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(2015年12月 )
シマノ 製のボスフリー
ボスフリー は自転車 の部品で、歯数の異なる数枚のスプロケット を同軸上に重ねてコグセット (英語版 ) を構成するものである。リア・ディレイラ によってチェーン を架け替えることでギア比 に変化を与えるために使う。
用語
ボスフリーは英語表記として「boss free」あるいは「boss freewheel」を想起させるが、実際は和製英語 である。英語表記としては「freewheel」あるいは「multiple freewheel」を用いる。ちなみに、ボスフリーの「ボス」は「ハブ」のこと。ハブをボスと呼ぶことは、日本の機械工学全般(日本工業規格(JIS) を含む)でみられる現象であるが、ボスとハブの明確な定義がなく、混用されている[1] 。
ボスフリーという用語はあくまでも慣用表現であり、日本でボスフリーを製造している唯一のメーカーであるシマノでは、一貫して「マルチプルフリーホイール」と表現している。
なお、英語圏では単段のものは「freewheel(single freewheel」と呼ぶが、日本では単段のものは「シングルフリーホイール」[2] 「フリーギア」「フリーコグ」などの用語が用いられ、「ボスフリー」とは呼ばないのが一般的である。
変速の歴史
安全型自転車 が発明された1887年から2年後(1889年 )には、 英 : S.J. Collier が2変速の周転円ボトムブラケット・ギア を登場させた。
もっとも古い変速機は(ホイペット (英語版 ) の設計製造で知られる)自転車技師の 英 : C. M. Linley と 英 : J. Biggs によるものという説が有力である。4変速のProteanについて1894年 に特許が取得され、彼らによる2変速ギアが1900年 のスターレーショー(割注:スターレーは、ローバー の前身となる企業だ。ジョン・ケンプ・スターレー を参照。)に出品された。
1902年 には完全遊星ハブギア(内装変速機)であるスターメーアーチャー に関する特許がイギリスのラレー自転車 (英語版 ) (英 : Raleigh Cycle Company )によって取得される。
構成と取り付け
ボスフリーとハブの取付部分
スプロケットの取り外し工具
ボスフリーは、2枚から8枚までのスプロケットがねじ込み、もしくは勘合で中子(フリーボディー、フリー体とも呼ばれる)に固定される(割注:2012年4月現在、シマノにおいてはスプロケット7枚ではボスフリーとカセット式の両方があり、8枚以上の組み合わせはカセット式のコグセットとなる。)。 中子には、ラチェット機構で一定の方向にのみ力を伝達できるフリーホイール になっている。 スプロケットの交換が可能な場合が多く、大小を組み替えることで走るコースや状況に合わせたギア比の組み合わせを計画的に選択できる。 車輪 への取り付けは、軸部のハブ と呼ばれる部品に中子をねじ込み固定する。
取り付け部の規格
ハブへ取り付け部はイギリスBSC規格 (英語版 ) (BC1.37×24tpi)、イタリアUNI (イタリア語版 ) 規格、フランスNF規格 (フランス語版 ) (34.7mm×1mm)の3つのねじ規格がある。UNI規格とBSC規格は、ネジ山の角度の違いだけで、ネジ径、ピッチは同じであるため、流用することは不可能ではないネジ径、ピッチが同じでもネジ山の角度に相違あり流用することは不可能だ。 [要出典 ] 日本 のJIS規格 においてはBSC規格と同じねじ規格を採用している。
メンテナンス
英語版ウィキブックスに本記事に関連した解説書・教科書があります。
ボスフリーの取り外し工具
ピンフェイススパナ(俗称:カニ目スパナ)
ボスフリーのメンテナンスは、泥や埃などの汚れをウェスやブラシを用いて取り除いてから、注油することが日常の作業となる。 特に汚れがひどい場合は、ボスフリーを取り外し、少量の灯油 やエンジンオイル などを溶媒に用いてオイルバス洗浄を行う。
オーバーホールでベアリング交換を施工する場合は中子の分解が必要となる。分解作業においてフリーホイール の構造部品を破損させないように注意深く行う。
ボスフリーをハブから取り外すための(各社、各製品専用の)フリー抜き工具 と呼ばれる専用工具が必要となる。 またスプロケットの組み換えには、チェーンウィップ や、専用のフリーバイス が必要となる。 さらに中子の分解にはピンフェイススパナ(英 : pin face spanner 俗称:カニ目スパナ)を用いる。
中子の内部にはボールベアリング を有するが、なおかつフリーホイールを有する構造上グリース 充填ができないものが一般的である。よって粘性の高い潤滑油 をこまめに注入すると良い。
またサンツアー の Winner Pro など一部のハイエンド 製品には、グリースホールよりグリース の充填が可能である。しかし、誤って粘性の高いグリースを充填すると、中子内にあるフリーホイールのラチェット部の動きが悪くなる場合がある。充填には、Philwood やCampagnolo 、Finishline などから販売されている粘性の低いグリースを使う。
脚注
関連項目
ギアシステム 歯車の種類 歯の形状による分類 歯車機構 例 関連