『忌火起草』(イマビキソウ)は、開発チュンソフト、発売セガのによるホラーサウンドノベルゲーム。PlayStation 3で2007年10月25日に発売された。
概要
セガ×チュンソフトプロジェクトの一作。
心理描写や地の文はテキストで表示され、セリフは音声で出力されるほか、ムービー・実写映像・CGを交えた構成になっている。各キャラクターは実写で表示されるが、音声は別に声優がアテレコしている。
2008年8月7日には新シナリオを追加した『忌火起草 解明編』(イマビキソウ カイメイヘン)がWiiで発売。2012年(平成24年)2月にはiOS移植版がチュンソフトより発売された。
PS3版はハイビジョン対応、Wii版はWiiリモコンのスピーカーに対応。PS3向けの『忌火起草』はドルビーデジタル5.1chに、Wii向けの『忌火起草 解明編』はドルビープロロジックIIによる擬似5.1chに対応しており、背後から声が聞こえる演出などがある。また、コントローラの振動機能にも対応(PS3はオプション)。
タイトルがチュンソフトのサウンドノベル第1作『弟切草』(1992年)と似ているが、関連はなく独立した作品である。響きが似ているのはたまたまだとゼネラルプロデューサーの中村光一が、『週刊ファミ通』のインタビューに答えている。一方でシステムについては、『弟切草』の分岐システムをさらに発展させたものだとPlayStation.comのインタビューで、プロデューサーのイシイジロウは語っている[1]。
あらすじ
- プロローグ
- 20歳の大学三年生である主人公の弘樹は、大学入学して出会った愛美に一目惚れしたが、愛美には一回りも年上の彼氏 京介がいた。だが、京介は交通事故で亡くなり、愛美から笑顔が消えてしまう。
- 序盤
- それから一年後。弘樹は、愛美の入っている野草研究サークルに所属していたが、愛美が行かないという理由でキャンプには参加せずにいた。
- キャンプに参加したメンバー達によると、キャンプ場には黄色い花の野草 「イマビキ草」が生えていたらしい。その花言葉は「悔恨」……。そして、キャンプ場の側には「幽霊屋敷」があり、そこでパーティーと称して「ビジョン」というドラッグを飲んだという。
- テレビで「関東芸術大学の学生が焼死した」というニュースが流れ、人体発火みたいな亡くなり方であったらしい。キャンプに参加した正人は、そのニュースを聞いて様子が血相を変え、死亡した芸大生も幽霊屋敷でビジョンを飲んだという。同じようにビジョンを飲んだ正人は、自分の手の爪がなぜか黒くなっており、自分も死ぬんじゃないかと怯えるのであった。
- 中盤
- 次の日、弘樹を映画に誘った愛美は、レストランに入ったが、その店で出されたスープは「何かが焦げたような苦い味」がしたが、弘樹は飲み込んでしまう。それから数日後、弘樹の携帯電話に「黒い女が見える」という謎のメッセージが残され、正人は亡くなってしまう。その夜、弘樹は全身が黒く焼け焦げた女の幻を見る。
- ビジョンを飲んでいないはずの弘樹の爪は黒くなり、他の参加者たちにビジョンの味を聞くと「焦げたような苦い味」がしたという事から、あのレストランのスープの中にはビジョンが入っていたのだと確信する。
- ビジョンを飲んだサークルメンバーたちに不安が広がり、ビジョンの成分を調べてもらったところ、イマビキ草を原料にしている「今惹湯(いまびきとう)」という薬と成分が酷似しているという。しかし、その薬の開発会社である守矢堂はすでに潰れてしまったらしい。
- そして、メンバー達が泊まった幽霊屋敷は、守矢堂のものだったことが判明し、ビジョンを飲んだメンバーは発火して次々に死んでいく。愛美の家に行った弘樹は、愛美を爪を見ると黒くなっており、愛美のスープにもビジョンが入っていたと知る。
- 終盤
- 呪いを解いて死から逃れるために、弘樹と愛美は幽霊屋敷に行って調査を始める。今惹湯という薬は、戦後すぐに、守矢堂の亜美という女性が作りだしたという。今惹湯は気分が良くなる薬として売りに出されたが、副作用も強く、発火することは無かったが、命を落した人もいたという。
- 亡くなった遺族から恨まれた亜美は、灯油をかけられて火をつけられて亡くなってしまう。全身が黒焦げになった亜美は、死に際に「あなたは、誰?」と言って亡くなったという。「黒い女」は亜美であり、ビジョンを飲むと亜美に呪われることを知った二人は、その後もさまざまな調査を進め、弘樹と愛美は呪いから逃れることに成功する。
- エピローグ
- そして、弘樹が車を運転して帰路につくが、その最中に交通事故に遭ってしまう。弘樹が爪を見ると、また黒くなっていた。呪いはまだ解けてはいなかったのだ。
登場人物
- 牧村 弘樹(まきむら ひろき)
- 声 - 林勇
- 本作の主人公。大学には合格点スレスレで入った。大学一年の頃の新入生歓迎コンパで初めて愛美に出会い、それ以来、自分に親身になってくれる愛美に淡い恋心を抱いているが、中々口に出せないでいる。また、野草研究サークルに入った理由も愛美目当てである。
- 早瀬 愛美(はやせ まなみ)
- 声 - 本名陽子
- 本作のヒロイン。スレンダーな体型で肩まである髪を特徴としている。1年前に恋人である京介と死別しており、そのためかどことなく陰がある。成績は非常に優秀。
