建部大社(たけべたいしゃ)は、滋賀県大津市神領にある神社。式内社(名神大社)、近江国一宮。旧社格は官幣大社で、現在は神社本庁の別表神社。旧称は「建部神社」。
2015年(平成27年)4月24日、「琵琶湖とその水辺景観- 祈りと暮らしの水遺産」の構成文化財として日本遺産に認定される[1]。
祭神
主祭神は次の通り。
歴史
社伝では、日本武尊の死後の景行天皇46年、日本武尊の妃・布多遅比売命が神勅によって、御子・建部稲依別命とともに住んでいた神崎郡建部郷千草嶽(現・東近江市五個荘伊野部町付近の箕作山)の地に日本武尊を「建部大神」として祀ったのが創建とされる[3]。建部郷の「建部」の名は日本武尊をしのんで名代として名付けられたことに因むといい、他にも各地に設けられている。のち、天武天皇4年(675年)に近江の守護神として、現在地の栗太郡勢多へ遷座したという[4]。遷座後、元の千草嶽の麓には神護景雲2年(768年)に聖真大明神と建部大明神が設けられたとされ、現在は建部神社が建てられている。
天平勝宝7歳(755年)には、大己貴命が大神神社から勧請され、権殿に祀られたという。
平安時代中期の『延喜式』神名帳には近江国栗太郡に「建部神社 名神大」と記載されて名神大社に列している。その後、近江国の一宮として崇敬された。
源頼朝が平治の乱に敗れて伊豆国に流される道中、本社に立ち寄って源氏の再興を祈願、後に大願成就したことから、出世開運の神としても著名となった。
1871年(明治4年)近代社格制度において「建部神社」として県社に列格され、1885年(明治18年)に官幣中社、1900年(明治33年)に官幣大社となった。戦後の1948年(昭和23年)に神社本庁の別表神社に加列され、社名を「建部大社」と改めた。
なお、1945年(昭和20年)8月17日、日本で初めて作られた千円紙幣(甲号券)の図柄に日本武尊と当社本殿が使用された。
神階
境内
- 本殿 - 主神を祀る本殿と権殿は同形式の一間社流造で並列して鎮座する。
- 権殿
- 拝所
- 拝殿 - 本殿・権殿共用である。拝殿前に立つ三本杉は、大己貴命が権殿に祀られた際に一夜にして成長したと伝わる神木で、当社の神紋にもなっている。
- 石燈籠(重要文化財) - 鎌倉時代の文永7年(1270年)の造営。
- 絵馬所
- 神馬舎
- 宝物殿
- 庭園
- 社務所
- 美寿喜会館
- 婚儀殿
- 源頼朝公出世の水 - 源頼朝が平治の乱に敗れた後に伊豆国に流される途中で当社に立ち寄り、源氏の再興を祈願し、願いがかなったことから名付けられた。
- 神門
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本殿と権殿(遠景)
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三本杉(手前)と拝殿
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宝物殿
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小燈籠
キリシタン燈籠。
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神門
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二の鳥居
摂末社
摂社
- 聖宮神社 (ひぢりのみやじんじゃ)
- 大政所神社 (おおまんどころじんじゃ)
- 藤宮神社
- 若宮神社
- 祭神の関係略図
- 社伝に従うもので、『古事記』『日本書紀』等とは若干異なる。
末社
- 行事神社
- 弓取神社
- 箭取神社 (せんとりじんじゃ)
- 祭神:石占横立、尾張田子之稲置、乳近之稲置 - 日本武尊の家臣。
- 蔵人頭神社(膳夫神社)
- 大野神社
- 祭神:草野姫命 - 当社遷座以前から祀られていたという地主神。
- 武富稲荷神社
- 八柱神社
- 桧山神社
- 本社境内北方にある御旅山に鎮座する、境外末社である。熊野神社、山神社、鞭指神社を合祀し改称した。本社境内には遙拝所がある。
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本殿左の摂末社
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本殿右の摂末社
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大野神社
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稲荷神社
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八柱神社
祭事
年間祭事
年間祭事一覧
- 1月
- 歳旦祭 (1月1日)
- 元始祭 (1月3日)
- 山神祭 (末社桧山神社祭、1月9日)
- 成人祭 (1月15日)
- 2月
- 節分祭 (不定)
- 護国祭 (2月4日) - 弓の神事
- 紀元祭 (2月11日)
- 祈年祭 (春の大祭、2月17日)
- 3月
- 4月
- 境内社大野神社祭 (4月1日)
- 宵宮祭 (4月14日)
- 例大祭 (4月15日) - 神輿渡御
- 6月
- 挿秧祭 (6月15日) - 田植の神事
- 大祓式 (6月30日)
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- 8月
- 納涼榊立祭 (8月1日)
- 納涼祭 (8月7日)
- 宵宮祭 (8月16日)
- 納涼船幸祭 (8月17日) - 大津三大祭の1つ
- 10月
- 11月
- 新嘗祭 (秋の大祭、11月23日)
- 鎮火祭 (11月26日)
- 12月
- 天長祭 (12月23日)
- 大祓式 (12月31日)
- 除夜祭 (12月31日)
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船幸祭
重さ1.5tの大神輿を御座船に乗せ瀬田川を下る「船幸祭」が、毎年8月17日に行われる。これは日本武尊の東征故事に拠るもので、日吉大社の「山王祭」(春)、天孫神社の「大津祭」(秋)と共に、「大津三大祭」の1つともされている。
文化財
重要文化財
- 木造女神坐像 附:木造小女神坐像 2躯(彫刻) - 平安時代の作。1905年(明治38年)4月4日指定[5]。
- 石燈籠(工芸品) - 文永7年(1270年)庚午五月七日造立之の刻銘がある。1962年(昭和37年)6月21日指定[6]。
前後の札所
- 神仏霊場巡拝の道
- 144 御上神社 - 145 建部大社 - 146 石山寺
関係地
現地情報
- 所在地
- 付属施設
- 宝物殿 - 正月元旦のみ終日公開(拝観無料)、その他は事前要予約(拝観料200円)。
- 交通アクセス
- 鉄道
- バス
- 石山駅から
- 瀬田駅から
- 近江鉄道バス(神領団地線 神領団地経由石山駅行)で「神領建部大社前」停留所下車
- 車
- 周辺
脚注
注釈
出典
参考文献
関連図書
外部リンク
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