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この項目では、小説について説明しています。経済上の現象については「価格競争」をご覧ください。 |
『価格破壊』(かかくはかい)は、城山三郎の経済小説。または、それを原作とするテレビドラマ。ダイエーの創業者、中内㓛をモデルにしたとされる。
1969年1月から8月まで34回にわたって『週刊読売』に連載され[1][2]、その後、単行本として上梓された。
あらすじ
戦場での体験から「全ての物は腐っていく。回転させなくてはならない」と確信した主人公が、流通市場という暗黒大陸で退路の無い歩みを進めていくが、そこには圧倒的な資本力と技術力をもつ【メーカー】という存在が立ちはだかっていた。
某電機メーカー社員の赤坂が車で信号無視の歩行者を轢きそうになった。注意したところ、その男は矢口という大学の同期生だった。赤坂に近況を語る矢口は、当時再販制の対象で値引き販売が規制されていた一般用医薬品の大安売りを始めて、消費者から支持されている。製薬会社からの圧力にもめげずに日本中の現金問屋を訪ねて歩く。小さな抵抗だったが小売市場の拡大という流れにより暗闇を抜ける事が出来た。その後店をスーパーマーケット「アロー」へと発展させ、関東一円でチェーン展開を開始。
店では生鮮食料品や家電製品も扱うようになるなど、総合スーパーへと規模を拡大。スーパーで一儲けを企むライバル勢力との駆け引きや、値引き販売に圧力を加えようとする家電メーカーとの闘い、再販制を盾に自社商品(石鹸)の卸を拒むメーカーに対抗して始めたプライベートブランド商品の開発などを経て、やがて矢口の率いる「アロー」は小売業の王者のようになってゆく。
登場人物
- 矢口
- 主人公。壮絶な戦争体験があり、何者をも恐れない小売業改革者。
- 奈津子
- 矢口の妻。当初は矢口共々店頭に出ていたが、妊娠を機に店舗運営から離れた(そのため作中にもあまり登場しなくなる)。
- 尾頭映子
- 元々はある薬局(「アロー」との競合に負けて潰れた)の娘。矢口に性的魅力を感じつつ反発する。一時「アロー」に入社し矢口の秘書を務めるが、後にスカウトされライバル店「オットー」の店長となる。「オットー」倒産後はアメリカに渡った。
登場企業
評価
文芸評論家小松伸六は角川文庫版の解説において、スーパーマーケットが昭和30年前後に急速成長し、流通機構の問題が物価上昇との関係において論ぜられた以後の流通革命の実態は、この作品にほとんどとりあげられている意味で、現代史の側面をとらえている小説でもあると思った[2]。と述べている。
テレビドラマ版
1981年11月7日から11月21日までの3回シリーズで、NHK『土曜ドラマ』の枠で放送され、『ザ・商社』に続き、演出は和田勉、主演は山﨑努が務めた。
スタッフ
キャスト
脚注
書誌情報
関連項目
外部リンク
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