吉行 和子(よしゆき かずこ、本名 同じ、1935年〈昭和10年〉8月9日 - )は、東京府(現:東京都)出身の俳優、エッセイスト、俳人。
父は作家の吉行エイスケ、母は美容師の吉行あぐり。兄は作家の吉行淳之介、妹は詩人の吉行理恵。私生活では28歳のときに結婚するも、4年ほどで離婚[1]。以降は独身で通している。子供はなし。
来歴
2歳で小児喘息を患い、病弱な子ども時代を過ごす。
父は和子が4歳のときに死去、母は美容師として働いていたため、ひどい喘息の発作が起こると、岡山の祖父の元に預けられていた。
1954年、女子学院高等学校を卒業。
卒業前に劇団民藝付属水品研究所を受験して入所。女優になるつもりはなく、絵を描くことや裁縫は得意だったことから「衣装係にでもなれれば」と思って受験したところ、思いがけず女優候補として採用された[2]。
1955年、初舞台を踏む。同年、津島恵子主演の『由起子』でスクリーンデビュー。
1957年、民藝所属となる。『アンネの日記』のアンネ・フランク役に抜擢され、主役デビューも果たすが、その後は地味な「農民の娘」役ばかりであったという。
1959年、日活と契約。同年、『にあんちゃん』『才女気質』での演技で毎日映画コンクール女優助演賞を受賞。
1969年、33歳で退団してフリーになる。[3]
1974年の舞台『蜜の味』で、紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。
1978年、性愛を大胆に扱った大島渚の監督映画『愛の亡霊』に主演して(40歳を過ぎての出演には周囲の反対があった[4])世間を驚かせ、日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。
2002年には『折り梅』などで毎日映画コンクール田中絹代賞を受賞。
テレビドラマのほか、かつては『おかあさんといっしょ』でのお話のお姉さんとしても活躍していた。
文筆の世界では、1983年にエッセイ集『どこまで演れば気がすむの』を出版し、1984年の第32回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。2000年には母の日に贈った五行歌が『朝日新聞』で大きく紹介された。
舞台俳優としては2008年の『アプサンス〜ある不在〜』を最後に舞台から引退することを表明したが、好評を博したため、2009年にアンコール公演が決まった(吉行自身はこのことに関して「女優って嘘つきですね」とコメントしている。一応、この作品のアンコール公演をもって引退するというが、その撤回も考えていると『徹子の部屋』でその複雑な胸中を明らかにした)。
エピソード
受賞歴
出演
テレビドラマ
- 東芝日曜劇場
- 夕やけ娘(1958年)
- 東京0時刻(1958年-1960年)
- おかあさんシリーズ
- 第1シリーズ(1958年)
- 第2シリーズ
- 第15話「鏡の中の女」(1960年)
- 第25話「春愁」(1960年)
- 第76話「女の研究」(1961年)
- 第88話「姥捨」(1961年)
- 第141話「信子の場合」(1962年)
- 第165話「ふたりの季節 誕生その2」(1962年)
- 第207話「あかつきの橋を」(1963年、RKB毎日放送)
- 第266話「演歌二代」(1964年)
- 第374話「帰郷」(1967年)
- 日立劇場
- サンヨーテレビ劇場 「花のワルツ」(1960年)
- Q-ある奇妙な診断書-(1960年)
- 近鉄金曜劇場
- 「偸盗」(1962年)
- 「奇跡の女」(1963年)
- 「心に空を」(1964年)
- 「灯は消えず」(1966年、朝日放送)
- 「しあわせ」(1966年、朝日放送)
- 「わくらばの樹」(1966年、朝日放送)
- 「智恵の輪」(1966年、朝日放送)
- 水曜劇場 「純愛シリーズ 傷だらけの夜」(1962年)
- ザ・ガードマン 第19話「超特急西へ」(1965年)
- あなた事件よ!(1966年)
- 木下恵介劇場 「記念樹」(1966年)
- 泣いてたまるか 第41話「先生早とちりをする」(1967年)
- 日産火曜劇場・木下恵介アワー「もがり笛」(1967年)
- 平四郎危機一発 第14話(1968年)
- すし屋のケンちゃん(1971年-1972年) - お母さん 役
- 喜びも悲しみも幾歳月(1972年) - きよ子 役
- 助け人走る 第8話「女心大着服」(1973年、朝日放送 / 松竹) - おてい 役
- 白い滑走路(1974年) - 黒木早苗 役
- 寺内貫太郎一家(1974年) - 秋本幸子 役
- 夜明けの刑事(TBS / 大映テレビ)
- 第18話「ウェディングドレスの秘密」(1975年)
- 第70話「抱きつきスリ姉妹の殺意!」(1976年) - 長谷清美 役
- 影同心II 第1話「影の裁きは菊一輪」(1975年、毎日放送) - お久 役
- Gメン'75
- 第50話「湯の町午前0時の殺人」(1976年) - 新井千代 役
- 第115話「午前0時・女のミステリー」(1977年) - 稲葉春代 役
- 第164話「消えた乳母の赤ちゃん」(1978年) - 下村りつ 役
