トール (Thor)はノルウェーの国営通信企業テレノールが所有する通信衛星シリーズ[1]。
マルコポーロ2(トール1)
トール1は元々はトールシリーズの衛星ではなく、イギリス衛星放送(英語版)(BSB)向けにマルコポーロ通信衛星シリーズとして打ち上げられたものである。設計、試験、打ち上げはヒューズ・スペース・アンド・コミュニケーションズ(英語版)(現在ボーイング衛星システムズ(英語版)の一部)が担当した。衛星は5本のKuバンド・トランスポンダーを搭載していた。
マルコポーロ1は1989年8月27日にデルタロケットによって、マルコポーロ2は1990年8月17日にデルタIIロケットによって打ち上げられた[2]。衛星は設計通りに機能したものの、BSBがスカイ・テレビジョン(英語版)と合併してBスカイBとなった影響で、マルコポーロ1・2は売却されることとなった。マルコポーロに合わせて設計されたスクウェアリアル(英語版)衛星受信アンテナは陳腐化してしまった。
1992年7月にマルコポーロ2はノルウェーのテレノールに売却され、トール1に改名された。西経0.8度で運用され、2002年1月に電源が切られた。同年11月に西経7.4度に移動し、スカンディナヴィアに向けたデジタルテスト信号放送を送った。2003年1月初頭に墓場軌道に送られた。
トール2
トール2は1997年5月21日に打ち上げられ、2008年に退役した。重量1467 kg、15本のKuバンド・トランスポンダーと予備の3本を搭載した。
トール3
トール3(正式にはトールIII)は1998年6月9日に打ち上げられ、西経0.8度に位置していた。14のアクティブKuバンド・トランスポンダーを搭載していたが、現在は使用していない。2010年6月にトール6と置き換えられた。
インテルサット10-02(トール4)
インテルサット10-02は2004年6月16日に打ち上げられた。西経1度に位置して、中央ヨーロッパや中東にサービスを提供した。
トール5
トール5は2008年2月11日に打ち上げられた。当初の予定ではトール2R'と呼ばれる予定だったが、トール5と命名された。24本のアクティブKuバンド・トランスポンダを搭載している。
トール6
トール6は2009年10月29日にアリアン5によって打ち上げられた[3]。タレス・アレニア・スペースが開発[4]。36本のKuバンド・トランスポンダを搭載し、北欧を始め、ヨーロッパや中東諸国などに通信サービスを提供する[4]。テレノール衛星放送社は12月15日に軌道上および地上の必要な全てのテストを完了し、12月末にサービスを開始すると報告した。
参考文献
- ^ BSB History by Boeing
- ^ Boeing Launch Services Mission Record|publisher=Boeing
- ^ Telenor Satellite Broadcasting
- ^ a b アリアン5ロケット、通信衛星2基を打ち上げ 今月2回目