チオペンタール
チオペンタール
IUPAC命名法 による物質名
(RS )-[5-ethyl-4,6-dioxo-5-(pentan-2-yl)-1,4,5,6-tetrahydropyrimidin-2-yl]sulfanide sodium
臨床データ Drugs.com
monograph 法的規制
薬物動態 データ半減期 5.5[ 1] -26 時間[ 2] データベースID CAS番号
71-73-8 (ナトリウム塩) 76-75-5 (遊離酸) ATCコード
N01AF03 (WHO ) N05CA19 (WHO ) PubChem
CID: 3000714 IUPHAR/BPS (英語版 )
2579 DrugBank
DB00599 ChemSpider
2272257 UNII
49Y44QZL70 KEGG
D00714 ChEBI
CHEBI:9561 ChEMBL
CHEMBL738 化学的データ 化学式 C 11 H 17 N 2 Na O 2 S 分子量 264.32 g/mol
[Na+].O=C1NC(=S)/N=C(/[O-])C1(C(C)CCC)CC
InChI=1S/C11H18N2O2S.Na/c1-4-6-7(3)11(5-2)8(14)12-10(16)13-9(11)15;/h7H,4-6H2,1-3H3,(H2,12,13,14,15,16);/q;+1/p-1 Key:AWLILQARPMWUHA-UHFFFAOYSA-M
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チオペンタール (Thiopental) は、バルビツール酸系 の麻酔薬 の一つ。静脈注射により、鎮静・催眠効果を示す。商品名はラボナール (Ravonal)。一般名として、チオペントン とも呼ばれてきた[ 3] 。
日本では全身麻酔の導入などに広く用いられている。同種の薬効のあるプロポフォール に比べて血管痛が少ない、もしくはほとんどない。アメリカでは死刑 執行時に意識を無くす薬物として知られる[ 4] が、アメリカでは2009年に製造停止に至り、入手困難となっている[ 5] 。
作用機序
GABAA 受容体 に結合してGABA の作用を増強させ、細胞に過分極 を生じさせる。脳幹の網様体賦活系を抑制することにより、麻酔作用をあらわすと考えられている。脂溶性 が高いため、容易に血液脳関門 を通過し、短時間で作用を発揮する。反復投与によって脂肪組織に蓄積し、長時間の麻酔作用を発現することがある。
自白剤 [ 注釈 1] としての作用を持つとしてオウム真理教 が実際に使用した[要出典 ] が、そのような作用は無く、単に大脳新皮質に作用する麻酔・鎮静作用のある薬である。
適応
バルビツール酸系 の類縁薬剤のチアミラール と臨床的には、区別のつかない外観、適応、力価、作用時間を有するが、「麻酔インタビュー」の適応は本剤にはあって、チアミラールにはない[ 6] [ 7] 。
副作用
筋肉内注射に関しては、本剤はアルカリ性(pH10 - 11)であり筋注部位の壊死並びに局所障害を起こすことがあるので、患者の受ける恩恵が、その危険性よりも重要視される場合にのみ適用されるべきである。
禁忌
チオペンタールはヒスタミン の遊離作用があり、ぜん息 患者に使用すると気管支痙攣 の恐れがあるので、ぜん息患者には使用を回避することが望ましい。重症気管支喘息患者には禁忌である[ 8] 。
製造中止騒動
1997年夏、田辺製薬(現:田辺三菱製薬) は、薬価 下落による不採算を理由に、ラボナールの製造中止を発表した[ 9] 。麻酔科医 たちは撤回運動を起こし[ 10] 、日本麻酔科学会 は厚生省 へ製造中止撤回を求める要望書を提出。その結果、田辺製薬は製造中止を撤回し、薬価は1998年(平成10年)の改正で、352円(500mg製剤)から1,200円に引き上げられた(2010年2月の薬価は1,157円。2020年2月の薬価は、ニプロ ESファーマ製造販売 0.3g 841円、0.5g 1,002円[ 8] )。
アメリカでの死刑執行
アメリカでは薬物による死刑 執行時に意識を無くす薬物として知られる[ 4] 。ホスピラ社は、アメリカで2009年にチオペンタールの製造を停止しており[ 5] 、2010年、チオペンタールを含めた麻酔薬全般が入手困難のため、死刑 執行時の薬剤として確保することすら困難となり、代わりにペントバルビタール が用いられ、物議を醸した[ 11] 。
脚注
注釈
^ 2022.12.28時点でリンク先には満足できる記載が無い。
出典
^ Russo H, Brès J, Duboin MP, Roquefeuil B (1995). “Pharmacokinetics of thiopental after single and multiple intravenous doses in critical care patients”. Eur. J. Clin. Pharmacol. 49 (1-2): 127-137. doi :10.1007/BF00192371 . PMID 8751034 .
