この項目では、貝類について説明しています。魚類については「ハイギョ 」をご覧ください。
有肺類
さまざまな有肺類(曲輸尿管類)
分類
クレード
ウィキスピーシーズに
有肺類 に関する情報があります。
ウィキメディア・コモンズには、
有肺類 に関連するカテゴリがあります。
有肺類 (ゆうはいるい)は、軟体動物 腹足綱 の1グループである。有肺上目 または有肺目 とされることもある。
ほとんどが陸生で、陸生軟体動物 グループのうち最も種数が多い。貝殻 を持つカタツムリ と貝殻を失ったナメクジ が含まれる。
特徴
種数ではほとんどが陸生である。ただし、原始的なグループには海 生(主に干潟 や潮間帯 など)・淡水 生・あるいは汽水 生のものが多く、完全に陸生化した系統は限られている。
伸縮する触角 があり、目 はその基部または先端にある(先端に目がある触角は眼柄 とも呼ばれる)。
外套腔 が呼吸のための肺嚢となっている。有肺類の学名はラテン語 で「肺 」を意味する pulmo に由来する。
神経系 が発達し、前脳 がある。
他の陸生貝類と違い、殻口に蓋がない(ウミマイマイ科 を除く)。水分を失うのを防ぐため、休眠 時にはエピフラム epiphragm という粘膜で殻口を閉じる。
分類
Bouchet & Rocroi (2005) を基本とし(ただし Informal Group は除く)、他の情報を補足する。
有肺類は古くは腹足類の3グループの1つ(他の2つは前鰓類 と後鰓類 )だったが、腹足類の分類体系の再編により、腹足類の中の異鰓類 の3グループの1つ(他の2つは異旋類 と後鰓類 )になった。しかしそれらも新たな再編を迎えており、現在の分類は安定していない。
有肺類には4つの単系統 が確認されている。
しかしこの4系統間の類縁関係は、これらを合わせた有肺類が単系統 かどうかも含め不明である[ 1] [ 2] 。真正有肺類以外の3系統は基眼類 Basommatophora にまとめられるが、今では便宜的な措置にすぎない。基眼類は海生か淡水生が多く、古くは海生の原始有肺目 Archaeopulmonata と淡水生の肺鰓目 Branchiopulmonata に分けられていた。フタマイマイ上科とカラマツガイ上科を Thalassophila とすることもある。
真正有肺類 はこれらのうち最大の系統で、さらに5つの系統に分かれる。ただしそのうちオカミミガイ上科は単系統性でない可能性がある[ 1] [ 2] 。互いの類縁関係はほとんどわかっていないが、柄眼類が最初に分岐した可能性が高い[ 2] 。オティナ上科とオカミミガイ上科を合わせて海棲類 Actophila とする説もある。
収眼類はほとんどの種が殻を失い、ナメクジ 状になっている。
柄眼類は有肺類の約95%を含む大きな単系統である。全てが陸生で、水の少ない環境に比較的適応している。大触角・小触角の2対の触角があり(柄眼類以外は1対)、大触角の先に目がある。伝統的には輸尿管 の配置により板顎類・直輸尿管類・曲輸尿管類 Sigmurethra の3つに分けられてきたが、曲輸尿管類はおそらく単系統ではない(図には示していない)。
分類階級 を割り当てる場合は、基眼目・収眼目・柄眼目を置くか、基眼目・真正有肺目を置くか、古い分類では有肺目のみを置く。分類によっては目に属さない上科が残る。
出典
^ a b Mordan, P.; Wade, C. (2008), “15 Heterobranchia II The Pulmonata”, in Ponder, W.F.; Lindberg, D.R., Phylogeny and evolution of the Mollusca , University of California Press, p. 409–
^ a b c Klussmann-Kolb, A.; Dinapoli; Kuhn, K.; Streit, B.; Albrecht, C. (2008), “From sea to land and beyond – New insights into the evolution of euthyneuran Gastropoda (Mollusca)” , BMC Evolutionary Biology 8 : 57–, doi :10.1186/1471-2148-8-57 , http://www.biomedcentral.com/1471-2148/8/57