佐藤 文衛 (さとう ぶんえい、1975年 - )は、日本 の天文学者 。専門は、恒星物理学 ・系外惑星 。旧岡山天体物理観測所 の観測施設を使って複数の太陽系外惑星や褐色矮星 を発見している。
経歴
1975年宮城県 多賀城市 生まれ。青森県 八戸市 育ち。1991年八戸市立根城中学校 卒業。1994年青森県立八戸高等学校 卒業。1998年東京大学理学部 天文学科 卒業。2003年東京大学大学院理学系研究科 天文学専攻博士課程 修了。博士(理学) [ 3] 。2003年国立天文台 研究員、2004年神戸大学 大学院 自然科学研究科 COE研究員、2005年国立天文台岡山天体物理観測所 研究員[ 4] 、2007年東京工業大学 グローバルエッジ研究院特任助教(2008年テニュアトラック助教)[ 4] を経て、2009年より東京工業大学大学院理工学研究科 准教授 (2016年より東京工業大学理学院地球惑星科学系准教授)[ 4] 。専門は恒星・系外惑星を中心とした観測天文学。2005年度日本天文学会研究奨励賞受賞[ 1] 。
業績
2003年以来、太陽系外惑星や褐色矮星など惑星質量の天体を多数発見している。
2003年、岡山天体物理観測所の188cm反射式望遠鏡に取り付けた高分散分光器HIDESを用いた2年間の観測によって、きりん座 の黄色巨星HD 104985 を回る太陽系外惑星HD 104985 b を発見したことを発表した[ 5] 。これは、初めて日本の観測チームが発見した太陽系外惑星となった[ 6] 。
2005年、すばる望遠鏡 などの大型望遠鏡を用いて系外惑星の発見を目指す国際観測プロジェクトN2Kに参加し、ヘルクレス座 の黄色準巨星 HD 149026 を回る土星 質量の系外惑星HD 149026 b を発見したことを発表した[ 7] [ 8] 。2007年、同じくHIDESを用いた観測から、ヒアデス星団 の橙色巨星 おうし座ε星 を回る巨大系外惑星を発見[ 9] 、これは、史上初めて散開星団 内の恒星系に発見された系外惑星となった[ 10] 。この系外惑星ε Tau b は、2015年に国際天文学連合 (IAU) が実施した太陽系外惑星命名キャンペーン「New Exo World」で、日本の呉市かまがり天体観測館 が提案した天照大神 にちなんだ名称が採用され、「アマテル (Amateru)」と命名された[ 11] [ 12] 。
2008年1月、中国科学院国家天文台 の研究グループとの共同観測で、かみのけ座11番星 の周りに木星の約19倍の質量を持つ褐色矮星を発見したことを発表した[ 13] [ 14] 。これは、2005年から始まった岡山天体物理観測所の188cm反射望遠鏡と興隆観測所の口径2.16m反射望遠鏡を用いた日中共同惑星探索の最初の成果となった[ 14] 。
2008年9月にはHIDESを使った観測から、わし座ξ星 、HD 81688 、アンドロメダ座14番星 、HD 167042 、やまねこ座6番星 、くじら座81番星 、いるか座18番星 の巨星を周る系外惑星7つを発見したことを発表した[ 15] [ 16] [ 17] 。
2012年には、視線速度法 によりへびつかい座ν星 を周回する複数の褐色矮星を発見したことを発表した[ 18] [ 19] 。2013年には、岡山天体物理観測所の188cm反射望遠鏡とアングロ・オーストラリアン天文台 のアングロオーストラリアン望遠鏡を用いた観測結果から、くじら座の恒星HD 4732 (英語版 ) の周囲を回る2つの巨大惑星を発見したことを発表[ 18] [ 20] 。2015年には、188cm反射望遠鏡とハワイ のすばる望遠鏡 、ケック望遠鏡 を用いた観測から、HD 1605 、HD 1666 、HD 67087 といった主系列星 の周囲に計5つの系外惑星を発見したと発表した[ 21] 。これは、岡山天体物理観測所の188cm望遠鏡を用いた最初の主系列星 周りの惑星発見となった[ 22] 。
著書
出典
^ a b “研究奨励賞受賞者 ”. 日本天文学会 . 2019年11月24日 閲覧。
^ Sato, Bunei (2003-03-28), Search for extrasolar planets around intermediate-mass stars by precise radial velocity measurements of late-G giants [G型巨星の視線速度精密測定による中質量星の惑星探査] , The University of Tokyo , NAID 500000290762
^ a b c “佐藤 文衛 Satou Bunei ”. KAKEN . 国立情報学研究所 . 2019年11月24日 閲覧。
^ Sato, Bun'ei et al. (2003). “A Planetary Companion to the G-Type Giant Star HD 104985”. The Astrophysical Journal 597 (2): L157-L160. doi :10.1086/379967 . ISSN 0004-637X .
^ 佐藤文衛「岡山天体物理観測所、巨星のまわりの惑星を発見 」(PDF)『国立天文台ニュース』第127号、国立天文台 、2004年2月1日、3-4頁、ISSN 0915-8863 。
^ Sato, Bun’ei et al. (2005). “The N2K Consortium. II. A Transiting Hot Saturn around HD 149026 with a Large Dense Core”. The Astrophysical Journal 633 (1): 465-473. arXiv :astro-ph/0507009 . Bibcode : 2005ApJ...633..465S . doi :10.1086/449306 . ISSN 0004-637X .
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外部リンク