『ボンバーマン'94』 (BOMBER MAN '94) は、1993年12月10日に日本のハドソンから発売されたPCエンジン用アクションゲーム。
ボンバーマンシリーズ第8作目、そしてPCエンジン用ソフト第3作目。1人プレイ時の設定は、主人公のボンバーマンを操作して「バグラー」を倒し、破壊された精霊の絵を修復しボンバー星に平和を取り戻す事を目的としている。前作と同様に最大5人までプレイできるバトルゲームが存在する他、新キャラクターが追加されている事を特徴としている。
開発はハドソンが行い、プロデューサーは『スーパースターソルジャー』(1990年)を手掛けた島田周樹が担当、ディレクターはPCエンジン用ソフト『忍者龍剣伝』(1992年)を手掛けた川口佳之が担当、音楽は前作に引き続き竹間淳が担当、アート・ディレクターは後に至るまで『ボンバーマンシリーズ』を手掛け、本作が初参加となった元アニメーターの水野祥司が担当している。
1994年と1995年には欧米にて『MegaBomberman』のタイトルでメガドライブに移植された他、2000年にはドリームキャスト用ソフトとしてドリームライブラリにて配信、2006年にはWindows用ソフトとしてi-revoにて配信、バーチャルコンソール対応ソフトとしては2006年にWii、2014年にWii Uに配信された。それ以外にも2008年には携帯電話ゲームとして『ボンバーマン'08』のタイトルで配信された他、2009年にPlayStation 3およびPlayStation Portable用ソフトとしてPCエンジンアーカイブスにて配信された。2020年3月にKDEより発売されたゲーム機PCエンジン miniにも収録されている。
概要
『ボンバーマンシリーズ』にて、PCエンジン用として発売された3作目の作品。ボンバーマンをサポートする乗り物キャラ「ルーイ」や、シリーズの敵役として何度も登場する「バグラー」が初めて登場した作品である[注 1][1]。なお、本作はシリーズ中でPCエンジン用のアクションゲームとして発売された最後の作品でもある。
ゲーム内容
ノーマルゲーム
全5エリア+αで全20面で構成されている[1]。1つのエリアは3~4のステージで構成されている。制限時間内にステージ内のコアメカを全て破壊し、カプセルの中に封印されている石版(精霊の絵のかけら)を手に入れることが各ステージのクリア条件[2][1]。従って、従来のシリーズ作品と異なり全ての敵を倒す必要はない。クリア後にソフトブロックが残っている場合、ブロックがボーナスコインに変わり、それを集めるというボーナスゲームが始まる[注 2]1枚集めるごとにスコアが500点上がる。制限時間は15秒。
敵キャラクターや爆風に接触するか、制限時間内にステージをクリアできない時は残ボンバーマン数を1つ失う。残ボンバーマン数が0の時にボンバーマンがやられてしまうとゲームオーバーとなる。ゲームオーバー画面でコンティニューを選択するか、表示されているパスワードをパスワード入力画面で入力することで再開できるが、ボンバーマンのパワーアップが初期状態に戻ってしまう。
バトルゲーム
最大5人、3分で行うシリーズお馴染みのサバイバルバトルである。前作からの主な変更点は以下の通り。ちなみに今作ではPCエンジンGTを繋いで対戦する「VSゲーム」は廃止された。
- ノーマルとタッグの2種類から選べる。
- 「ボンバーファミリー」という異なる姿のボンバーマンが用意されており、その中からキャラクターを選ぶことができる。
- 後述の「ルーイ」が出現し、乗ることができる。
- タッグマッチ
プレイヤー・コンピュータが二つのチームに分かれて戦う対戦方式。他方のチームを全滅させれば勝ちとなり、その時自軍は一人でも残っていればよい。
対戦人数が何人でも選択でき、4対1といった極端な分け方を含め、チーム分けも自由に行える。
- ボンバーファミリー
バトルモードで選べるキャラクターは全9種。プレイヤーが操作する場合は見た目の違いだけで能力に違いはないが、コンピュータが操る場合は攻撃や行動のパターンが変化する。詳細はボンバーファミリーを参照。
アイテム
通常アイテム
- 爆弾
- セットできる爆弾の上限が増える。
- ファイヤー
- 火力が1段階上がる。
- 快速シューズ
- 移動スピードが上がる。
- リモコン
