テルメズ (ラテン文字 :Termez、ウズベク語 : Termiz / Термиз 、ロシア語 : Термез 、ペルシア語 : ترمذ 、アラビア語 : ترمذ )はウズベキスタン共和国 の都市であり、スルハンダリヤ州 の州都である。アフガニスタン・イスラム共和国 はアムダリヤ川 を隔てた向こう側である。町の名前の由来はギリシア語 で「暑い所」を意味するthermos にあり、アレクサンドロス大王 の東征の時代にまで遡ることができるという説がある[ 3] 。実際、ウズベキスタンで最も暑い都市である。イスラーム伝承学 (英語版 ) において最も重要な書物の一つ『スナン・アッ=ティルミズィー (英語版 、アラビア語版 ) 』を著したティルミズィー (英語版 ) (824年生)や、イスラーム法学者のアル=ハキーム・アッ=ティルミズィー (英語版 ) (8世紀中葉生まれ)の出身地として知られる。後者は「ハキーム」のラカブが示すとおり諸学に秀でた人物であり、最初期のスーフィーの一人でもあった。ハキームは「テルメズの父」(Termiz Ota)と呼ばれ、テルメズには彼の名前を冠したモスクがある。
歴史
バクトリア の時代には既に定住があったことが認められる。クシャーナ朝 の時は仏教 の盛んな土地になり、仏教遺跡が多く残っている。『大唐西域記 』では「呾蜜」の漢字をあてて、伽藍が十余箇所あることを伝えている[ 4] 。7世紀 以降アラブ の進入でイスラム教 の中心地となった。
13世紀にモンゴル によって破壊された後、旧市街の北2マイルに新市街が作られた[ 4] 。ティムール の師であり哲学者であったSaid Barakaはこの町の出身であり、ティムールの治世には繁栄を極めた。
17世紀 に破壊されたが、1897年 にロシア帝国 の要塞が造られ、歴史に再び登場する。アフガニスタン紛争 ではソビエト連邦 軍が駐留し、アフガニスタンへの重要な軍事地点となった。
近年では、国連などがアフガニスタンに支援物資を供給する拠点にもなっていたことがある。また、テルメズにはアフガニスタンから逃れてきた少なからずのアフガニスタン人が住んでいる。
気候
ケッペンの気候区分 では砂漠気候 に属し、夏は長く気温は40度を超えることが多い。年間降水量 も156mmと少ない。
テルメズの気候
月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
年
最高気温記録 °C (°F )
23.8 (74.8)
28.4 (83.1)
34.4 (93.9)
38.7 (101.7)
43.6 (110.5)
46.5 (115.7)
47.0 (116.6)
46.3 (115.3)
41.5 (106.7)
37.0 (98.6)
32.4 (90.3)
26.7 (80.1)
47.0 (116.6)
平均最高気温 °C (°F )
10.4 (50.7)
13.3 (55.9)
18.9 (66)
26.6 (79.9)
32.8 (91)
38.0 (100.4)
39.7 (103.5)
38.0 (100.4)
32.8 (91)
25.8 (78.4)
18.8 (65.8)
12.1 (53.8)
25.60 (78.08)
日平均気温 °C (°F )
4.2 (39.6)
6.7 (44.1)
12.1 (53.8)
18.9 (66)
24.6 (76.3)
29.1 (84.4)
30.5 (86.9)
28.4 (83.1)
22.8 (73)
16.5 (61.7)
10.8 (51.4)
5.6 (42.1)
17.52 (63.54)
平均最低気温 °C (°F )
−0.3 (31.5)
1.7 (35.1)
6.5 (43.7)
12.0 (53.6)
16.5 (61.7)
19.9 (67.8)
21.4 (70.5)
19.2 (66.6)
13.9 (57)
8.6 (47.5)
4.7 (40.5)
1.0 (33.8)
10.43 (50.77)
最低気温記録 °C (°F )
−19.7 (−3.5)
−17.5 (0.5)
−7.9 (17.8)
−2 (28)
−0.1 (31.8)
11.4 (52.5)
12.9 (55.2)
9.3 (48.7)
2.8 (37)
−4.2 (24.4)
−11 (12)
−18.4 (−1.1)
−19.7 (−3.5)
雨量 mm (inch)
24 (0.94)
24 (0.94)
36 (1.42)
23 (0.91)
9 (0.35)
2 (0.08)
0 (0)
0 (0)
2 (0.08)
3 (0.12)
12 (0.47)
21 (0.83)
156 (6.14)
平均降雨日数
7
10
11
8
5
1
1
0
1
3
5
8
60
% 湿度
77
71
66
57
45
36
36
38
45
53
65
76
55.4
出典:Погода и Климат [ 5]
交通
アムダリヤ川 が街の付近を流れており、街には中央アジア 唯一の河川港 がある。また、街の郊外にはアフガニスタン のハイーラターン とテルメズを結ぶアフガニスタン=ウズベキスタン友好橋 が架かっている。
街にはテルメズ空港 もあり、首都タシュケント への国内便が毎日発着している。
観光名所
テルメズの市場
アル=ハキーム・アッ=テルミーズィー・モスク
キルク・キズ (9-14世紀)
テルメズ・ハン国 宮殿 (11-12世紀)
アル=ハキーム・アッ=テルミズィー・モスクとその付属施設(10-15世紀)
スルターン・サアーダ・モスク (英語版 、ペルシア語版 ) とその付属施設(10-18世紀)
コキルドラ=ハーナカ(Kokildora-Khanaka)の霊廟 (16世紀)[ 6]
カラ・テペ遺跡の仏教寺院 (2-4世紀)
ファヤズ・テペ遺跡の仏教寺院 (1-3世紀)
ズールマラ塔 (1-2世紀)
(伝承学者の)ティルミズィー廟(9世紀頃。テルメズより60km北東のシェラバード の郊外にある。
戦争
街の郊外にあるアフガニスタン=ウズベキスタン友好橋
第二次世界大戦 後もソビエト連邦軍 は長きに渡ってテルメズに基地を置き、1978年から1989年までのアフガニスタン紛争 では100,000人以上のソビエト連邦軍 がテルメズに駐留した。その当時ソビエト連邦が使用した空軍基地 は現在アフガニスタン の国際治安支援部隊 と共同で作戦を展開するドイツ連邦軍 やオランダ軍 の駐留基地となっている。
脚注
ウィキメディア・コモンズには、
テルメズ に関連するカテゴリがあります。
外部リンク
首都 州都 人口10万人以上の都市 人口5万人以上の都市