『フェルマーの料理』(フェルマーのりょうり、フランス語: Cuisson dans le Fermat)は、小林有吾による日本の漫画作品。『月刊少年マガジン』(講談社)にて、2018年10月号から不定期連載中[1]。
数学者になる夢を挫折した高校生が[1]、若き天才シェフとの出会いを機に料理の道へと進み、数学的思考で周囲を驚愕させる料理を作り出し、料理人として成長していく姿を描いた料理漫画[2]。タイトルはフェルマーの最終定理に由来する[3]。
既刊4巻ながら、ドラマ化の影響もあり、累計発行部数は50万部を突破している(2023年12月時点)。
作者の小林は代表作『アオアシ』の週刊連載と並行して執筆している。
2023年10月より、TBS系列にてテレビドラマが放送された[4][5]。
あらすじ
登場人物
声の項は単行本4巻の発売を記念して公開されたPVの声優。
- 北田 岳(きただ がく)
- 声 - 山下大輝[6]
- 本作の主人公[7]。私立ヴェルス学園3年生。数学者になる夢を諦め、学食のアルバイトをしながら無為な日々を過ごすが、天才シェフ朝倉海との出会いを契機に料理人の道を歩みだし、数学的思考から周囲を驚愕させる「レシピ」を導き出す。
- 朝倉 海(あさくら かい)
- 声 - 岡本信彦[6]
- 都内の一ツ星レストラン「K」のオーナーシェフ。23歳。史上最年少で一ツ星を獲得した若き天才シェフ。北田が作った賄い料理のナポリタンを食べ彼に興味を持ち、料理の道に導く。
作風
担当編集者によると、本作は「『料理』を『数学』という斬新な切り口」で描いており、小林の「熱量溢れる作画、胸を打つドラマ、一冊にそれをギュッと詰める構成力」によって、「一見縁遠いこの2つの分野」を繋いでいる[8]。
反響など
第1話にて、ナポリタンが登場する[7]。これは「数学的に正しいナポリタン」であるといい、単行本第1巻で詳しいレシピが掲載されており、インスタグラムなどのSNSにて再現する読者により、おいしくできたと反響を得ている[7]。「数学的に正しい」のヒントは温度にあり、「カリッとした具材の歯ごたえは十分主役になる」ため「麺はあえて非常に柔らかくして」作り、フォークを45度に温めるほか、「隠された『仕掛け』」のあるレシピとなっている[7]。
書誌情報
テレビドラマ
2023年10月20日から12月22日まで、TBS系「金曜ドラマ」枠で放送された[4][5][10]。主演はともにTBSドラマ初主演となる高橋文哉と志尊淳[4][5]。
GP帯の連続ドラマ初主演となる高橋は高校時代に調理師免許を取得しており、本格的な料理姿を本作で初披露する[5][注 1]。
あらすじ(テレビドラマ)
大筋こそ原作と同じストーリーだが、ドラマオリジナルの登場人物、筋書が追加されている。
第一話「お前の数学の才能は料理のためにある」
名門ヴェルス学園に通う天才数学少年の北田岳は、数学オリンピック選考会でライバルの圧倒的な実力を目の当たりにし、自分が偉大な数学者にはなれないことを悟る。学食のバイトで何気なく賄いを作っていた岳に、料理界のカリスマである朝倉海が声を掛ける。岳が作る賄いのナポリタンに衝撃を受けた海は、自身もナポリタンを振る舞う。「言われたとおりにすれば、お前の状況を変えてやる」と海が驚きの提案を持ちかける[12]。
第二話「賄いトライアルを突破せよ!天才シェフがねらう革命…」
海の提案を受けて東京にやってきた岳は海が所有する高級マンションに住まわせてもらうことになる。レストラン「K」では新人が賄いを作り、スタッフ全員から合格点をもらわなければクビというルールがあり、その期限は1週間であると岳に伝えられた。レストラン「K」の厨房は想像を絶する戦場のような場所で、あまりの回転の速さに洗い物が追いつかず、賄いを作っている状況ではなかった。疲れ果てて帰宅した岳に、海のマンションの掃除に来ていた寧々が「誰でも疲れる」と労いの言葉をかける。その何気ない一言をヒントに、肉じゃがを作るが認められなかった。しかし、岳は諦めず試行錯誤の上2日後に肉じゃがで勝負し直す。その計算の高さが評価され、見事満場一致で岳はレストラン「K」の一員となる[12]。
キャスト
主要人物
- 北田岳(きただ がく)
- 演 - 高橋文哉(幼少期:黒木将盛[13])
