磐越東線(ばんえつとうせん)は福島県いわき市のいわき駅から郡山市の郡山駅までを結ぶ、東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(地方交通線)である。「ゆうゆうあぶくまライン」の愛称が付けられている。また、福島県内のみで完結する唯一のJR線でもある。
路線データ
いわき駅構内を含む常磐線との併走区間が水戸支社、赤井駅 - 郡山駅間が東北本部の管轄であり、いわき駅 - 赤井駅間(いわき駅起点1.0 km地点)に支社境界がある。
歴史
阿武隈高地を越えて、浜通り(福島県太平洋沿岸)の平と中通り(同県中部東北本線沿い)の郡山を結ぶ平郡線として計画され、平側の平郡東線(へいぐんとうせん)、郡山側の平郡西線(へいぐんさいせん)が1914年から翌年にかけて開業。1917年の全通と同時に磐越東線と改称した。
平郡東線
平郡西線
全通後
運行形態
福島県浜通りの中核市いわき市と、同県最大の経済規模を有する郡山市をつなぐ路線である。全列車が普通列車で、朝の下り1本を除くすべての列車でワンマン運転が行われている。他路線との直通運転は行われていない。
郡山側に輸送需要が大きく偏っており、小野新町駅を境にいわき側と郡山側で極端に輸送密度に差がある。小野新町駅 - 郡山駅間の区間列車は概ね1時間に1本程度の運行があるが、一部時間帯では100分前後の運行間隔となる場合がある。一方、小川郷駅 - 小野新町駅間は上下各6本(うち上下各5本は全線通し列車)、いわき駅 - 小川郷駅間はこれに区間列車2往復を加えた上下各8本の運行で、4 - 5時間ほど開く時間帯があり、いわき駅発の下り最終列車も19時台と早い。
2001年より、三春町の滝桜への観桜客輸送のため、4月の週末に三春駅 - 郡山駅間で臨時列車「三春滝桜号」(各駅停車)が運行されている。
昭和時代の最盛期には急行(のちに快速格下げ)・普通あわせて10往復近い全線通し列車が設定されたが、1985年3月のダイヤ改正で全線通し列車は6往復に減便された。さらに1995年の磐越自動車道開通により長距離客の多くが高速バスにシフトし、現在では沿線地域の通学、通勤など生活需要を中心に担うローカル線となっている。
1982年11月14日までは急行「いわき」(最盛期2往復、グリーン車を連結)という優等列車が当線経由で常磐線水戸駅 - 東北本線福島駅・仙台駅間(福島駅 - 仙台駅間普通列車)に設定されていた[23]。また、2009年のダイヤ改正までは、土休日(2005年から年末年始・ゴールデンウィーク・お盆期間中や三連休の日中心)に快速「あぶくま」が2両編成で1往復設定されていた。
また、1980年代終盤までの冬季には磐越東線経由で水戸 - 平 - 郡山 - 猪苗代間に臨時の夜行列車「猪苗代スキー」が運転されていた。
- 急行「いわき1号」停車駅(福島駅 - 仙台駅間普通列車)
- 1978年10月2日改正時点[24]
- 水戸駅 - 常陸多賀駅 - 日立駅 - 高萩駅 - 勿来駅 - 植田駅 - 泉駅 - 湯本駅 - 内郷駅 - 平駅(現・いわき駅) - 小川郷駅 - 小野新町駅 - 大越駅 - 船引駅 - 三春駅 - 郡山駅 - 本宮駅 - 二本松駅 - 松川駅 - 福島駅
- 快速「あぶくま」停車駅
- 2004年10月16日改正時点[25]
- いわき駅 - 小川郷駅 - 小野新町駅 - 神俣駅 - 大越駅 - 船引駅 - 三春駅 - 郡山駅
使用車両
現在の使用車両
過去の使用車両
- 蒸気機関車
- 客車
- 一般形客車
- 50系 - 主に通勤・通学時に2往復運用。
- 気動車
駅一覧
- 線路(全線単線) … ◇・∨・∧:列車交換可、|:列車交換不可
- 全駅福島県内に所在。
- ^ 車両基地としては存続
- ^ 水郡線の正式な終点は東北本線安積永盛駅だが、運転系統上は全列車が郡山駅まで乗り入れる
2023年度の時点で、JR東日本自社による乗車人員集計[26]の対象駅はいわき駅・小野新町駅・船引駅・三春駅・郡山駅である。それ以外の駅は完全な無人駅のため集計対象から外されている。
利用状況
平均通過人員
各年度の平均通過人員(人/日)は以下のとおりである。
年度
|
平均通過人員(人/日)
|
出典
|
全区間
|
いわき - 小野新町
|
小野新町 - 郡山
|
1987年度(昭和62年度)
|
2,314
|
1,036
|
3,660
|
[27]
|
2011年度(平成23年度)
|
1,597
|
368
|
2,679
|
2012年度(平成24年度)
|
1,622
|
420
|
2,682
|
2013年度(平成25年度)
|
1,615
|
395
|
2,689
|
2014年度(平成26年度)
|
1,522
|
360
|
2,546
|
[28]
|
2015年度(平成27年度)
|
1,530
|
359
|
2,562
|
2016年度(平成28年度)
|
1,472
|
331
|
2,477
|
2017年度(平成29年度)
|
1,431
|
320
|
2,410
|
2018年度(平成30年度)
|
1,385
|
309
|
2,333
|
2019年度(令和元年度)
|
1,320
|
273
|
2,242
|
[29]
|
2020年度(令和02年度)
|
1,067
|
196
|
1,835
|
2021年度(令和03年度)
|
1,055
|
200
|
1,809
|
2022年度(令和04年度)
|
1,077
|
203
|
1,847
|
2023年度(令和05年度)
|
1,109
|
216
|
1,896
|
[30]
|
収支・営業系数
2019年度(令和元年度)の平均通過人員が2,000人/日未満の線区(いわき駅 - 小野新町駅間)における各年度の収支(運輸収入、営業費用)、営業係数、収支率は以下のとおりである。▲はマイナスを意味する。
いわき駅 - 小野新町駅間
年度
|
収支(百万円)
|
営業 係数 (円)
|
収支率
|
出典
|
運輸 収入
|
営業 費用
|
計
|
2019年度(令和元年度)
|
32
|
770
|
▲737
|
2,351
|
4.3%
|
[31]
|
2020年度(令和02年度)
|
20
|
746
|
▲726
|
3,963
|
2.7%
|
2021年度(令和03年度)
|
21
|
712
|
▲690
|
3,298
|
3.0%
|
[32]
|
2022年度(令和04年度)
|
22
|
748
|
▲726
|
3,283
|
3.0%
|
[33]
|
脚注
参考文献
- 経路図における参考文献
-
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
磐越東線に関連するカテゴリがあります。
外部リンク
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※在来線の通称線名は除外した。 △全区間を他社移管 ▽一部区間を他社移管 ×廃止 |
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