『第48回NHK紅白歌合戦』(だいよんじゅうはっかいエヌエイチケイこうはくうたがっせん)は、1997年(平成9年)12月31日にNHKホールで行われた、通算48回目の『NHK紅白歌合戦』。
20時から21時25分および21時30分 - 23時45分にNHKで生放送された。
概要
放送まで
両組司会は和田アキ子・中居正広(当時SMAP)が起用された。和田は第39回(1988年)以来9年ぶり3回目の紅組司会担当。当時25歳の中居は白組司会の最年少記録を打ち立てた(ジャニーズ事務所のタレントが司会を務めたのも初)。NHKでは、原来から貢献度・レギュラー番組がある芸能人・司会者を起用することが基本とされているが出演経験はあるものの両軍ともそれがないため非常に珍しい起用となった。
総合司会は3年連続で宮本隆治が務めたが、今回は自身初の単独での担当となった(過去2年間は後輩の草野満代と共同での担当)。
和田は山川静夫以来2人目、女性では史上初の昭和・平成の紅白双方での司会経験者となった。
今回の司会発表は11月18日に行われた。
秋口より各新聞・雑誌が白組司会の人選について、「古舘伊知郎の4年連続起用で内定」と揃って報じていた。しかし実際は中居の起用が決定していた。中居は司会発表直前の時期(11月)に写真週刊誌に「ノーパンしゃぶしゃぶ嬢」との交際を報じられる事態が発生したが、NHKはこの報道について「仮に事実であっても法に触れるわけではないし問題なし」との判断を下し、内定していた白組司会にも影響はなかった[1]。司会発表会見で和田は「お話を頂いた時は悩んだけど、組み合わせを聞いて決めました。中居君は皆さんが感じている程、軽い人間じゃない」と中居をフォローする一幕があった[2]。
紅組司会の人選について、当初は安室奈美恵の起用を噂する声もあったが、妊娠中という体調を考慮し噂止まりとなる。その後、前回担当者の松たか子がこの年歌手デビューを果たしたこともあり、彼女の歌手兼司会起用案も持ち上がり、松・中居で20代同士のコンビとする構想もあったが、最終的には「中居が頼れる慣れたベテラン司会者がいいのでは?」「紅白の雰囲気は独特だから・・・」と過去2回紅組司会を経験しここ数年紅組のまとめ役を務めていた和田の再登板が決定した[3]。司会発表会見で和田は「でもまだ歌手としての出場が決まっていない。司会だけだったら辞退しますよ」と語り、記者団を笑わせる一幕があった[4]。
司会発表が行われた11月18日に「『古舘自殺』というフェークニュースがばらまかれる」という事態が発生した[5]。
当日のステージ
- 前回に引き続きオープニングで「乾杯の歌」が使用された。オープニングはライトセーバーを持ってセリに立つ和田と中居がドライアイスが敷かれたステージの下から登場して開幕となった。
- 冒頭で中居は「ド緊張」と書かれた扇子を披露。以後、中居は組司会を担当する際、冒頭で文字の書かれた扇子を披露することが恒例となった。
- 初出場のSPEEDが紅組トップバッターを担当、女性のみで構成されるグループがトップバッターを務めるのは初めて。
- 「フラれて元気」を披露したTOKIOは、一部歌詞を白組を応援するものに変えて歌った。
- 反町隆史は自身主演のフジテレビ系ドラマ『ビーチボーイズ』の主題歌「Forever」を歌唱。歌唱終了直後に『ビーチボーイズ』で反町とのダブル主演として出演していた竹野内豊が登場し、「紅白出場おめでとう」と祝辞を述べ、握手で激励した。
- 第1部には長野オリンピックを先駆けたコーナーが設けられた。コーナーのラストには同オリンピックの公式テーマソングであるAGHARTAの「ILE AIYE〜WAになっておどろう〜」が三倉茉奈・佳奈、前田愛、前田亜季、鈴木杏と出場歌手らで合唱された。
- 前年紅組司会の松たか子は、本回は歌手として出場したが、歌唱前に松が和田に「去年はありがとうございました」、和田が松に「いえいえ、どう致しまして」とのやりとりがそれぞれ交わされた。また、和田の曲紹介は松が行った。
- 伍代夏子の曲前に和田が審査員の吉永小百合に「紅組・白組どちらが優勢でしょうか?」と振ったところ、「去年は松さんが司会で松さんが初々しくて、皆で守ってあげようという雰囲気を感じましたが、今年は和田キャプテンが怖いからということで、紅組に勢いがありますね」と吉永が返して会場や視聴者をわかせた。
