porp. porphyrio
出典
参考文献
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『レッド・データ・アニマルズ6 アフリカ』、講談社、2000年、87、184-185頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』、講談社、2000年、98-99、197頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『レッド・データ・アニマルズ4 インド、インドシナ』、講談社、2000年、93、176頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『レッド・データ・アニマルズ5 東南アジアの島々』、講談社、2000年、160-162頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『レッド・データ・アニマルズ3 中央・南アメリカ』、講談社、2001年、69、190-192頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『レッド・データ・アニマルズ8 太平洋、インド洋』、講談社、2001年、85、189-192頁。
- 桐原政志 『日本の鳥550 水辺の鳥』、文一総合出版、2000年、165-176頁。
- 黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科7 鳥I』、平凡社、1986年、164-167、184-185頁。
- 高野伸二 『フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版』、日本野鳥の会、2007年、122-127頁。
- 真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年、199-207頁。
- 『小学館の図鑑NEO 鳥』、小学館、2002年、48頁。
- 黒田長久、森岡弘之監修 『世界の動物 分類と飼育10-II (ツル目)』、東京動物園協会、1989年、45-86、159-167頁。
- 『動物たちの地球 18 タンチョウ・ヤンバルクイナ・バンほか』、朝日新聞社、1991年、178-184頁、192頁。
- フェドゥシア, アラン 著、小畠郁生・杉本剛 訳『鳥の時代』思索社、1985年、191頁。ISBN 4-7835-0129-7。
関連項目
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