- 設置後、IIボタンを押すことで、好きなタイミングで爆破できる。
- 壁通過
- 破壊可能な壁を通過できる。
- 爆弾通過
- 爆弾をすり抜けられる。
- 復活
- 敵の攻撃や自分の爆弾によるダメージを受けても1回だけ耐えられる。
- 1UP
- ストックが増える。
- 時計
- 敵が約10秒間停止する。
- 耐火スーツ
- 約20秒間、敵や炎によるダメージを回避できる。
- ダウンシューズ
- 移動スピードが下がる。
- フルーツ
- 得点が入る。
- ボムキック
- 爆弾を蹴ることができる。
- ラインボム
- 持てる数だけ爆弾を一気に置ける。
ドクロアイテムの効果
ドクロはバトルモードのみ登場し、これを取ると様々なマイナス効果が表れる。しばらく経つと元に戻る。ほかの相手に接触して効果をうつす事も可能。
- 駿足病 - 移動スピードが極端に速くなる。
- 鈍足病 - 移動スピードが極端に遅くなる。
- 設置不能症 - 爆弾が全く設置できなくなる。
- 火力最低症 - 爆弾の火力が最小(1ブロック分)になる。
- ゲリ - 自動的に爆弾を設置してしまう。
- チェンジ - 自分と相手キャラの位置が変わる。
- 止まれん病 - 止まれず、常に動き回っている状態になる。
- せっかち症候群 - 爆弾を設置してから爆発するまでの時間が短くなる。
- のんびり症候群 - 爆弾を設置してから爆発するまでの時間が長くなる。
- リバース症候群 - 十字キーの操作が逆になる。
ルーイ
本作より登場した、乗り物としての役割を果たしてくれるキャラクター。本作では「ボンバー星に生息するボンバーマンと仲のよい生物」という設定がある。ブロックを破壊するとタマゴが出てくることがあるが、これに触れると誕生し、乗って移動することができる。乗っている時に攻撃を受けてもルーイを失うだけで済み、ノーマルゲームに限りその後数秒間の無敵時間がある(バトルゲームではその無敵時間は無い)。能力はいずれもIIボタンで使用可能。なお、どのルーイが出るかはランダムである。
本作ではタマゴが孵化したエリアの外にルーイを連れていくのは不可能となっており、エリアを変更すると自動的にルーイが消滅する。
- イエロールーイ
- グリーンルーイ
- 得意技:ダッシュ
- 向いている方向に猛ダッシュする。ただし、途中で停止や方向転換はできず、何かにぶつかるまでは止まれない。
- パープルルーイ
- 得意技:ジャンプ
- ジャンプしてブロックや爆弾を1つだけ飛び越すことができる。
- ピンクルーイ
- 得意技:ダンス
- ボタンを押し続けている間、ルーイダンスを踊る。このダンスによる特殊な効果は特に無く、実質的にハズレと言える。
- ブルールーイ
- 得意技:ボムパント
- 爆弾を前方に蹴ることができる。ボムキックと異なり放物線状に飛ばすので、ブロックの向こうや画面の反対側に爆弾を送ることもできる。
ハードの仕様による操作面での制約
本作ではリモコンの起爆とボムキックの停止に加え、ルーイの能力まですべてIIボタンの操作で行う。そのため最大3つのアクションが同時に発動することになり、前作(『ボンバーマン'93』)に比べ操作面での制約が更に顕著になったといえる。例えばブルールーイの場合、爆弾を蹴るためには爆弾に隣接している必要があるが、能力を使うとリモコンによる爆弾の起爆も同時に起こるため、その場で自爆してしまう。そのため能力を使うには2個以上の爆弾を誘爆しない位置関係で設置した上で、1個めに配置した爆弾以外の爆弾に隣接して使用する[注 3]といった工夫が必要となる。
設定
ノーマルゲームには以下のストーリー設定およびステージ構成が存在する。またバトルゲームのステージ構成に関しても以下を参照。
ストーリー
動物たちが平和に暮らすボンバー星は、5つの精霊に守られた美しい星だった。しかし、突如現れた「バグラー」とロボット軍団の手により精霊の力の源である「精霊の絵」が破壊された。そして精霊の力が失われたことにより、ボンバー星は均衡が崩れ5つに分割してしまったのだ。精霊の絵を元通りに修復し、刻一刻と崩れていくボンバー星に平和を取り戻すためボンバーマンが立ち上がった。
エリア構成
- エリア1 モリモリの森
- ボンバー星の空気を管理する森林地帯。
- ボス:さる&バナナッハー(Saru and Bananacher)