- 森高千里の曲紹介を美川憲一が行った。
- SMAPは前年に引き続き後半のトップバッターを務め、「ダイナマイト」、「セロリ」のメドレーを披露。なお、SMAPの曲紹介は中居が自ら行った。
- 華原朋美の歌唱では前年と同様、プロデューサーで当時交際中だった小室哲哉が駆けつけ、ギター演奏とコーラスを担当した。
- 美川憲一はプリンセス・テンコープロデュースによるイリュージョンを採用した間奏で一旦ステージから消え、2番の歌唱からは、「大天使ミカエル」に扮し大きな翼を生やした衣装に早着替えし空中浮遊で現れ会場が歓声に包まれた。美川の紅白のステージは、以降第53回(2002年)までプリンセス・テンコープロデュースによる演出となった。
- 小林幸子は「生命誕生」と題した豪華衣装で登場。間奏あたりでステージいっぱいに蝶々の羽をイメージした舞台装置が展開した。
- X JAPANはこの日、東京ドームでの解散ライブを行った直後にNHKホールに移動して「Forever Love」を歌唱し、正式に解散した。
- この年還暦を迎えた加山雄三は、白組メンバーのさだまさし(ギター)、西城秀樹(ドラム)、城島茂(TOKIO・ギター)、はたけ(シャ乱Q・ギター)、まこと(シャ乱Q・ドラム)とスペシャルバンドを結成し、「夜空の星」、「ブラック・サンド・ビーチ」、「蒼い星くず」のメドレーを披露した。
- 由紀さおり・安田祥子は「トルコ行進曲」をスキャットで歌唱した。
- 森進一はこの年、北海道のえりも町に自身の歌う銅像が建った記念に「襟裳岬」を歌唱した。
- この年デビュー5周年を迎え、結婚・妊娠を発表、本紅白を最後に産休に入る安室奈美恵が「CAN YOU CELEBRATE?」(同曲で2年連続で日本レコード大賞受賞)で紅組トリを飾り、注目を集めた。
- 白組トリ・大トリは五木ひろしで、翌1998年2月の直前に迫った長野オリンピックへの賛歌として、五木が当地・長野県を舞台にして1975年に発表した「千曲川」を歌唱。同曲発表年の第26回でも五木は同曲を自身初の白組トリを務めた際にも歌唱しており、紅白で2回目の披露となった。
- 9対4で白組が優勝(客席審査では紅組:1068、白組:1610、ゲスト審査員は紅組:4、白組:7で共に白組が優勢)。紅白両軍では第25回(1974年)以来23年ぶり、白組単独では第13回(1962年)以来35年ぶりに3連勝を達成した。
その他
司会者
演奏
審査員
大会委員長
出場歌手
初出場、 返り咲き。
「98ナガノ」の曲目・歌手
「ありがとう1997ショー」の曲目・歌手
選考を巡って
ゲスト出演者
演奏ゲスト
脚注
- ^ 紅白司会に中居クン大抜擢のウラ - ウェイバックマシン(1998年2月11日アーカイブ分)
- ^ 合田道人『紅白歌合戦の真実』
- ^ 合田『紅白歌合戦の真実』
- ^ 合田『紅白歌合戦の真実』
- ^ 古舘伊知郎 紅白司会卒業、発表当日にテレビ局にばらまかれたフェイクニュースに仰天「俺、死んだの?」,デイリースポーツ,2023年
- ^ 「ポケモン」紅白落選、ZAKZAK、1997年12月18日。(インターネットアーカイブのキャッシュ)
- ^ サッカー選手は紅白が嫌い?、ZAKZAK、1997年12月25日。(インターネット・アーカイブのキャッシュ)
- ^ 厳密には仁左衛門名義は翌月の襲名披露からで、放送時点では「片岡孝夫」だったが、番組には仁左衛門として出演した。
- ^ 「セロリ」「ダイナマイト」のメドレー
- ^ 「お嫁サンバ」「マイレディー」「よろしく哀愁」のメドレー
- ^ 「夜空の星」「ブラック・サンド・ビーチ」「蒼い星くず」のメドレー
- ^ 『読売新聞』1997年12月4日付東京夕刊、13頁。
- ^ a b c d e f g h i j 紅白「あの人がいない!」、ZAKZAK、1997年11月28日。(インターネット・アーカイブのキャッシュ)
参考文献
- NHK『テレビ50年 あの日あの時、そして未来へ』(NHKサービスセンター 2003年2月)
外部リンク
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