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四代目 市川 猿之助(いちかわ えんのすけ、1975年〈昭和50年〉11月26日[1] - )は、日本の俳優、歌舞伎役者。屋号は澤瀉屋。定紋は澤瀉、替紋は三ツ猿。歌舞伎名跡「市川猿之助」の当代。東京都出身[1]。本名は喜熨斗 孝彦(きのし たかひこ)[1]。2012年6月、二代目市川亀治郎改め、四代目市川猿之助を襲名。
歌舞伎における立役、女方、舞踊に至るまで、優れた理解力と表現力に富む。女方を多く勤めた亀治郎時代を経て、猿之助を襲名。
2007年にNHK大河ドラマ『風林火山』で武田晴信を演じて以降、テレビドラマ、映画、現代劇、バラエティ番組にも多数出演する。
暁星小学校、暁星中学校、暁星高校、慶應義塾大学文学部[1]国文学専攻卒業。
京都芸術劇場「春秋座」芸術監督。公称身長171cm[35]。
「猿之助」の名跡は伯父にあたる当代猿翁から受け継ぐ。幼少の頃から伯父に憧れ、『義経千本桜』の通称「四ノ切」で源九郎狐となって宙乗りをする先代を見て「ボクもああなるの」と話したという[36]。自身の初演は2010年8月18日、国立劇場。襲名する年まで主宰した自主公演「亀治郎の会」の舞台だった。これを観た先代が「猿之助」の名跡を当代に譲る決意をしたともされ、以後、本公演で繰り返し上演、当たり役とする。生涯千回は演じたいと話す[36]。
趣味は骨董品の蒐集と寺院仏閣巡り。幼少の頃の趣味は仏像集め。段ボール2箱分の仏像を披露し、父・段四郎の弟子を驚かせた逸話もある。その後は浮世絵を蒐集し、役者絵ばかりを所有した。しかし、その事で浮世絵関連の仕事が続き、同じ話ばかりで飽きたため「いっそのこと、コレクションは全部焼いてしまったということにした」[37]。酒器も収集しており、和食を外食する時には桃山時代のお猪口を持参する事がある。2016年には骨董に関するエッセイ集『猿の眼 僕ノ愛スル器タチ』を著したが、持ち主が自分の収集品を述べる文章は「自己陶酔の自慢話に過ぎないじゃねえか!」と否定的である[37]。
蔵書家。舞台で虚構の世界を演じるため、実生活で読む本は多くがノンフィクションであり、宗教、哲学、歴史を中心とした蔵書が多いという。スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』などの作者でもある哲学者、梅原猛を学生時代から崇拝。2010年1月 - 6月には日本経済新聞プロムナード欄にエッセイを連載。
慶応の学生時代は、授業と麻雀の生活を楽しんだ。慶応塾生新聞のインタビューでは、「徹夜で友人と麻雀をしていました。夜中まで三田で麻雀をして、そのまま学校へ行く、みたいな生活でしたね(笑)」と語ってる[38]。
芸能界の交友も広い。高校生の頃からラジオ番組ニッポン放送『福山雅治のオールナイトニッポン』を愛聴する福山雅治のファンである。同じ事務所の先輩にあたる俳優・佐々木蔵之介は、社会人としての常識が備わった人物として尊敬しているという[39]。四代目襲名と同時に、九代目中車を襲名した俳優・香川照之とは従兄でありながら互いに面識がなかったが、2006年の祖母の命日に墓参りをした際、たまたま出会ったことをきっかけに親交が始まった[40]。大学時代の同級に当たる武者小路千家15世家元・千宗屋とは趣味の古美術・茶道具の蒐集を通し、その親交が続いている[41]。
2006年の三谷幸喜演出による『決闘!高田馬場』が、外部の演出家による舞台への初出演であった。
2014年3月 - 4月、「スーパー歌舞伎II(セカンド)」と銘打って新作『空ヲ刻ム者』(前川知大作・演出、仏師・十和役で主演)を2ヶ月にわたって東京と大阪でそれぞれ上演。
2015年10月 - 11月、新橋演舞場で「スーパー歌舞伎II」の第2作として、人気コミック『ワンピース』(尾田栄一郎原作)を横内謙介脚本で制作。自身はルフィ、ハンコック、シャンクスの3役を演じた。最先端の技術と歌舞伎・スーパー歌舞伎の型を惜しみなく融合させ、加えて若手歌舞伎俳優の抜擢、ゆずの北川悠仁作詞・作曲の主題歌を起用するなど斬新な演出を試みた舞台に、歌舞伎、ワンピース双方のファンが連日足を運び、賑わいを見せた。翌年の大阪、福岡公演では大幅に脚本、演出に手を加え、さらに見所を増大させた。
2017年10月 - 11月、 2年ぶりに『ワンピース』誕生の地新橋演舞場で凱旋公演を行う。演出の変更、ダブルキャストの導入、ゆずの歌唱による『TETOTE』を携え、「ワンピースの完成形」と本人の語る舞台が10月6日に開幕したが、10月9日、昼の部の公演中に花道の昇降装置に衣装が巻き込まれ、左腕の複数箇所を骨折する重傷を負う[42]。翌10日から休演。尾上右近が代役を勤め、公演は滞りなく千龝楽まで上演された[43]。
2018年1月、歌舞伎座で行われた10代目松本幸四郎の襲名披露公演で左手を庇いながらも舞台復帰を果たす[44]。