^ Morgan DJ, Blackman GL, Paull JD, Wolf LJ (June 1981). “Pharmacokinetics and plasma binding of thiopental. II: Studies at cesarean section”. Anesthesiology 54 (6): 474-480. doi :10.1097/00000542-198106000-00006 . PMID 7235275 .
^ “(R)-チオペントン | 化学物質情報 | J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター ”. jglobal.jst.go.jp . 2023年1月28日 閲覧。
^ a b “米の死刑、執行できない?メーカー製造撤退で薬物不足に” . asahi.com . (2011年1月24日). オリジナル の2011年1月25日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110125002841/http://www.asahi.com/international/update/0124/TKY201101240087.html 2016年6月9日 閲覧。
^ a b Ed Pilkington (2011年12月20日). “Europe moves to block trade in medical drugs used in US executions” . Guardian . https://www.theguardian.com/world/2011/dec/20/death-penalty-drugs-european-commission 2016年6月9日 閲覧。
^ “医療用医薬品 : ラボナール (ラボナール注射用0.3g 他) ”. www.kegg.jp . 2022年11月12日 閲覧。
^ “チトゾール注用0.3g/チトゾール注用0.5g ”. www.info.pmda.go.jp . 2022年12月28日 閲覧。
^ a b “医療用医薬品 : ラボナール ” (2020年2月). 2020年6月7日 閲覧。
^ 良範, 岩瀬、英人, 中山、美智義, 讃岐、哲, 萩平、秀哉, 木山、康裕, 森本、憲吾, 西岡「「Save (d) Ravonal‼ 活動の全記録」の展示について 」『日本臨床麻酔学会誌』第19巻第6号、1999年、427–429頁、doi :10.2199/jjsca.19.427 。
^ “SAVE RAVONAL !! 記念サイト ”. msanuki.com . 2022年12月28日 閲覧。
^ “動物安楽死用の薬品で死刑執行 オクラホマ州” . CNN.co.jp . (2010年12月17日). オリジナル の2010年12月21日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101221023853/http://www.cnn.co.jp/usa/30001264.html 2016年6月9日 閲覧。
アルコール バルビツール酸系 ベンゾジアゼピン 類ウレタン フラボノイド イミダゾール カヴァ 成分ウレイド (英語版 ) 神経ステロイド 非ベンゾジアゼピン系 フェノール 類ピラゾロピリジン 類キナゾリノン 類吸入麻酔薬 /ガスその他/未分類
3-ヒドロキシブタナール
アロガバト (英語版 )
アベルメクチン 類 (例:イベルメクチン )
臭化物 化合物 (例:臭化リチウム , 臭化カリウム , 臭化ナトリウム )
カルバマゼピン
クロラロース (英語版 )
クロルメザノン
クロメチアゾール (英語版 )
ダリガバト (英語版 )
DEABL (英語版 )
重水素化エチフォキシン (英語版 )
ジヒドロエルゴリン (英語版 ) 類 (例:ジヒドロエルゴクリプチン (英語版 ) , エルゴロイド (英語版 ) )
エタゼピン (英語版 )
エチフォキシン (英語版 )
フルピルチン (英語版 )
ホパンテン酸 (英語版 )
KRM-II-81 (英語版 )
ランタン
ラベンダー油 (英語版 )
リグナン 類 (例:4-O-メチルホノキオール (英語版 ) , ホノキオール (英語版 ) , マグノロール (英語版 ) , オボバトール (英語版 ) )
ロレクレゾール (英語版 )
イソ吉草酸メンチル (英語版 )
モナストロール (英語版 )
Org 25,435 (英語版 )
プロパニジド
レチガビン (英語版 )
サフラナール
スチリペントール (英語版 )
スルホニルアルカン (英語版 ) 類 (例:スルホンメタン (英語版 ) , テトロナール (英語版 ) , トリオナール (英語版 ) )
トピラマート
セイヨウカノコソウ 成分 (例:3-メチルブタン酸 , イソバレルアミド , バレレン酸 (英語版 ) )
未分類のベンゾジアゼピン部位陽性調節因子: MRK-409 (英語版 )
TCS-1205 (英語版 )