- 皆川 香織(みながわ かおり)
- 声 - 大前茜
- サークルのメンバー。ぽっちゃりとした体型のゴスロリファッションの少女。積極的な性格で弘樹への好意を隠さないが、弘樹からはむしろ煩わしく思われている。
- 渡辺 正人(わたなべ まさと)
- 声 - 櫛田泰道
- サークルのメンバーで、弘樹とは最も親しい友人。大柄な肥満体型だがやや気が弱く神経質な面がある。作中では初めての死亡者となる。
- 中森 健吾(なかもり けんご)
- 声 - 杉山大
- サークルのトラブルメーカー。大のオカルトマニアでもある。
- 和泉 飛鳥(いずみ あすか)
- 声 - 四宮豪
- サークルのメンバー。冷静で理知的な性格から、皆のリーダー的存在でもある。和子とは高校時代からの付き合い。
- 松下 和子(まつした かずこ)
- 声 - 佐藤あかり
- サークルのメンバー。容姿端麗な美人。気が強い性格だが、飛鳥に対しては一途。
- 間宮 京介(まみや きょうすけ)
- 1年前に交通事故で亡くなった愛美の恋人で、サークルのOBでもある。大手製薬会社に勤めていた。
他機種版
No.
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発売日
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対応機種
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タイトル
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開発元
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発売元
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メディア
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型式
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売上本数
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備考
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1
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200808072008年8月7日
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Wii
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忌火起草 解明編
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チュンソフト
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セガ
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Wii用光ディスク
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RVL-P-REVJ-JPN
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0.9万本
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クラシックコントローラ対応 ドルビープロロジックIIによる擬似5.1ch
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2
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201202292012年2月29日
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iPhone/iPod touch/iPad (iOS 4.3以上) ※iOS 11 では動作しない。
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忌火起草 (解明編)
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チュンソフト
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チュンソフト
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ダウンロード
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現在は販売していない。 ※過去購入者のみ再ダウンロード可能。
