彼女は、父・João Francisco Leal de Carvalho(ジョアン・フランシスコ・レアゥ・ヂ・カルヴァーリョ)と母・Maria Nair Santos Leal de Carvalho(マリア・ナイール・サントス・レアゥ・ヂ・カルヴァーリョ)の娘として、ゾナ・ノルチ(北部)のガンボア地区の産院で生まれ、ラランジェイラス地区で育った。姉妹にVânia Santos Leal de Carvalho(ヴァニア・サントス)がいる。また彼女自身には1人娘であるLuana(ルアーナ)がいる。
ベッチが育った家庭には音楽がいつも流れていた。彼女の祖母Ressú(レセウ)もバンドリンとヴィオラゥン(ナイロン弦のクラシック・ギター)を演奏するほか、母もクラシックのピアノを演奏していた。また、父は弁護士であったが、もとはボヘミアンであったことから、著名な歌手であるSílvio Caldas(シルヴィオ・カルダス)とは旧知の仲で彼女の誕生日によく家でショーを開いていたという。またその関係から国民的大歌手のElizeth Cardoso(エリゼッチ・カルドーゾ)やAracy de Almeida(アラシ・ヂ・アルメイダ)などの歌を聞いて育ち、また知り合いになっていった。また父親は、ウルカの丘にあるカザブランカやナイト・アンド・デイというクラブにも彼女を連れて行ったことから、それらの店の女主人であるヴァヴァーおばさんとも知り合いになり、さまざまな歌手のショーを見せてもらったという。また父親は、彼女をエスコーラ・ジ・サンバ(以下エスコーラ)のエンサイオ(練習・リハーサル)によく連れて行った。
彼女は成長すると、カトリック大学PUCに進学し、国際関係学や心理学を専攻するかたわら、1965年にRCAレーベルから、マリオ・ジ・カストロ&アタイージ作“Namorinho”(ナモリーニョ)とホベルト・メネスカル&ホナルド・ボスコリ作“Por quem morreu de amor”(愛に死ぬ者によって)がカップリングされたデオダード編曲によるシングル盤でデビューする。翌年1966年には、オス・ガトスの“Aquele som dos Gatos”にコーラスで参加。またこの時期には、黒人系のサンバにも関わるようになりネルソン・サルジェントやノカ・ダ・ポルテーラといったエスコーラ系サンビスタのショーなどにも参加するようになった。1967年、コンジュント3Dのアルバム“Muito na onda”に参加した。これは彼女の歌を大きくフィーチャーしたもので日本盤も再発売されている。
1968年には、彼女はEMIオデオン専属のソロ歌手として独立し、その音楽活動が決定的なものとなった。同年ではブラジルで次々と歌謡祭やフェスティバルがブラジルで多く開かれた。当時Música nossa(ムジカ・ノッサ、僕らの音楽)と呼ばれるブラジル独自のアコースティックサウンドに回帰しようというムーブメントがジャーナリスト、アルマンド・エンヒッキによって提唱され、イパネマにあるサンタ・ホーザ劇場で“Musica Nossa O Som e o Tempo”(ムジカ・ノッサ、音とテンポ)というショーが行われたが、これが録音されレコードで発売された。またダニーロ・カイーミ&エヂムンド・ソウト&パウリーニョ・タパジョス共作の曲“Andança”(アンダンサ、歩み・軌跡)を第3回国際歌謡祭でエントリーして歌い、これが3位を獲得。これが観客に受けて、コーラスグループのゴールデン・ボーイズをゲストに迎えて録音、翌1969年に同タイトルのアルバムを発売し、TV Globoに出演。その後もTV Excelsior、TV Record、TV Tupiといったテレビ局の番組に出演し、黒人サンビスタのNelson Sargento(ネルソン・サルジェント)とも仕事するようになった。
この頃には家族でチジューカ地区へと引っ越したため、次第に黒人のサンバに傾倒していく。なお、彼女が最初に出した69年のアルバムは、まだサンバは歌っていないが、1973年の“Canto Por Um Novo Dia”では、多くの黒人サンビスタの曲を取り上げ、すでに現在のサンバ歌手としてのベッチを垣間見ることができる。まず家から近かったSalgueiro(サルゲイロ)のコミュニティーを手始めに、Estácio de Sá(エスタシオ)やMangueira(マンゲイラ)にも出入りするようになり、ネルソン・カヴァキーニョを師としてサンバを教わった。
また、Cacique de Ramos(カシーキ・ジ・ハモス、ハモスの酋長)というブロコ・カルナヴァレスコにも足しげく通い、一緒にカーニバルのパレードに出たりしていた。このことから当時カシーキ・ジ・ハモスにあったコンジュント、フンド・ジ・キンタルや、そのメンバーだったジョルジ・アラガゥンやアルミール・ギネトなどと知り合う。
サンバには、リオのカーニバルのような年1度に開く大規模なものと対照的に、庶民の家の裏庭でホームパーティーを開いて歌われるものがある。これはPagode(パゴーヂ)といい、カーニバルに対して日常的なサンバであることから、“普段着のサンバ”などともいわれる。そして、このパゴーヂを演奏していたグループがフンド・ジ・キンタルであった。ベッチは1978年、“De Pé No Chão”で、まだ無名に近かったジョルジ・アラガゥンの曲を初めて紹介。以降の作品でも、そうした新進気鋭のサンビスタの作品を歌うようになり、また彼女のショーのバックミュージシャンとして彼らを多く起用し、世の中に広く紹介した。
ベッチがサンバ・パゴーヂを世に広めた功績ははかり知れないが、これにより多くの埋もれた才能のあるサンビスタが次々とデビューし、また売れるようになった。90年代にはパゴーヂはホマンチコ(ロマンティック)なバラードなどを取り入れるなど変化し多くのパゴーヂ・バンドが登場したが、その源流はベッチにあるといっても過言ではない。またソンブリーニャやアルリンド・クルス、Zeca Pagodinho(ゼカ・パゴジーニョ)、Quinteto em Branco e Preto(キンテート・エン・ブランコ・イ・プレト)などを常にサポートしている。
1968年 - III Festival Internacional da Canção(第3回国際歌謡祭) - ヴォーカルグループGolden Boysと共に出演 - Maracanazinho, no Rio.
