埼玉新都市交通2000系電車(さいたましんとしこうつう2000けいでんしゃ)は、2007年(平成19年)5月22日より営業運転を開始した埼玉新都市交通のAGT(新交通システム)用電車。
概要
2000系は、混雑緩和のための増発と、既存の1010系の置き換え及び1050系の取り換え準備のために導入が行われた。なお、購入に際しては自治体とJR東日本による経営支援を受けている[3]。
2007年の鉄道博物館開館に合わせた増発用に、01編成が導入された。以後、旧車両の置き換えのため、毎年1編成のペースで導入され[4]、2010年に02編成、2011年に03編成・04編成、2012年に05編成、2013年に06編成、2014年に07編成が増備された[5]。総数は6両編成7本の42両である。
概説
ゴムタイヤ式2軸車の6両編成。
2100(M1)-2200(M2)-2300(M3)-2400(M4)-2500(M5)-2600(M6)
車体
車体はステンレス鋼製で、車体長は既存の車両と同じく8mだが、混雑緩和策として車体幅を160mm広くし、天井も30mm高くなった。
前面の形状も一新されたほか、行先表示器には、埼玉新都市交通で初採用となるLED式の表示器が使われ、前面運転台窓上のほか、側面にも設置されている(第1編成は1・2・5・6号車に設置、第2編成以降は2・5号車のみ設置)。また、前照灯は当初シールドビームが使用されていたが、2016年11月頃より順次HIDに交換されている。
前面と側面には編成ごとに異なるカラーを採用した。第1編成の前面塗装と側面帯には、埼玉県の県花「サクラソウ」をモチーフとしたメタリックピンク、前面・側面の窓周りには埼玉県の県鳥「シラコバト」のグレーをモチーフとしたダークグレーとシルバーグレーが配色され、既存の車両とは印象が大きく変わることとなった[1]。第2編成以降では前面と側面帯のみで(各編成の帯色については後述)、側面窓周り及び幕板部分が無塗装となった。第1編成も後に第2編成以降と同じように変更された。
車内
座席はオールロングシートであり、座席が緑、壁はグレー、床敷物はパープルのストライプ模様となっている(第2編成以降はパープル1色)。座席の前にはスタンションポール(縦の握り棒)が新設され、混雑時の対策もなされた。両先頭車の乗務員室直後には、折りたたみ式座席付きの車椅子スペースが設置されている[1]。
窓は2段式で、上段は内傾式窓だが下段は固定窓となっている。第1編成では下段に日差し対策の横引きカーテンが設置されていたが[1]、第2編成以降では省略され、後に第1編成のカーテンも廃止された。
各ドア上には、LED式の車内案内表示装置が設置されており、次駅、行先などを案内する。当初は第1編成のみ両側配置で、第2編成以降は千鳥状に配置されていたが、2016年2月頃より第2編成以降も両側配置となっている。ドアブザーも装備されている。また、暖房効果持続のため、先頭車両のドアのみを開け、そのほかの車両のドアを閉める機能が備え付けられている。
また、2017年3月から第7編成の両先頭車で、車内防犯カメラの試行が行われ[6]、2018年からは全車両への取り付けが開始された[7]。2023年になって第1編成にドアランプが搭載されたが2020系とは、点滅の仕方が異なる。
制御装置
主変換装置には東洋電機製造製2レベルCI(コンバータ/インバータ)によるVVVFインバータ制御(RG-697-A-M形・新製当初)を採用している[2]。機器はコンバータ部・インバータ部共IGBT素子(1,700V - 1,200A)を使用しており、三相交流をコンバータにより直流に変換後、VVVFインバータ装置で三相交流に変換して誘導電動機を制御する(PGセンサレスベクトル制御・定速運転対応)[2]。主電動機はかご形三相誘導電動機であり、型式はTDK-6450-A(端子電圧700V、電流133A、周波数55Hz、出力125kW、定格回転数1,610rpm、効率91.5%、力率85%)である[2]。1台のCIにより、3台の主電動機を制御する1C3M制御方式である[2]。
2023年より主変換装置の機器更新(RG-6052-A-M形)が行われている[8]。
乗務員室
運転台は既存の車両と同じくワンマン運転に対応しており、運転台の正面には速度計などの計器類が、右側にはモニタ装置ディスプレイが配されている[1]。主幹制御器は片手ワンハンドル式(デッドマン装置付)で、力行1 - 3ノッチ、ブレーキは1 - 5段・非常位置である[2]。
歴史
- 2007年(平成19年)5月22日 - 01編成(2101F)を導入する(配色はサクラソウのピンクとシラコバトのグレー)。
- 2010年(平成22年)3月8日 - 02編成(2102F)を導入する(オレンジ色)。
- 2010年(平成22年)12月21日 - 大宮駅 - 鉄道博物館駅間でお召し列車として運用(02編成)。
- 2011年(平成23年)2月7日 - 03編成(2103F)を導入する(緑色)[9]。
- 2011年(平成23年)12月28日 - 04編成(2104F)を導入する(黄色)[10]。
- 2012年(平成24年)12月5日 - 05編成(2105F)を導入する(水色)[11]。
- 2013年(平成25年)12月 - 06編成(2106F)を導入する(開業30年を記念した、開業時の赤色)[12]。
- 2014年(平成26年)12月 - 07編成(2107F)を導入する(さくら色)[5][13]。
- 2018年(平成30年)7月 - 01編成の配色をレッドパープルに変更する[14]。
- 2019年(平成31年)1月16日 - 加茂宮駅 - 鉄道博物館駅間を走行中の大宮行06編成の最後尾(2606)のタイヤがパンク、バーストし、案内軌条から離脱して自走不能となった。乗客は徒歩で駅へ避難し、事故車の2606以外は牽引により回送、2606はクレーン車により地上に降ろされ、トレーラーで搬送された[15]。同編成は運用を離脱し、2606以外は丸山車両基地に留置された。
- 2019年(令和元年)10月30日 - 2606の修理が完了し、06編成が運行再開[16]。
編成表
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(ループ線のため、1往復ごとに車両の向きが変わる) ← 大宮・内宿 大宮・内宿 →
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形式
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2100形 (M1)
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2200形 (M2)
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2300形 (M3)
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2400形 (M4)
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2500形 (M5)
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2600形 (M6)
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機器配置
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APU,CP |
CI |
BT |
BT |
CI |
APU,CP
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車両番号
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2101 : 2107 |
2201 : 2207 |
2301 : 2307
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2401 : 2407 |
2501 : 2507 |
2601 : 2607
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凡例
- CI:主変換装置
APU:補助電源装置
CP:空気圧縮機
BT:蓄電池
脚注
参考文献
- 交友社編集部 「CAR INFO 埼玉新都市交通2000系」『鉄道ファン』2007年8月号(通巻556号)、交友社。