- 新選組始末記(1977年) - 沖田みつ 役
- 水中花(1979年) - 森下和江 役
- 大岡越前 第5部 第17話「帰って来た木鼠小僧」(1978年5月29日) - お富 役
- 3年B組金八先生シリーズ - 池内友子 役
- 第1シリーズ(1979年 - 1980年)
- 第2シリーズ(1980年 - 1981年)
- スペシャル1「贈る言葉」(1982年)
- スペシャル2「イレ墨をした生徒」(1983年)
- スペシャル6「新・十五歳の母」(1987年)
- 第4シリーズ(1995年)
- スペシャル9「子供を救え!大人達よ立ち上がれ」(1998年)
- 第5シリーズ第11話「金八涙の体罰…3B騒然辞表提出」(2000年)
- スペシャル10「お前死んだらオレ泣くぞ・3B一年ぶり大集合」(2001年)
- 第6シリーズ(2001年-2002年)
- 第7シリーズ第2話「3B VS.ヤヨの微笑」(2004年)
- ファイナル「最後の贈る言葉」(2011年)
- 赤い魂(1980年) - 苅田文江 役
- 野々村病院物語(1981年-1983年) - 久米雪子 役
- ちょっと神様(1982年) - 滝沢君子 役
- ふぞろいの林檎たち(1983年-1997年) - 西寺知子 役
- スチュワーデス物語(1983年10月18日、10月25日、11月8日、12月6日、12月13日) - 松本弓子 役
- 青が散る(1983-1984年) - 椎名静枝 役
- 青春泥棒・徹と由紀子(1984年) - 今岡加奈 役
- 恋物語(1986年)
- モナリザたちの冒険(1987年) - 矢崎貴子 役
- 西田敏行の泣いてたまるか 最終話「大当たり・これっきり」(1987年)
- キツイ奴ら(1989年) - 川西のぶえ 役
- クリスマス・イブ(1990年) - 河合香代子 役
- 天使のように生きてみたい(1992年) - 佐久間弥生 役
- お兄ちゃんの選択(1994年) - 松本早苗 役
- 愛していると言ってくれ(1995年) - 吉沢道子 役
- 仮面の女(1998年) - 秋川好子 役
- はいからさんが通る(2002年) - 伊集院蔦子 役
- 女三人乱れ咲き! 氷川きよし追っかけツアー殺人事件(2003年) - 桜井淑子 役
- Et Alors-エ・アロール-(2003年) - 岡本杏子 役
- 奥さまは魔女(2004年) - 松井佐代 役
- ドールハウス(2004年) - 桜井雅子 役
- Mの悲劇(2005年) - 安藤礼子 役
- 特急田中3号(2007年) - 田中ハル 役
- 山田太郎ものがたり(2007年) - ウメおばさん 役
- 最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜(2012年) - 長田光江 役
- 月曜ドラマスペシャル
- 月曜ゴールデン
映画
劇場アニメ
バラエティ
教養番組
ラジオ
朗読
CM
著書
- 『どこまで演れば気がすむの』(潮出版社、1983年11月/潮文庫、1985年)
- 『気分は夕焼け色』(潮出版社、1986年4月)
- 『男はみんなハムレット』(文藝春秋、1989年6月)
- 『兄・淳之介と私』(潮出版社、1995年7月)
- 『楽園幻想』(堀文子画、講談社、1997年5月)
- 『老嬢は今日も上機嫌』(新潮社、2008年6月)のち文庫
- 『ひとり語り 女優というものは』(文藝春秋、2010年5月)「浮かれ上手のはなし下手」文春文庫
- 『質素な性格 欲は小さく野菊のごとく』講談社, 2011.6 のち講談社+α文庫
- 『そしていま、一人になった』ホーム社, 2019.
共編著
- 『吉行エイスケとその時代 モダン都市の光と影』(齋藤愼爾と責任編集、東京四季出版、1997年7月)
- 『ここはどこ 時に空飛ぶ三人組』(岸田今日子、冨士眞奈美共著、文春文庫、2000年5月)
- 『わたしはだれ? 櫻となって踊りけり』(岸田今日子、冨士眞奈美共著、集英社、2000年6月)
- 『東京俳句散歩』(冨士眞奈美共著、光文社知恵の森文庫、2004年5月)
- 『あぐり白寿の旅』(吉行あぐり共著、集英社、2006年6月/集英社文庫、2009年)
- 『吉行和子・冨士眞奈美おんなふたり奥の細道迷い道』集英社インターナショナル, 2018.
脚注
注釈
- ^ 岸田とは2度続けて清水邦夫の芝居に一緒に出た後、1984年暮れから1985年初にかけて一緒にインド旅行をして以来の親友であった。そのインド旅行は、案内人の山際素男が著した本『脳みそカレー味』に描かれている。その頃、冨士は結婚して家庭に入っていたが、後に離婚して、一緒に句会に参加して仲良くなった。
出典
外部リンク
|
---|
1940年代 | |
---|
1950年代 | |
---|
1960年代 | |
---|
1970年代 | |
---|
1980年代 | |
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
|
|
---|
1980年代 | |
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
|