国史大系(國史大系、こくしたいけい)は、日本史を研究する上での基礎史料たる古典籍を集成し、校訂を加えて刊行した叢書。明治、大正期は経済雑誌社が、昭和以降は吉川弘文館によって刊行されている。その編纂は3次に亙って行われた。
第1次:国史大系・続国史大系
明治30年(1897年)から明治34年(1901年)に『日本書紀』等17冊が、経済雑誌社で刊行。続編が明治35年(1902年)から明治37年(1904年)に『続国史大系』15冊が刊行。田口卯吉が編集し、黒板勝美が主に校訂にあたった。その編目は以下の通りである。
国史大系
続国史大系
第2次:国史大系六国史・国史大系類聚国史
黒板勝美が既刊の国史大系の六国史を再校訂し、新たに『類聚国史』を加え、『国史大系六国史』4冊、『国史大系類聚国史』1冊の計5冊が、大正2年(1913年)から大正5年(1916年)にかけて経済雑誌社から刊行された。
編目は以下の通り。
第3次:新訂増補国史大系
昭和4年(1929年)から昭和39年(1964年)にかけ、吉川弘文館で全66冊を刊行。
黒板勝美が編集し、丸山二郎らが校訂した。中途の昭和11年(1936年)に、黒板が病に倒れ[1]、丸山二郎・黒板昌夫・坂本太郎が「大系編修会」を発足、刊行継続にあたった。完結した昭和39年に、大系編纂事業の代表者である丸山二郎に朝日文化賞が贈られた。
昭和後期から平成にかけ、新訂増補・普及版は度々刊行された。平成10年(1998年)と平成14年(2002年)に、全巻・一斉復刊。平成19年(2007年)8月に、全巻オンデマンド(OD)版を刊行。
校訂担当者は長年、公ではなかったが『国史大系書目解題』下巻(吉川弘文館、平成13年〈2001年〉)発行し、初めて公表された。
編目は以下の通り(括弧は校訂担当者)。
- 1. 日本書紀(上・下、丸山二郎・土井弘・井上薫)
- 2. 続日本紀(坂本太郎)
- 3. 日本後紀・続日本後紀・日本文徳天皇実録(同上)
- 4. 日本三代実録(同上)
- 5・6. 類聚国史(同上、ただし、編年索引は丸山二郎・山田康彦)
- 7. 古事記・先代旧事本紀・神道五部書(丸山二郎)
- 8. 日本書紀私記(坂本太郎)・釈日本紀(坂本太郎)・日本逸史(坂本太郎・黒板昌夫)
- 9. 本朝世紀(吉村茂樹・馬杉太郎)
- 10. 日本紀略(前篇)(黒板勝美・坂本太郎)
- 11. 日本紀略(後篇)・百錬抄(同上)
- 12. 扶桑略記(坂本太郎)・帝王編年記(丸山二郎・黒板昌夫)
- 13-15. 続史愚抄(丸山二郎・坂本太郎)
- 16・17. 今昔物語集(丸山二郎・山田康彦)
- 18. 宇治拾遺物語(丸山二郎・山田康彦)・古事談・十訓抄(丸山二郎・坂本太郎・山田康彦)
- 19. 古今著聞集(丸山二郎)・愚管抄(平泉澄・丸山二郎・坂本太郎・山田康彦)
- 20. 栄花物語(丸山二郎・原田文穂)
- 21. 上:水鏡(馬杉太郎・原田文穂)・大鏡(丸山二郎・馬杉太郎・原田文穂)
- 21. 下:今鏡・増鏡(原田文穂)
- 22. 律・令義解(坂本太郎・黒板昌夫)
- 23・24. 令集解(丸山二郎・坂本太郎・黒板昌夫・梅田俊一・原田文穂・彌永貞三)
- 25. 類聚三代格(坂本太郎)・弘仁格抄(丸山二郎)
- 26. 交替式(延暦交替式・貞観交替式・延喜交替式)・弘仁式(以上丸山二郎)・延喜式(坂本太郎)
- 27. 新抄格勅符抄(坂本太郎)・法曹類林(丸山二郎・黒板昌夫・瀧川政次郎)・類聚符宣抄・続左丞抄(以上、坂本太郎・黒板昌夫)・別聚符宣抄(坂本太郎)
- 28. 政事要略(丸山二郎・黒板昌夫・瀧川政次郎)
- 29. 上:朝野群載(相田二郎・吉村茂樹)
- 29. 下:本朝文粋(丸山二郎・黒板昌夫・土井弘)・本朝続文粋(土井弘)
- 30. 本朝文集(丸山二郎・坂本太郎・土井弘)
- 31. 日本高僧伝要文抄(坂本太郎)・元亨釈書(丸山二郎)
- 32・33. 吾妻鏡(丸山二郎・相田二郎・平泉澄)
- 34-37. 後鑑(豊田武・平泉澄・原田亨一・豊田武)
- 38-47. 徳川実紀(井野辺茂雄・丸山二郎・黒板昌夫・馬杉太郎)
- 48-52. 続徳川実紀(同上)
- 53-57. 公卿補任(黒板昌夫・馬杉太郎)
- 58-60. 尊卑分脈(皆川完一・笹山晴生・山本信吉・飯田瑞穂・三木太郎・福原一男・大橋京子)。60のみ上・下で全4巻
- 別巻1. 公卿補任索引(馬杉太郎)
- 別巻2. 尊卑分脈索引(皆川完一・渡辺直彦・山本信吉・飯田瑞穂・早川庄八・大橋京子)
参考文献
関連項目
脚注
- ^ 黒板は、高齢でもあり退任、昭和21年(1946年)に死去。
外部リンク