ブルーグラス、ニューグラス、アコースティック・ジャズにおける最も影響力のあるギタリストの一人とされる[3][4]。2013年にthe International Bluegrass Music Hall of Fameに名を連ねた[5]。
ライスの携わる音楽は、トラディショナルなブルーグラスから、ジャズの影響を受けたニュー・アコースティック・ミュージックや歌志向のフォークまで幅広い。彼はキャリアの中で、J.D.Crow and New South、デヴィッド・グリスマン、ジェリー・ガルシアらと共演し、自らトニー・ライス・ユニットを率いる。ノーマン・ブレイクとのコラボレーション、兄弟のワイアット、ロン、ラリーとのレコーディング、ブルーグラス・アルバム・バンドの結成などの活動を行ってきた。またトラディショナルなブルーグラスの楽器と、ドラムや、ピアノ、ソプラノ・サックスなどとのレコーディングなども行っている[6][7]。
1970年、ライスはケンタッキー州ルイビルに引っ越し、そこで、Bluegrass Allianceと、そのすぐ後には、J.D. Crowe's New Southと演奏を行った。The New Southはドラムやエレキ楽器を加えるなど、当時最もプログレッシブなブルーグラス・バンドとして知られていた。 1974年にリッキー・スキャッグスが加入した頃、バンドはアルバム『J. D. Crowe & the New South』のレコーディングを行った。当時、このアルバムはラウンダー・レコードで最も売り上げたアコースティック・アルバムとなった。この時、バンドはトニー・ライス(ギター、リードボーカル)、J.D.クロウ(バンジョー、ボーカル)、ジェリー・ダグラス(ドブロ)、リッキー・スキャッグス(フィドル、マンドリン、テナーボーカル)、ボビー・スローン(ベース、フィドル)で構成されていた。
ライスはソロ活動において、ブルーグラスにインスパイアされた歌を集めたアルバム『Cold on the Shoulder』でヒットを記録。このアルバムと『Native American』『Me & My Guitar』のアルバムを通して、ライスは彼独自の感性とブルーグラス、フォークの作詞、そしてジャズの素早く複雑なギターワークを融合させる1つの定式にたどり着いた。ライスの参考にしたフォークは、アイアン・タイソン、ジョニ・ミッチェル、フィル・オッチス、トム・パキストン、ボブ・ディランや、特にゴードン・ライトフットなどである。ライスはジャズから影響を受けた実験的な「スペースグラス (spacegrass)」を、トニー・ライス・ユニットでリリースした『Mar West』『Still inside』『Backwaters』といったアルバムの中で追及していった。1990年に入ると、ライスは声帯の状態を悪化させ、歌うことが困難になった。
1984年より、ライスはベラ・フレックと4枚のアルバム、『Double Time』(1984年)、『Drive』(1988年)、『Tales from the Acoustic Planet』(1995年)、『The Bluegrass Sessions: Tales from the Acoustic Planet, Vol. 2』(1999年)をリリース。
トニー・ライス公認の伝記はTim StanffordとCaroline Wrightによって書きあげられ『Still Inside : The Tony Rice Story』のタイトルで、2010年にテネシー州キングスポートのWord of Mouth Pressから出版された。本書の出版はノースカロライナ州のMerlefestが行っている[11][12]。