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スタッフ
- 監督:中嶋康二郎
- 脚本:北島行徳、牧野修、加藤一、古田剛志
- アートディレクション:庄野晴彦
- 音楽:上野耕路、松崎雄一
- 録音監督:佐藤敏夫
- 演出:荒井宏光、西海圭祐、井上尚樹
- 演出監修:古澤健
- スクリプト:金子明弘、高本雄三
- シナリオディレクション:長井知佳
- シナリオアシスタント:高木麻土香
- シナリオサポート:伊東幸一郎、平田政憲
- 脚色:桧木田正史
- グラフィックチーフ:後藤真
- グラフィック:石井久美子、大川憲一、高野紡子
- 3DCG制作:島田敬介、望月昌樹、窪田純子、中村伸夫
- 画像加工:山川一、花房伸行、小山優一、青柳ひろみ、鵜沼朋子、松山美恵、浅沼寛樹、原満陽子、木村俊幸
- VFXプロデューサー:隠田雅浩
- VFXスーパーバイザー:古賀信明
- VFX・CG制作:小薬健太郎、香川史比呂、藤田竜士、本田孝之、山田中、矢吹淳、粕谷雅俊、川崎晃、須藤鋭士、大野俊太郎、北村武士、山田真治、豊田祐次、雄勝光祐
- プロダクションマネージャー:横山由似
- 特殊メイク・造型:中田彰輝、飯田文江、橋本隆公、小此木謙一郎、吉井亮太郎、南光二
- 操演:保倉一郎
- 制作:桑原雅志、東海林貴人
- モーションキャプチャー:岩田岳雄、田中裕史、野田仁
- 美術設定:林田裕至
- 美術アシスタント:齋藤佐都子
- 設定・デザイン:荒川直樹
- サウンドディレクション:沖邊美佐紀
- スーパーバイザーサウンドエディター:嶺川千春
- サウンドエディター:中村栄治、前田宜洋、齊藤賢一
- サウンドミキシングエンジニア:染谷和孝、佐藤一誠
- 演奏:高井寿(ギター)、前田 JIMMY 久史(ベース)、雷電湯澤(ドラムス)
- ミュージックレコーディングエンジニア:野口俊和
- ボイスレコーディングエンジニア:田中直也、宮林良太
- ボイス制作:野添靖人
- サウンドアシスタント:樽矢聡一郎
- サウンドスクリプト:中村龍馬
- プログラムチーフ:金田元貴
- プログラム:国井稔、阿部敏昭、茂木正浩、中島実、寺田圭伸、時村良平
- ゲーム設計:鈴木俊之
- 仕様:佐藤郁雄
- 撮影ユニット
- 画コンテ・監督:飯野歩
- プロデューサー:原公男、大崎裕伸
- 撮影:喜久村徳章
- 照明:金沢正夫
- 美術:丸尾知行、古積弘二
- スチール:廣田美緒
- 助監督:毛利安孝
- 制作担当:清末裕之
- 監督助手:石川浩之、杉原憲明
- 撮影助手:福島圭悟、坪沼佑治
- 照明助手:太田博、松尾孔平、永田英則
- 美術助手:福嶋瞬
- 持道具:吉野昌秀
- 衣装:片柳利依子
- 衣装助手:針谷郁衣
- 着付け:下川直美
- メイク:佐藤泰子
- 制作進行:末光洪太
- 車輌:生田目康一、澤村和子
- カースタント:田中昇、TA・KA
- ロケーションコーディネート:谷口広樹、佐伯寛之
- 撮影協力:JOYART、映広、日本照明、宗特機、アットランダム、カースタントTA・KA、V-VISIONスタジオ、東宝スタジオ
- 衣装協力:BABY, THE STARS SHINE BRIGHT
- ロケ協力:東京海洋大学、東京海洋大学 生活協同組合、小山町フィルムコミッション、Coulis Rouje、BAUS THEATER、カラオケボックス キタノ
- セガ×チュンプロジェクトプロデューサー:下村一誠
- ラインプロデューサー:榊原繁幸
- パブリシティ:中西一彦、渡邊愛、南雲靖士、橋本賢一
- WEB制作:藤井睦弘、武田真理子
- タイトルロゴデザイン:西田琢、内間安幸
- ビジュアルデザイン:安藤岳史、駒澤昌孝
- パッケージ/ソフトウェアマニュアルデザイン:作田喜尋、軸原一彰、酒井綾子
- プロジェクトマネージャー:斎藤祐士、小栗健介、大藤充彦
- スーパーバイザー:浅井敏典、長畑成一郎、鮫島保彦
- エグゼクティブプロデューサー:前田雅尚、宮崎浩幸、瀧田和伸
- プロデューサー:イシイジロウ
- ゼネラルプロデューサー:中村光一
評価
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ファミ通 | 33/40点 (PS3)[2] (ゴールド殿堂) |
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- PlayStation 3版
ゲーム誌『ファミ通』の「クロスレビュー」では合計33点(満40点)でゴールド殿堂入りを獲得した[2]。
沿革
関連作品
「○○編」という名称が随所で使用されている。
- 「忌火起草 刻銘編」- 販売促進用DVD。非売品。
- 「忌火起草」- 本作品
- 「忌火起草 生誕編 〜メイキング オブ 忌火起草〜」- 映像特典が収録されたBlu-ray Disc。予約特典。
- 「忌火起草 DXパック」- 忌火起草と忌火起草栽培セットの同梱パック。セガダイレクトにて販売[6]。
- 「忌火起草 解明編」 - Wii 移植版。2008年8月7日発売。
脚注
外部リンク