パースは述語を直観的な英語の語句で記述した。現代の論理学では一般にラテン文字の大文字が使われることが多い。点は、議論領域における何らかの個体の存在を主張するものである。同じオブジェクトの複数のインスタンスは線で結ばれ、これを "line of identity" と呼ぶ。一階述語論理での変項や量化子に相当する記法は存在しない。line of identity で複数の述語を繋いだものは、それら述語が共通の変数を共有していることを意味する。line of identity があるため、アルファグラフにおける同値規則を変更する必要がある。
ベータグラフは、全ての変項が暗黙のうちに量化されるため、全ての論理式が閉じた体系と見ることができる。line of identity の最も浅い部分の深さが偶数であれば、対応する変項は暗黙のうちに存在量化されており、奇数であれば全称量化されている。
Zeman (1964) は、ベータグラフが等号付き一階述語論理と同型であることを初めて指摘した(Zeman 1967 も参照)。しかし、二次文献である Roberts (1973) や Shin (2002) では、同型ではないとしている。パースの著作を見てもこの問題の答えは得られない。というのも、一階述語論理が明確に定式化されたのは彼の死後、1928年のダフィット・ヒルベルトとヴィルヘルム・アッカーマンの Principles of Theoretical Logic が最初だったからである。
記号学の先駆者であったパースだが、存在グラフはパースの論理学者/数学者としての業績の中では奇妙なものである。パースの論理グラフは彼の数ある業績の中のごく一部に過ぎない。1867年からの一連の論文と、その集大成とも言うべき1885年の American Journal of Mathematics に掲載された論文で、パースは二値ブール代数、命題計算、量化と一階述語論理、初歩的な集合論といった業績を上げている。モデル理論の先駆者とも言われている。また、オーガスタス・ド・モルガンの relation algebra の拡張も行った。彼はメタ論理学の手前まで研究していた。
1931-35. The Collected Papers of C.S. Peirce. Pp 320-470 of vol. 4. オンライン版として 4.372-417[リンク切れ] と 4.418-529 がある。
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Shin, Sun-Joo, 2002. The Iconic Logic of Peirce's Graphs. MIT Press.