- 数学に魅了され、数学に人生を捧げてきた数学少年。国際数学オリンピックの日本代表選考合宿でライバルの実力を目の当たりにし、数学者になる夢を諦める。その後、朝倉海との出会いを機に料理の道へ進むことを決意する。東京大学理科一類に合格するも入学を辞退し、朝倉海がオーナーシェフを務めるレストラン「K」で見習い料理人になる。第二話ではスタッフ全員から合格点をもらい正式に「K」の一員となる[12]。
- 朝倉海(あさくら かい)
- 演 - 志尊淳(幼少期:森島律斗[14])
- 都内にある二つ星レストラン「K」のオーナーシェフ。史上最年少で星を獲得した若き天才シェフ。
K
海がオーナーシェフを務める都内の二つ星レストラン。
- 赤松蘭菜(あかまつ らんな)
- 演 - 小芝風花[15][16](幼少期:浦上双葉[17]、少女期:柴田みこと[18])
- 部門シェフ。「K」で働く部門シェフで唯一の女性。前菜を担当。思ったままを口にする素直でクールな性格。
- 乾孫六(いぬい まごろく)
- 演 - 板垣李光人[19]
- コミ(調理師)。
- 王明剣(ワン ミンジェン)
- 演 - 朝井大智[20]
- 部門シェフ。スープ担当。中国出身。
- ダビド・サロ・ペーニャ
- 演 - フェルナンデス直行[20]
- 部門シェフ。魚料理担当。スペイン出身。
- ジャン・ジョルダン
- 演 - ジュア[20]
- 部門シェフ。デセール担当。フランス出身。ドラマオリジナルキャラクター[20]。
- 黒崎麗子(くろさき れいこ)
- 演 - 井頭愛海[20]
- 給仕。フランス語が得意で、ワインにも精通している。
- アネット・バルトリ
- 演 - 八木アリサ[20]
- 給仕。フランス出身。ワインに関する資格を保有している。
- 鳥越円(とりごえ まどか)
- 演 - 木田佳介[20]
- 給仕。様々なフランス料理関係の資格を保有している。
- 布袋勝也(ほてい かつや)
- 演 - 細田善彦[21]
- スーシェフ(副料理長)。
- 福田寧々(ふくだ ねね)
- 演 - 宮澤エマ[19]
- 給仕長。料理以外の仕事を完璧にこなす。
周辺人物
- 魚見亜由(うおみ あゆ)
- 演 - 白石聖[19]
- 岳の高校の同級生(岳は特別進学科、亜由はスポーツ科)。学園内にある食堂でアルバイトをしている時に岳と知り合った。口調は乱暴だが面倒見のよい性格。高校卒業後は東京の大学に水泳のスポーツ推薦で進学した。
- 武蔵神楽(むさし かぐら)
- 演 - 久保田紗友[20](幼少期:安藤セナ[22])(第1話・第3話・第5話・第7話・最終話)
- 岳の幼馴染。衆議院議員・武蔵魏一の娘。国際数学オリンピックの金メダリスト。
- 広瀬一太郎(ひろせ いちたろう)
- 演 - 細田佳央太[23](第1話・第6話 - 第8話)
- 岳のライバル。岳が数学者になる夢を諦めるきっかけとなった存在。国際数学オリンピックで最高得点を獲得した金メダリスト。
- 西門景勝(さいもん かげかつ)
- 演 - 及川光博[10](第1話・第5話・第8話・最終話)
- 岳が通う高校「私立ヴェルス学園」の理事長であり、実業家や美食家としての顔も持つ。自分の意向に沿わない言動を行う者に対しては、自身の立場や権力を利用して相手を徹底的に追い詰める冷酷な人物。
- 特待生の岳の才能を買っていたが、岳に“裏切られた”として退学処分を下し、更には奨学金の即時返納を要求する。数日後、レストラン「K」で自らが主催するパーティーでメイン料理として出されたナポリタンを食して絶賛するが、それを作ったのが岳だと知り動揺する。海の策略によって自身がパーティーに招待した客たちの前で岳を称賛しなければならない状況に立たされ、最終的には岳の退学処分と奨学金の返納を取り消す。「私立ヴェルス学園」の卒業式では、壇上に上がった岳に卒業証書を渡しながらも、彼への皮肉を小声で呟いていた。
- 3年前、蘭菜の母である桜が経営していたレストラン「オルス」の一帯における再開発計画に伴う立ち退き交渉を断られると、グルメ番組で「オルス」と桜を批判する発言を行い、彼女を精神的に追い込んだ。
- 武蔵魏一(むさし ぎいち)
- 演 - 堀部圭亮[24](第1話・第3話・第8話)
- 政治家。西門が主催するパーティーに参加する。第3話では、娘の神楽と共に「K」を訪れる。
