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セセリチョウ科 (セセリチョウか、Hesperiidae )はチョウ目 (鱗翅目)セセリチョウ上科内のひとつの分類単位。またセセリチョウ (挵蝶)はセセリチョウ科に含まれる蝶の総称ないし俗称(セセリチョウを標準和名とする蝶はいない)。
アゲハチョウ上科 (典型的なチョウ)やシャクガモドキ上科と共に、チョウ (Rhopalocera ) に分類される。
セセリチョウと花
特徴
他のチョウ(特にアゲハチョウ上科)との違いには以下のようなものがある。
触角 はアゲハチョウ上科の特徴である棍棒状とも言えるが、典型的な棍棒状ではなく、先端が鉤状に尖り後方に反り返っている。2本の触角の根元は大きく離れている。
前翅の翅脈 は全て中室 から出て、途中で分岐しない。アゲハチョウ上科では分岐する。
胴体が太く短く、頭部が大きく、翅が小さく、脚が短い。全体的にずんぐりした体型である。
胴部が太いのは、翅 を動かすための胸部の筋肉 が多いからで、羽ばたきと飛行は素早く力強い。アゲハチョウ上科の「ヒラヒラ」と形容される飛び方とは異なるため、昆虫に詳しくない人はガ と勘違いしていることも多い。
小型から中型。大型種はいない。
幼虫 には食草の葉を巻く・折り曲げる等して巣 を作るものが多く、巣の中で体の向きを変えやすいよう、頭部が細い。
昼行性 と夜行性 の中間で、主に早朝や夕方の薄明時に飛ぶ。
分類
セセリチョウ上科セセリチョウ科に分類される。セセリチョウ上科はセセリチョウ科のみが属する単型 である。
7亜科、567属、4000種に分類され、7亜科のうち2亜科はいくつかの族 に分けられる (Warren et al . 2008[ 2] ; 2009[ 3] )。
種のうち半分以上は南米 産。日本には4亜科37種がいる。
アオバセセリ亜科 Coeliadinae Evans, 1937
アオバセセリ 、オキナワビロウドセセリ 、キバネセセリ 、タイワンアオバセセリ 、テツイロビロウドセセリ など
チャマダラセセリ亜科 Pyrginae Burmeister , 1878
オナガセセリ亜科 Eudaminae Mabille , 1877
日本にはいない - オナガセセリ
ラッフルズセセリ亜科 Euschemoninae Waterhouse[ 4] & Lyell , 1914
オーストラリア に1種のみ - ラッフルズセセリ
チョウセンキボシセセリ亜科 Heteropterinae Aurivillius , 1925
カラフトタカネキマダラセセリ 、ギンイチモンジセセリ 、タカネキマダラセセリ など
キマドセセリ亜科 Trapezitinae Waterhouse[ 5] & Lyell , 1914
オーストラリアに分布
セセリチョウ亜科 Hesperiinae Latreille , 1809
Erionotini は不確実なグループで、Warren et al. は族として認めず incertae sedis (族不明)としているが、しばしば Erionotini と呼ばれる。
かつては、オナガセセリ亜科とラッフルズセセリ亜科をチャマダラセセリ亜科に含めることが多かった。また、以下のような亜科を認めることもあった。
オオトガリセセリ亜科 Pyrrhopyginae Mabille , 1877
南米 に分布。Tamyrididae Burmeister , 1878 とも。現在はチャマダラセセリ亜科オオトガリセセリ族 Pyrrhopygini 。
イトランセセリ亜科 Megathyminae Comstock & A.B.Comstock , 1895
北米 ・中米 に分布。現在はセセリチョウ亜科Erionotini の一部。
系統
これらの系統関係は以下のとおり (Warren et al . 2008)。チャマダラセセリ亜科の単系統性は疑わしく、所属する族がばらばらに表れている(アオバセセリ亜科とオナガセセリ亜科の間の7つの族)。
種の保全状況評価
本科の多数の種が国際自然保護連合 (IUCN)により、軽度懸念 (LC)の指定を受けている[ 6] 。
本科の多数の種が、日本の環境省 と各都道府県 でレッドリスト の指定を受けている[ 7] 。
おもな種の画像
脚注
^ “Hesperiidae Latreille, 1809 ” (英語). ITIS . 2012年5月29日 閲覧。
^ Warren, A. D.; Ogawa, J. R.; Brower, A. V. Z. (2008), “Phylogenetic relationships of subfamilies and circumscription of tribes in the family Hesperiidae (Lepidoptera: Hesperioidea)” , Cladistics 24 : 642–676, http://www.butterfliesofamerica.com/docs/warrenetal-Cladistics.pdf
^ Warren, A. D.; Ogawa, J. R.; Brower, A. V. Z. (2009), “Revised classification of the family Hesperiidae (Lepidoptera: Hesperioidea) based on combined molecular and morphological data”, Systematic Entomology 34 : 467–523
^ ジョージ・ロバート・ウォーターハウス (1810-1888)哺乳類、昆虫学、またはチャールズ・オーウェン・ウォーターハウス (1843-1917)昆虫学者(甲虫類)またはグスタヴァス・アソール・ウォーターハウス (1877-1950)昆虫学者(オーストラリアの蝶類など)
^ ジョージ・ロバート・ウォーターハウス (1810-1888)哺乳類、昆虫学、またはチャールズ・オーウェン・ウォーターハウス (1843-1917)昆虫学者(甲虫類)またはグスタヴァス・アソール・ウォーターハウス (1877-1950)昆虫学者(オーストラリアの蝶類など)
^ “Hesperiidae in IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.2. ” (英語). 国際自然保護連合(IUCN) . 2012年5月29日 閲覧。
^ “日本のレッドデータ検索システム(セセリチョウ科) ”. エンビジョン環境保全事務局. 2012年5月29日 閲覧。
参考文献
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
セセリチョウ科 に関連するカテゴリがあります。