1969年 - Olimpíada da Canção - realizado na Grécia
1969年 - IV Festival Internacional da Canção - Maracanazinho, Rio de Janeiro.
1979年 - Show Beth Carvalho - no Cine Show Madureira, no Riode Janeiro
1987年 - Beth Carvalho ao vivo em Montreux
1991年 - Show de Beth Carvalho - na cidade de Olimpía, SP.
1999年 - Pagode de mesa - no Rio de Janeiro
1999年 - Esquina carioca com Walter Alfaiate, Moacyr Luz, Luiz Carlos da Vila, Nelson Sargento, Dona Ivone Lara - no Bar Pirajá, em São Paulo
2000年 - convidada para participar do Show de Jorge Aragão - no Olimpo, Rio de Janeiro
2000年 - Beth Carvalho e a bateria da Mangueira - no Olimpo, Rio de Janeiro.
2000年 - Pagode de mesa 2 - Tom Brasil, São Paulo
2001年 - Nome sagrado - Teatro Rival, Rio de Janeiro
2003年 - participação especial junto com Ademilde Fonseca no espetáculo "Alma feminina", de Eliane Faria - Teatro Rival
2003年 - Beth Carvalho e grupo "A fina flor do samba" - Centro Cultural Carioca - Rio de Janeiro
2004年 - Riação convida Beth Carvalho - Projeto da idade do Mundo - Centro Cultural Banco do Brasil - Brasília, DF
2005年 - Beth Carvalho e convidados - Almir Guinteto, Luiz Carlos da Vila, Zeca Pagodinho, Dudu Nobre, Dona Ivone Lara, Vó Maria e Jongo da Serrinha - Theatro Municipal do Rio de Janeiro, RJ
2006年 - Beth Carvalho - Theatro Municipal do Rio de Janeiro, RJ
2006年 - Beth Carvalho 60 anos - Canecão - Rio de Janeiro
2006年 - Beth Carvalho canta o samba da Bahia - Teatro Castro Alves - Salvador,BA
2007年 - Beth Carvalho canta o samba da Bahia - Canecão - Rio de Janeiro.
ディスコグラフィー
Andança (Odeon - 1969)
Canto Por Um Novo Dia (Tapecar - 1973)
Pra Seu Governo (Tapecar - 1974)
Pandeiro e Viola (Tapecar - 1975)
Mundo Melhor (RCA - 1976、邦題:すばらしき世界)
Nos Botequins da Vida (RCA - 1977、邦題:人生は居酒屋)
De Pé No Chão (RCA - 1978、邦題:私の道)
Beth Carvalho no Pagode (RCA - 1979)
Sentimento Brasileiro (RCA - 1980)
Na fonte (RCA - 1981)
Traço de União (RCA - 1982)
Suor no Rosto (RCA - 1983)
Coração Feliz (RCA - 1984)
Das Bençãos Que Virão Com os Novos Amanhãs - RCA - 1985
Beth - RCA - 1986
Beth Carvalho Ao Vivo (Montreux) - RCA - 1987
Alma do Brasil (Polygram - 1988)
Saudades da Guanabara (Polygram - 1989)
Intérprete (Polygram - 1991)
Ao Vivo no Olympia (Som Livre - 1991)
Pérolas - 25 Anos de Samba (Som Livre - 1992)
Beth Carvalho Canta o Samba de São Paulo (Velas - 1993)
ライブ・イン・マラニャゥン劇場(日本盤のみ、タッタルーガ - 1995)
Brasileira da Gema (Polygram – 1996)
Pérolas do Pagode (Globo / Polydor - 1998)
Pagode de Mesa Ao Vivo (Universal Music - 1999)
Pagode de Mesa Ao Vivo 2 (Universal Music - 2000)
Nome Sagrado - Beth Carvalho Canta Nelson Cavaquinho - Jam Music - 2001
Beth Carvalho Canta Cartola (BMG - 2003)
Beth Carvalho - A Madrinha do Samba - Ao Vivo (CD) (Indie - 2004)
Beth Carvalho - A Madrinha do Samba - Ao Vivo (DVD) (Indie - 2004)
Beth Carvalho - 40 anos de Carreira - Ao Vivo no Theatro Municipal (DVD) (Andança/Sony - BMG - 2006)
Beth Carvalho - 40 anos de Carreira - Ao Vivo no Theatro Municipal - Vol.2 (CD) (Andança/Sony - BMG - 2006)
Beth Carvalho - 40 anos de Carreira - Ao Vivo no Theatro Municipal - Vol.1 (CD) (Andança/Sony - BMG - 2006)