- 北田勲(きただ いさお)
- 演 - 宇梶剛士[21]
- 岳の父親。「北田バイシクル」を経営。息子を男手ひとつで育て上げる。
- 淡島優作(あわしま ゆうさく)
- 演 - 高橋光臣[21]
- 服についたソースを洗い落とす手間を省くためディナーのたびに上半身裸になる謎の男。ドラマのオリジナルキャラクター。
- 渋谷克洋(しぶや かつひろ)
- 演 - 仲村トオル[19]
- 料理界の伝説のシェフ。原作でも一瞬登場している描写がある。
- 海からは「先生」と呼ばれているが、詳細は不明。
- 赤松桜
- 演 - 釈由美子[25](第4話 - )
- 蘭菜の母。かつては青山で「or&ce」(オルス)という店を構えていたシェフだった。現在は留学経験を生かしフランス語の翻訳の仕事をしている。
- 3年前、とある業者の男性から「オルス」や周辺地域での再開発に伴う立ち退きの要求を断るが、その男性に同伴していた西門が、後日グルメ番組で「"オーナーシェフが女性である"ことを隠して営業している」などと批判的なコメントをしたことで客足が遠のき開店休業状態に追い込まれる。やがて店を訪ねてきた海から「オルス」の買収と蘭菜のスカウトを持ち掛けられた際、「あなたが作った料理も、彼女(蘭菜)が作った野菜も美味しかった」「蘭菜が一流の料理人に成長するまで、(自分を)"母親の店を奪った憎まれ役"でいさせて欲しい」と頼まれ、「オルス」と蘭菜を海に託していた。
ゲスト
第1話
- 北田凪
- 演 - 知花くらら[26]
- 岳の母。故人。
- 校長、教頭
- 演 - 中西茂樹、那須晃行(なすなかにし)[23]
- 「私立ヴェルス学園」の校長と教頭。
- パーティの客
- 演 - 今藤洋子(役名:桜井聖恵)[27](第8話)、須間一也[28]、高田健一[29]、牧佳子[30]
- レストラン「K」で行われた西門が主催するパーティーに招かれた客。岳が作ったナポリタンに魅了された。
- 客
- 演 - 畠山明子[31]
- 岳の実家の自転車屋「北田バイシクル」に訪れた客。
第2話
- 女性
- 演 - メーガン花子
- 海宅のソファーで寝ていた女性。
第3話
- サラリーマン
- 演 - 大矢三四郎[32]、初鹿史弥[33]
- 居合わせたカフェで亜由に手を振る東京のサラリーマン。
- ナレーター
- 声 - 上村彩子(TBSアナウンサー)
- 神楽が出演したテレビ番組「気になる! やばい天才さん」のナレーター。
第4話
- 綿貫哲平
- 演 - 早乙女太一[25]
- 国内外で強い影響力を持つレストランレビュアー。
- 店主
- 演 - 酒井貴士(ザ・マミィ)[34]
- 蘭菜と岳が「あんかけ焼きそば」を頼んだ中華料理店「さかまる」の店主。
- 給仕
- 演 - 齊藤英里[35](第5話)
- 赤松桜がシェフだった店「オルス」のホール担当。客がシェフに挨拶をしたいとの旨を伝えたが、断ってくれと桜に言われる。
- 客
- 演 - 西野大作[36]
- かつて蘭菜が働いた店の客。「女性がプロの料理人に向いてないのは、生物学的に言って仕方のないこと」などと偏見を述べる。
第5話
- 業者
- 演 - 越川みつお[37]
- 桜がかつて経営していた店「オルス」一帯に再開発計画があると、西門景勝と共に立ち退き交渉に来た男性。
- 客
- 演 - 石垣直[38](最終話)、花野麻子[注 2](最終話)
- 蘭菜が去った後の「K」を訪れた客。蘭菜の代わりに海が担当した仔羊料理を絶賛する。
第6話
- 支配人
- 演 - 山中良弘[39]
- Kがパーティ料理監修を任された楠瀬正美賞授賞式が行われるザ・カハラホテルの支配人。
第7話
- コーチ
- 演 - 山口知紗[40]
- 亜由にオーストラリアへの水泳留学を薦める。
第8話
- 南条剛、滝沢紗代
- 演 - 河野安郎[41]、平野舞[42]
- レストラン「K」のスポンサーたち。海がいたから資金援助してきたと話すが、岳の新感覚の料理も認め、もう少しサポートを続けると約束する。
第9話
- 病院スタッフ
- 演 - 阿岐之将一[43]
- 事故で頭を怪我して入院した北田勲を担当する。
最終話
- 客
- 演 - 梅木若菜、奥田啓太、岩田芽依、岡矢マツ木、奥山昇陽、森脇柊哉[注 2]
