千葉都市モノレール0形電車(ちばとしモノレール0がたでんしゃ)は、千葉都市モノレールの懸垂式モノレール車両。URBAN FLYER(アーバンフライヤー)の愛称を持つ。
概要
1988年(昭和63年)の2号線部分開業以来使用されてきた1000形1次車の老朽化に伴う置き換えのため、2012年(平成24年)に登場し、同年7月8日に営業運転を開始した。車両価格は5次車で1両2億9,000万円[3]。
車両のデザインはGKデザイン総研広島によるもの[3]で、デザインコンセプトは「空(そら)」である。デザインについては2006年(平成18年)以来4回に渡り学識経験者などで構成された「千葉モノレール新型車両デザイン検討委員会」によって検討が加えられてきた。シンボルマークは、千葉の地名の由来となった千葉氏の家紋月星紋をアレンジしたもの[4]で、車両の随所にあしらわれている。これは千葉氏が北極星の神格化である妙見菩薩を一族の守り神として信仰した[5]故事に由来しており、コンセプトである「空」の象徴として採り入れたものである。
車体
車体は1000形と同様アルミ合金製であるが、エクステリアデザインは1000形のアルミ地の銀色の車体から脱却が図られており、都市の空をイメージするブルーを基調とし、先頭部にかけて黒を斜めに配色している。また、アクセントとして側窓下と車体下面には飛行機雲をイメージした白いストライプ[4]が配された。
なお、2012年1月下旬より終電後テスト走行を開始した際は、車体デザインを隠すため、シンボルマークと7月運行開始のみをPRする黒いプロモーション用ラッピングが車体全面に施されて行われ4月4日には昼間その姿を本線に現した。4月12日に動物公園駅での新型車両内覧会ならびに試乗会が行われるにあたって、ラッピングが剥がされオリジナルデザインが公開されている。
車内
内装においては、車内からの眺望の拡大が図られており、乗務員室と客室との仕切り部を大型ガラスとして前面展望の拡大が図られたほか、乗降扉下部にも小窓を設けデッキ部の眺望の拡大が図られた。また、乗務員室の床面中央にもガラスを設置し、車体下部の眺望が見られるようにしたことも大きな特徴である。なお、当初の案では前面眺望を楽しむためのパノラマデッキを車両先端部に備え、開閉可能なガラス扉によって乗務員室と客室を区切り、乗務員のいない最後部ではガラス扉を開放して車両内の最端部(運転台を除く)まで乗客が立ち入れるようにする構想があった[6]が、実車では計画の見直しにより採用されていない。また、側窓は戸袋窓を除く車体中央の窓で上部が内側に開く構造となっている。
座席は黒を基調とした住江工業製[7]の全席ロングシートで、片持ち式セパレートタイプのハイバックシート(一人あたりの座席幅470 mm)を採用しており、背ずりの上辺を円弧状にし枕部にオレンジを配することで、着席区分の明確化を図っている。優先席は各車両の連結面側車端部に設けられており、座席の配色は一般席とは逆でオレンジの座席に枕部が黒である。なお、優先席にのみ荷棚が設置されている。このほかバリアフリー対応設備として乗務員室後ろを車椅子スペースとしており、乗降扉部床面や優先席部のつり革はオレンジ色とするなど、ユニバーサルデザインに対応している。また、乗降扉上部にはLED式車内案内表示装置を設置した。
2019年12月下旬に導入された6次車(本形式としては第2次仕様)からは、次のような仕様変更が実施された。
- 眺望性向上のため座席をハイバックシートからローバックシートに変更
- 縦方向の手すりを増設
- 車内防犯カメラを設置
- 車内照明をLED化
- 行先表示器をフルカラーLED化
- 車内案内装置をLCDに変更
主要機器
台車は、ゴムタイヤ空気ばね式二輪台車である。
主電動機は、1時間定格65 kW・1100 Vの三相交流式(自己通風型)かご形三相誘導電動機を採用している。
制御装置は、回生・発電ブレーキ(応荷重装置有り)付きVVVFインバータである。
発車メロディ
1000形では乗降促進音としてブザーが利用されているが、本形式では乗降時の安全性をより高めることを目的として発車メロディが採用された。
開発にあたっては千葉大学の協力のもと、合図性や快適性を持つメロディが検討された[1]。
沿革
上記の通り、2006年には1000形置き換えのための新型車両製作が検討されており、2007年(平成19年)には「URBAN FLYER 0」の仮称と車両の基本的なデザインが公開されている[6]。当初は2009年(平成21年)度導入の予定であったが、営業運転開始は2012年であり、遅れた理由については公式に発表されていない。2012年1月下旬より萩台車両基地に搬入された第一編成のテスト走行が開始され、2012年4月4日には報道公開に先立って初の日中の営業線試験走行(動物公園 - 千城台間)が行われた。次いで4月12日に動物公園駅で内覧会ののち、試乗会を兼ねて千葉駅まで試験走行が行われ[3]、以降はプロモーション用ラッピングが剥がされた本来の姿で試運転を行っている。なお、同日には「Urban Flyer 0-type」名義でのFacebookページが開設された。その後、7月8日に記念式典と出発式が行われ、営業運転を開始した[8]。
2012年のグッドデザイン賞を受賞[9]。
5次車は2012年に3編成と2014年に1編成、6次車は2019年に2編成と2020年度に2編成が製造された。さらに2024年2月、新たに1編成2両が営業運転を開始し、2024年2月現在、計9編成が運用されている[3][10]。
2025年から2028年にかけてさらに6編成を導入し、残る1000形7編成を置き換える予定であることが発表されている[11][12]。
10周年記念事業
千葉都市モノレールは、2022年7月8日に本形式が営業運転開始10周年を迎えることを受け、次のような記念事業を開催すると発表した[13]。
編成表
|
← 千葉みなと方面 県庁前・千城台方面 →
|
|
形式
|
0 Mc1
|
0 Mc2
|
搭載機器
|
VVVF CP
|
VVVF SIV
|
竣工日[16]
|
次車分類
|
車両番号
|
001
|
002
|
2012年2月27日
|
5次車
|
003
|
004
|
2012年4月23日
|
005
|
006
|
2012年9月28日
|
007
|
008
|
2013年11月30日
|
009
|
010
|
2019年12月20日
|
6次車
|
011
|
012
|
2020年2月15日
|
013
|
014
|
2020年7月18日
|
015
|
016
|
2020年10月9日
|
017
|
018
|
|
7次車
|
脚注
出典
参考文献
雑誌記事
- 「CAR INFO」『鉄道ファン』第615号、交友社、2012年7月、112-113頁。
- 「千葉都市モノレール新型車両 平成21年度末の導入へ向けてデザイン決定」『鉄道ファン』第554号、交友社、2007年6月、85頁。
新聞記事
ウェブサイト
関連項目
外部リンク