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テングコウモリ

テングコウモリ
テングコウモリ
Murina hilgendorfi
保全状況評価
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))

絶滅危惧II類 (VU)環境省レッドリスト
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 翼手目 Chiroptera
: ヒナコウモリ科 Vespertilionidae
: テングコウモリ属 Murina
: テングコウモリ M. hilgendorfi
学名
Murina hilgendorfi Milne-Edwards, 1872
和名
テングコウモリ
英名
Tube-nosed bat

テングコウモリ(天狗蝙蝠、学名:Murina hilgendorfi)は、哺乳綱コウモリ目(翼手目)ヒナコウモリ科テングコウモリ属に分類されるコウモリの一種。中国などに分布する M. leucogaster と同種とする意見もあり、その場合は亜種ニホンテングコウモリ M. leucogaster hilgendorfi として扱われる[1]

分布

日本の固有種で、北海道本州四国九州に分布する[2]。本来は樹洞をねぐら[3](昼間の隠れ家)としているが、大木が激減して樹洞が消失した環境では洞窟を昼間の隠れ家とする場合もあり[4]、洞窟で確認されることも多い[3]。また、ときに建造物に生息する[2]

形態

前腕長41 - 46 mm、頭胴長59 - 73 mm、尾長36 - 47 mm、体重9 - 15 g[2]。鼻孔は管状に突出し、耳介は卵円形、耳珠は細長く先端がとがる。天狗の鼻のような管状の鼻孔が名前の由来になっている[5]。体毛は羊毛状、腿間膜(たいかんまく)は上下面とも毛を密生する。体上面は灰汁(あく)色で、銀色に光る長い上毛がまばらに生え、下面は淡オリーブ灰色。翼が幅広く、比較的低空を飛翔(ひしょう)する。

生態

他のコウモリ類のように大きな群れを形成することは少なく、単独または数頭の群れで生活することが多い[3]、夕方早く飛び出しカブトムシなどの昆虫を食べる虫食性の種である。洞窟で多数の遺骸(いがい)が発見されたことがある。

分類

近縁種として日本には、本種より小形で鼻孔が突出し、毛色が金色に近いコテングコウモリが北海道、本州、対馬などに、中形で腿間膜に毛がなく枯れ葉色のクチバテングコウモリが対馬に分布する。1920年(大正9年)に屋久島からコテングコウモリとして記録されたものは、後者と思われる。なお、インド北東部、中国、樺太(からふと)(サハリン)などには近縁のキタテングコウモリ M. leucogaster を産する。

参考文献

  1. ^ 小宮輝之『フィールドベスト図鑑 日本の哺乳類』学習研究社、2002年3月29日。ISBN 4-05-401374-0 
  2. ^ a b c 阿部永・石井信夫・伊藤徹魯・金子之史・前田喜四雄・三浦慎悟・米田政明『日本の哺乳類 改訂版』東海大学出版会、2005年7月20日。ISBN 4-486-01690-4 
  3. ^ a b c ニホンテングコウモリ”. 岐阜県公式ホームページ(環境企画課). 岐阜県 (2015年9月11日). 2020年10月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月16日閲覧。
  4. ^ テングコウモリ 京都府レッドデータブック2015”. 京都府 公式ウェブサイト. 京都府 (2015年). 2016年8月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月16日閲覧。
  5. ^ 前田喜四雄「シリーズ 日本の哺乳類 種名検討編,日本産翼手目(コウモリ類)の和名再検討」『哺乳類科学』第36巻第2号、日本哺乳類学会、1997年6月30日、237-256頁、doi:10.11238/mammalianscience.36.237NAID 10016303138 

関連項目

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