- 蘭菜がオーナーシェフとなった「K」の客。
- 演 - 瀬戸口祥侑
スタッフ
放送日程
各話 |
放送日 |
サブタイトル[47] |
原作 |
脚本 |
監督 |
視聴率
|
第1話 |
10月20日 |
お前の数学の才能は料理のためにある |
第1話「黒い男」 |
渡辺雄介 |
石井康晴 |
5.5%[48]
|
第2話 |
10月27日 |
超難関二つ星レストランに合格せよ |
|
5.9%[49]
|
第3話 |
11月03日 |
厨房を任せる…!ライバルたちの重圧を跳ねのけろ |
|
平野俊一 |
5.3%[50]
|
第4話 |
11月10日 |
世界一の美食家から最高評価を掴みとれ |
|
三浦希紗 |
5.4%[51]
|
第5話 |
11月17日 |
母の店は奪われた…時代を変える一皿を作り出せ |
|
石井康晴 |
5.0%[52]
|
第6話 |
11月24日 |
仲間を倒してこの店の頂点に立て |
|
渡辺雄介 |
大内舞子 |
4.5%[53]
|
第7話 |
12月01日 |
完璧を、トラウマを、神を超えろ |
|
平野俊一 |
5.2%[54]
|
第8話 |
12月08日 |
孤高 |
|
石井康晴 |
4.9%[55]
|
第9話 |
12月15日 |
もう一回 |
|
大内舞子 |
4.5%[56]
|
最終話 |
12月22日 |
二人が見つけた完璧な答え |
|
石井康晴 |
4.3%[57]
|
平均視聴率 5.1%(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム)
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TBS系 金曜ドラマ |
前番組 |
番組名 |
次番組 |
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フェルマーの料理 (2023年10月20日 - 12月22日)
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1989年 - 1994年 |
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1995年 - 1999年 |
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2000年 - 2004年 |
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2005年 - 2009年 |
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2010年 - 2014年 |
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2015年 - 2019年 |
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2020年 - 2024年 |
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2025年 - |
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関連項目 | |
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カテゴリ |
脚注
注釈
- ^ 高橋は本作と同じTBS系「金曜ドラマ」枠で2021年10月期に放送されたドラマ『最愛』において牛丼の調理シーンで包丁さばきを披露しており、話題となっている[11]。
- ^ a b 全員「K」の厨房シーンのスタンドイン俳優を兼務。[44]
出典
講談社コミックプラス
以下の出典は講談社コミックプラス(講談社)内のページ。書誌情報の発売日の出典としている。
外部リンク
- 漫画
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- テレビドラマ
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