モヒート (スペイン語 : mojito )とは、ラム をベースとした、冷たいタイプ のロングドリンク に分類されるカクテル の1種である。キューバ のハバナ が発祥の地である。有名なカクテルであり、いくつかのレシピ がある。
由来
モヒートの語源は、スペイン語 のmojar (濡らす)に由来するとされる[ 2] 。
新大陸として注目されていたアメリカ諸国から得られる富をコントロールする名目で、英国 女王エリザベス1世 が、スペイン領の都市を略奪する海賊 達の手助けをしていた16世紀 後半、海賊フランシス・ドレーク の部下であるリチャード・ドレーク[ 3] が、1586年 にモヒートの前身となる飲み物「ドラケ(draque)」をキューバの人々へ伝えた、という説が有力[ 4] 。
その説によるとドラケのレシピは、アグアルディエンテ (サトウキビ を原料とする蒸留酒 で、荒削りなラム酒 の前身)と砂糖 、ライム 、ミント を混ぜ合わせる、となっている[ 6] 。また、ドラケは、ハバナを過去最悪のコレラ が襲ったときに、木製のスプーンと共に提供され、医療目的でも消費されていたとされる。
19世紀後半、ドン・ファクンド・バカルディ によって生み出されたホワイトラム、バカルディ ・ラムがキューバ 国内で流行し、ドラケのレシピに使用されていたアグアルディエンテが、バカルディ に切り替えられ[ 7] て、モヒートという人気カクテルとなった[ 6] 。1931年 発行のSloppy Joe's Bar in Havanaのカクテルブック[ 8] にて、モヒートがバカルディ ・ラム のカクテルとして掲載されていた事が、エスクワイア誌 のデータベースに記録されている[ 9] 。
ただし、バカルディ社はキューバ革命 に伴い1960年 にキューバより撤退したため、以降キューバ国内で飲まれているモヒートにはハバナ・クラブ が使用されている。
起源について異説には、キューバのさとうきび畑で働く労働者の間で飲まれていたグアラポ (スペイン語版 ) と呼ばれるサトウキビジュース が発展したものである、というものもある[ 10] 。
レシピ
タンブラー にミントの葉、ライム(レモン を使うこともある)、砂糖[ 注釈 2] を加え、ペストルと呼ばれる擦りこぎ棒またはバースプーンで潰す。この時あまり力を加えすぎないようにする。
その上にラムとソーダ水(トニック・ウォーター を使うこともある)、氷を追加する。ライムの皮を入れずにジュースだけを入れたり、ソーダを入れなかったり、砂糖が少ないレシピもあるので、自分の好きな味を探すと良い。ただし、ライムと砂糖は多めに入れたほうが、氷が溶けても水っぽくならないので、全体に厚みが出る。
アーネスト・ヘミングウェイ が愛したことでも有名で、彼の好んだレシピはドライ・ラムにライム、ミントの葉、砂糖ではなくシロップ に2ダッシュ のビターズ であった。ミントの葉は乳鉢 ですり潰し、すべてを豪快に混ぜて供されたという。
日本でもベーシックなモヒートだけでなく、ラム・ミント・ライム・砂糖にフルーツや野菜などを加えた様々なバリエーションを施したモヒートが広まりつつある。2013年 6月30日 には映画『ラム・ダイアリー 』が公開されたこともあり、バカルディ・ジャパンが缶入りカクテル「バカルディ モヒート」「バカルディ キューバリブレ 」と映画のタイアップキャンペーンを開催[ 14] を展開した。
モヒートが有名な店
ラ・ボデギータ・デル・メディオ
ハバナの旧市街のバー「ラ・ボデギータ・デル・メディオ (英語版 ) 」がモヒートを出す店として有名である。1940年代 にヘミングウェイもこの店に通い、「わがダイキリ はフロリディータ (英語版 ) にて、わがモヒート はボデギータ (英語版 ) にて」との言葉を残した[ 15] (ラ・フロリディータは、同じくハバナ旧市街にある有名なバーの名称である)。
「銀座300BAR 」は、年間約40,000杯のモヒートを販売し、またキューババーテンダー協会の会長フェルナンデス氏から本場の味のレクチャーを受けたことから、2017年7月21日にキューバ大使館 から日本初のモヒート認定証を授与した。
ギャラリー
脚注
注釈
出典
^ おうちでカクテル P.153
^ "mojito" at Dictionary.com
^ Barty-King, Hugh and Massel, Anton: Rum Yesterday and Today, Heidelberg Publishers Limited, Great Britain, 1983
^ The Mojito Company
^ a b Fernando G. Campoamor <<El Hijo Alegre de la Cana de Azucar: Biografia del ron Cubano>>, Ministro de Cultura, Editorial de Cientifico-Tecnica, La Habana, 1985
^ Villoch, Federico: <<La Boca del Morro>>, en Diario de la Marina, La Habana, 28 de octubre de 1940
^ De Baralt, Blanche Z.: Cuban Cookery including Cuban drinks, Editorial Hermes, Havana, 1931
^ Esquire Institute of Advanced Mixology
^ Cookboo Profile - Mojito
^ “バカルディジャパン、缶カクテル2品対象に映画とタイアップキャンペーン実施(日本食糧新聞 2012/7/2 日付 10683 号 8 面) ” . 日本食糧新聞 . (2012年7月2日). オリジナル の2014年2月19日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140219224448/http://news.nissyoku.co.jp/Contents/urn/newsml/nissyoku.co.jp/20120702/UMETSU20120620035345418/1 2014年2月3日 閲覧。
^ オキ・シロー. “カクテル誕生秘話:カリブ海の酒モヒート ”. Webマガジン幻冬舎 . 幻冬舎 . 2007年5月19日時点のオリジナル よりアーカイブ。2007年5月24日 閲覧。
参考文献
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
モヒート に関連するカテゴリがあります。
忘れられないもの The Unforgettables 現代の古典 Contemporary Classics 新時代の飲み物 New Era Drinks 参照