タテジマキンチャクダイ (縦縞巾着鯛、学名:Pomacanthus imperator )は、スズキ目 キンチャクダイ科 に属する魚 。インド太平洋 に分布し、観賞魚 として人気がある。
分類と名称
1787年、ドイツ の博物学者 であるマルクス・エリエゼル・ブロッホ によって、日本 をタイプ産地として記載された。当初はチョウチョウウオ属 に分類されていた。種小名は皇帝 を意味し、日本の天皇 に由来する[ 3] 。幼魚は模様から「ウズマキ」と呼ばれ、成魚は「タテキン」、成長途中の個体は「ウズキン」と呼ばれる。
分布
インド太平洋 に広く分布し、その分布域は紅海 から東アフリカ の海岸沿いにモザンビーク とマダガスカル まで、インド洋 と太平洋 を通ってトゥアモトゥ諸島 とライン諸島 まで広がる。北は南日本 、南はグレートバリアリーフ 、ニューカレドニア 、オーストラル諸島 まで見られる。ハワイ諸島 からも記録がある[ 1] 。日本では茨城県 以南の太平洋岸で稚魚や幼魚が散発的に確認され、伊豆諸島 、小笠原諸島 、屋久島 、琉球列島 で見られる[ 4] 。フロリダ州 やプエルトリコ で記録があり[ 5] 、2009年以降では地中海 でも少数が確認されている[ 6] [ 7] 。
形態
幼魚
幼魚と成魚とでは、まるで別種のように色彩や模様が異なる。幼魚は濃紺の体に白い同心円状の模様が入り、頭部では横縞になる[ 8] 。背鰭縁は白く、尾鰭は透明である[ 5] 。成魚は青地に多くの黄色い縦縞が入る。顔は水色で、目の周りは濃い青色で、尾鰭は黄色。胸鰭上部は黒色で、前側は黄色[ 8] 。臀鰭は濃い青色で、明るい青色の横縞が入る[ 5] 。背鰭は13 - 14棘と17 - 21軟条から、臀鰭は3棘と18 - 21軟条から成る。全長は最大40 cm[ 9] 。地域変異があり、太平洋の個体は背鰭軟条が長い。
類似種
2 cmまでの個体はサザナミヤッコの幼魚と似ているが、サザナミヤッコの幼魚は吻端から背中にかけて白い縦線がある。
生態
生息水深は1 - 100 m[ 1] 。主にラグーン 、サンゴ礁 、外海の岩壁の穴や割れ目などで観察される[ 10] 。海綿動物 や尾索動物 、サンゴのポリプ、プランクトンや藻類 などを捕食する。幼魚は掃除魚 になることもある[ 9] 。警戒すると音を発する[ 5] 。単独かペアで生活し、縄張り 意識は高い。
人間との関係
観賞魚 として人気で、ダイビングでも度々観察される。近藤滋 によって、1995年に生物 の斑紋を数学 的に証明したチューリング・パターン の実験 に使用された[ 11] 。
脚注
^ a b c Pyle, R.; Rocha, L.A.; Craig, M.T. (2010). “Pomacanthus imperator ” . IUCN Red List of Threatened Species 2010 : e.T165862A6151184. doi :10.2305/IUCN.UK.2010-4.RLTS.T165862A6151184.en . https://www.iucnredlist.org/species/165862/6151184 09 March 2024 閲覧。 .
^ “Order ACANTHURIFORMES (part 1): Families LOBOTIDAE, POMACANTHIDAE, DREPANEIDAE and CHAETODONTIDAE ”. The ETYFish Project Fish Name Etymology Database . Christopher Scharpf and Kenneth J. Lazara (21 July 2020). 9 March 2024 閲覧。
^ 『小学館の図鑑Z 日本魚類館』307頁
^ a b c d “Pomacanthus imperator (Bloch, 1787) ”. Nonindigenous Aquatic Species . USGS. 09 March 2024 閲覧。
^ Atlas of Exotic Fishes in the Mediterranean Sea (Pomacanthus imperator ). 2nd Edition. 2021. 366p. CIESM Publishers, Paris, Monaco.https://ciesm.org/atlas/fishes_2nd_edition/Pomacanthus_imperator.pdf
^ Daniel Golani; Oren Sonin; Dor Edelist (2011). “Second records of the Lessepsian fish migrants Priacanthus sagittarius and Platax teira and distribution extension of Tylerius spinosissimus in the Mediterranean”. Aquatic Invasions 6 (1, supplement): s7–s11 (specific ref page s9). doi :10.3391/ai.2011.6.S1.002 .
^ a b “Pomacanthus imperator ”. Saltcorner! . Bob Goemans (2012年). 9 March 2024 閲覧。
^ a b Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2024). "Pomacanthus imperator " in FishBase . March 2024 version.
^ Dianne J. Bray. “Pomacanthus imperator ”. Fishes of Australia . Museums Victoria. 9 March 2024 閲覧。
^ S. Kondo & R. Asai, A reaction-diffusion wave on the skin of the marine an gel fish Pomacanthus, Nature, 1995.
参考文献
関連項目