- エリア2 アチアチの山
- 灼熱の火山地帯。
- ボス:ピラミッド岩G(Pyramid Gan:G)
- エリア3 ブクブクの海
- ブロックがアルミ缶になっている海底。
- ボス:グロブロブス(Grub Robs)
- エリア4 クラクラ城
- ボンバー星の文化の中心となっている城。
- ボス:コウモリ伯爵(Komori Count)
- エリア5 ユキユキランド
- ボンバー星の最果てにある雪原地帯。
- ボス:クイーンオヨビー(Queen Oyobee)
- エリア6 ファイナル
- バグラーが待ち受ける最終エリア。
- ボス1:バグラー(Buglear)
- ボス2:DRAGOON[注 4](読み方不詳)
- ボス3:バグラー
バトルステージ
- スタンダード面
- 特に仕掛けの無いシンプルな面。
- 海底面
- スタンダード面と同様トラップらしきものは無いが、水中であるため波状に画面が揺らめく。
- ベルコン面
- 中心部分にベルトコンベアがあり、爆弾やボンバーマンを流してしまう。
- 森林面
- 破壊不可能のハードブロックが繋がって迷路状になったステージ。
- 南極面
- 数箇所にかまくらがあり、それにより若干視界が遮られる。
- ヨーロッパ面
- ボムキックで蹴った爆弾の軌道を変える矢印が床のあちこちにあるステージ。
- 古城面
- 木の蓋のついた穴がある。前作のワープホールのようなもので、ボンバーマンや爆弾が上を通過すると他の穴にワープする。
- マグマ面
- ソフトブロックが(もちろんアイテムも)全く無く、全員がいきなりフルパワーの状態でスタートする。
- いだてん面
- 全員が常に極端な早足の状態(ドクロアイテムの「駿足病」並みの移動スピード)で戦うステージ。
- ブッシュ面
- 葉っぱで出来た屋根が数箇所にあり、南極面よりも視界の悪いステージ。
移植版
スタッフ
- プログラマー:伊藤雄一、岩川英夫、木村和之
- グラフィック・デザイナー:青山琢也、岩原裕二、多田知美
- サウンド・プログラマー:小原肇、守尾崇
- スペシャル・サンクス:電気未来社
- 音楽:竹間淳
- アート・ディレクター:水野祥司
- プロデューサー:島田周樹
- スーパーバイザー:藤原茂樹
- ディレクター:川口佳之
- ベーシック・ゲーム・デザイナー:中本伸一
評価
- ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では6・5・6・8の合計25点(満40点)[24]、『月刊PCエンジン』では75・80・90・80・90の平均83点(満100点)、『電撃PCエンジン』では65・75・65・70の平均68.75点(満100点)、『PC Engine FAN』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通りとなっており、23.7点(満30点)となっている[26]。1998年に刊行されたゲーム誌「超絶 大技林 '98年春版」(徳間書店)では、本作のゲーム性がシンプルである事を指摘した上で、「人間性を壊しかねないほどの白熱したバトルが楽しめる」と称賛した[26]。
項目
|
キャラクタ |
音楽 |
お買得度 |
操作性 |
熱中度 |
オリジナリティ
|
総合
|
得点
|
4.3 |
3.4 |
4.1 |
4.0 |
4.3 |
3.6
|
23.7
|
- ゲーム本『懐かしゲーム機大百科 PCエンジン完全ガイド 1987-1999』では、ルーイのキャラクター造形に関して肯定的に評価した他、バトルゲームにおいてシングル、タッグの選択が可能でありルーイも使用できる点に関して「遊び方も豊富」と称賛、「友達と遊ぶなら、これがいちばん盛り上がる」と絶賛した[1]。
脚注
注釈
- ^ バグラーのデザインは1995年に発売された『スーパーボンバーマン3』を機に変更され、宇宙征服を目論む悪の天才科学者という設定となった。
- ^ ステージを初めてクリアした時に限る。
- ^ リモコンの、設置した順に起爆される性質を利用している。
- ^ サウンドテストの曲名より。
出典
外部リンク
|
---|
ゲーム |
|
---|
作品 |
|
---|
スタッフ |
|
---|
CD | |
---|
登場人物 | |
---|
関連項目 | |
---|
カテゴリ |