モーリス・ドナルド・ウィリアムソン (英 : Maurice Donald Williamson 、1951年 3月6日 - )は、ニュージーランド国民党 に所属する元政治家 で、パクランガ (英語版 ) 選挙区選出の代議院 議員を務めていた。彼は閣内外 (英語版 ) で、交通、通信、放送、地方自治、科学技術研究、建設、税関、小企業、統計、国土情報[ 注釈 1] など、複数の大臣職を歴任した[ 1] 。現在はロサンゼルス郡 サンタモニカ でニュージーランド総領事 を務めている[ 2] [ 3] 。
政治家になるまで
ウィリアムソンはオークランド で生まれたが、隣接するワイカト地方 のマタマタ (英語版 ) で学生生活のほとんどを送った[ 4] [ 5] 。彼はマタマタ・カレッジ (英語版 ) 出身である[ 4] 。オークランド大学 で計算機科学 と応用数学 の学位を取って卒業した後、12年間汎用コンピュータで定期航空路のダイヤ作成を行うソフトウェア 開発に携わっていた。
彼は妻レイウィン(英: Raewyn )と結婚し、3人の養子 がいる[ 6] 。またインスティテュート・オブ・ITプロフェッショナルズ (英語版 ) (旧ニュージーランド・コンピュータ・ソサエティ[ 注釈 2] )の名誉フェローである[ 7] 。
国会議員として
ウィリアムソンは、中道右派 の政党・ニュージーランド国民党 所属で、1987年ニュージーランド総選挙 (英語版 ) 以来2017年までパクランガ選挙区 (英語版 ) の選出の国会議員だった[ 5] [ 8] 。通信、放送、交通、科学技術研究などの各大臣を歴任し、1990年から1996年には厚生副大臣も務めた[ 8] 。また売買春法律の改正 (英語版 ) に強く賛成している[ 9] [ 10] 。
一時停職
2003年7月22日、ウィリアムソンは選挙での敗戦について国民党党首ビル・イングリッシュ を責め立て、制止に従わなかったとして、党員集会 で停職処分を受けた[ 11] 。イングリッシュからドン・ブラッシュ に党首交代した後、ウィリアムソンの停職処分は解かれた。この後、ウィリアムソンは国民党で積極的に活動し、2008年には党の名簿順位第8位にまで上り詰めた。
第49代・第50代ニュージーランド議会
2008年ニュージーランド総選挙 (英語版 ) 後、国会はハング・パーラメント となり、コンフィデンス・アンド・サプライ (英語版 ) を行う3人の協力者を得て、国民党は少数与党内閣 を結成した。ウィリアムソンは党の高位に就いていたが、道路通行料に関する党の政策で、選挙運動中に失策を重ねていたため、内閣の一員には選ばれなかった[ 12] 。彼は、税関、建設、統計、小企業に関する閣外大臣を務めることになった[ 13] 。在任中の大仕事としては、進行していたリーキー・ホームズ・クライシス (英語版 ) があり、問題の膨大さから政府も「途方に暮れている」と認めた[ 14] 。
2009年7月には、性的不祥事を起こしたとして、ジョン・キー 首相が、リチャード・ワース (英語版 ) の大臣職を解き、その後ワースが議員職を辞するという事件があった[ 15] [ 16] 。ウィリアムソンはネイサン・ガイ (英語版 ) が正式に引き継ぐまで、ワースが務めていた内政・国立図書館・ニュージーランド公文書館 (英語版 ) 担当の各大臣職を代理で務めた。
第50代ニュージーランド議会 (英語版 ) の選挙後、ウィリアムソンは再び議席を獲得し、国民党による2期目の内閣で大臣職を得た。ウィリアムソンは2008年以来の税関・国土情報・建設の各大臣職を維持したが、ACTニュージーランド (英語版 ) との連立を行うため、小企業担当大臣の職はジョン・バンクス (英語版 ) に引き継いだ。ジョー・グッドヒュー (英語版 ) 、チェスター・バロウズ (英語版 ) 、クリス・トレメイン (英語版 ) と共に閣外大臣の職も務め、2014年5月の全閣僚職辞任まで継続した[ 17] 。
2014年5月1日、ウィリアムソンは閣僚職を辞任し、当時の首相だったジョン・キー は「捜査について警察と議論するというのは、ウィリアムソン氏の大きな判断ミスだった」と述べた[ 17] [ 18] 。ウィリアムソンの辞任は、国民党へ寄付を行っていたビジネスマンのドングヮ・リウ(英: Donghua Liu )が、国内で傷害事件を起こしたとして取り調べを受け、取り調べについて彼が警察へ問い合わせをしたとして、引責したものである[ 17] 。ウィリアムソンはこの件について、捜査の進行に干渉するつもりはなく、リウがニュージーランドに多額を投資していることから捜査が行われているという話が本当か確かめたかっただけだったとしている[ 19] 。
2016年7月、ウィリアムソンは2017年の選挙には出馬しないことを表明した[ 10] 。ほぼ同時期にロサンゼルス郡 サンタモニカ でのニュージーランド総領事 職に任命されたが、補欠選挙 を避けるため、自身の任期満了を待って赴任した[ 2] [ 3] 。
「ビッグ・ゲイ・レインボー」演説
LGBTの象徴であるレインボーフラッグ。ウィリアムソンは地元での虹を、法案通過の吉兆ととらえて演説を行った
2013年4月、ウィリアムソンは同性婚 を認める2013年結婚(結婚の定義)改正法案 (英語版 ) に賛成票を投じ、第三読会 の投票に先立ち演説を行った[ 20] 。この演説の中で、ウィリアムソンは法案反対者からの意見や不安を引用し、法案が通過しても非当事者には日常が巡るだけだとしたほか、地元で大きな虹 がかかったことは何かのお告げ(sign)ではないかと述べた(レインボーフラッグ はLGBT 当事者のシンボルであり、また虹はキリスト教では誓いや契約のしるし(sign)である)[ 21] 。演説はすぐに世界中で話題となった[ 22] 。ウィリアムソンの皮肉的で正直なアプローチも相まって、演説はその後数日で数十万回も視聴され、『ハフィントン・ポスト 』や『ゴーカー (英語版 ) 』(ゴーカー・メディア )など有名ニュースサイトに取り上げられた[ 23] [ 24] [ 25] [ 26] 。ウィリアムソンは『エレンの部屋 』への出演オファーを受けたが、スケジュールと大臣への賞与規定から断ったと明かしている[ 27] [ 28] 。ウィリアムソンは後に、首相から出演料を慈善事業 へ寄付するなら出演してもよいとの許可を得た[ 29] [ 30] 。ウィリアムソンのスピーチは、反対票を投じた政治家や、左派的 なコメンテーターからも賞賛された[ 31] 。
このスピーチは、2017年11月下旬に竹下亘 が同性愛カップルの宮中晩餐会参加へ批判的発言をしたことを機に、Twitter を中心に拡散して日本で大きな話題となった[ 32] [ 33] [ 34] [ 35] 。
脚注
注釈
^ Transport, Communications, Broadcasting, Local Government, Research Science and Technology, Building and Construction, Customs, Small Business, Statistics and Land Information
^ 英: New Zealand Computer Society; HFNZCS
出典
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外部リンク