荻野 アンナ(おぎの あんな、本名:荻野 安奈、 1956年(昭和31年)11月7日 - )は、日本のフランス文学者、小説家。慶應義塾大学名誉教授。
経歴
出生名:アンナ・ガイヤールとして神奈川県横浜市中区で育つ。父はイタリア・スペイン・クロアチアなどの血筋を引くアメリカ人。母江見絹子は兵庫県明石市出身の[2]画家で、岡本太郎らと交流した。荻野の文学研究や創作活動には、母親の強い影響があると自認している。小学校時代に日本へ帰化し、荻野姓となる。
フェリス女学院高等学校、慶應義塾大学文学部仏文科を卒業。フランス政府給費留学生としてパリ第4大学に留学し、ラブレーを研究する。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程満期退学[1]。
慶應義塾大学商学部助手(1987年(昭和62年) - 1995年(平成7年))、慶應義塾大学文学部仏文科助教授(1995年(平成7年) - 2002年(平成14年))を経て、2002年(平成14年)4月より慶應義塾大学文学部文学系仏文学専攻教授。2022年定年退任、名誉教授。
小説家としては1991年(平成3年)『背負い水』で第105回芥川賞を受賞。2002年(平成14年)『ホラ吹きアンリの冒険』で読売文学賞を受賞[3]。2008年(平成20年)『蟹と彼と私』で第19回伊藤整文学賞を受賞。
駄洒落好きとして知られ、ワイドショーのコメンテーターとして駄洒落を連発する他、芥川賞の受賞を報せる電話にも「あ、しょう」と応えた。
2005年(平成17年)には落語家の11代目金原亭馬生に弟子入り。2009年(平成21年)時点では二つ目として金原亭駒ん奈[3]を名乗り高座にも上がっていた。
2007年(平成19年)に内閣官房「美しい国づくり」プロジェクト・企画会議委員。フランス政府より教育功労章シュヴァリエ叙勲[1]。
2009年(平成21年)より読売文学賞選考委員。
夫を食道がんで亡くし、2012年には自身も大腸がんを患った[4]。
2024年(令和6年)4月1日、神奈川近代文学館館長に就任した[3]。前館長の辻原登から打診を受けた[3]。
著書
単著
- 『遊機体』(文藝春秋、1990年)
- 『ブリューゲル、飛んだ』(新潮社、1991年、のち文庫)
- 『私の愛毒書』(福武書店、1991年、のち文庫)
- 『背負い水』(文藝春秋、1991年 のち文庫)
- 『アイ・ラブ安吾』(朝日新聞社、1992年 のち文庫)
- 『コジキ外伝』(岩波書店、1992年)
- 『週刊オギノ』(角川文庫、1993年)
- 『アンナ流元気がなにより』(海竜社、1993年)
- 『マドンナの変身失格』(福武書店、1993年)
- 『桃物語』(講談社、1994年)
- 『食べる女』(文藝春秋、1994年)
- 『ラブレー出帆』(岩波書店、1994年)
- 『百万長者と結婚する教』(講談社、1995年)
- 『アンナの工場観光』(共同通信社、1995年 のち朝日文庫)
- 『生ムギ生ゴメ生アクビ』(講談社、1995年)
- 『名探偵マリリン』(朝日新聞社、1995年 のち文庫)
- 『空の本』(パルコ出版、1996年)
- 『華のパサージュ物語――パリ』(日本放送出版協会、1996年)
- 『半死半生』(角川書店、1996年)
- 『一日三食ひるね事典』(ティビーエス・ブリタニカ、1999年)
- 『空飛ぶ豚 アンナのブタ・コレ』(共同通信社、1999年)
- 『ホラ吹きアンリの冒険』(文藝春秋、2001年)
- 『けなげ』(岩波書店、2002年)
- 『とんとん拍子』(清流出版、2002年)
- 『アンナのエネルギー観光』(エイ出版社、2004年)
- 『ラブレーで元気になる』(みすず書房、2005年)
- 『蟹と彼と私』(集英社、2007年)
- 『殴る女』(集英社、2010年)
- 『働くアンナの一人っ子介護』(グラフ社、2009年)
- 『えろたま』(中央公論新社、2013年)
- 『電気作家』(ゴマブックス、2015年)
- 『カシス川』(文藝春秋、2017年)
- 『老婦人マリアンヌ鈴木の部屋』朝日新聞出版, 2021.2
共編著
- (松原秀一、養老孟司共著)『死の発見―ヨーロッパの古層を訪ねて』(岩波書店、1997年)
- (夏石番矢、復本一郎共編)『パロディーの世紀』(雄山閣出版、1997年)
- 『荻野アンナとテリー伊藤のまっかなウソのつき方』(イーグルパブリシング、1999年)
- 『人造美女は可能か?』巽孝之共編著 (慶應義塾大学出版会、2006年)
- 『大震災欲と仁義』荻野アンナとゲリラ隊 著 (共同通信社、2011年)
- 『古武術で毎日がラクラク!疲れない、ケガしない「体の使い方」』(甲野善紀指導・監修 2012年、祥伝社黄金文庫)
- 『やさしいフランス語で楽しむ荻野アンナのフラふら落語』(小池美穂 共同執筆 Vincent Brancourt 欧文監修 NHK出版、2014年)
翻訳
- ジャンージャック・サンペ作・絵『とんだタビュラン』(太平社、1997年)
- ジャンージャック・サンペ作・絵『恋人たち アーム・スール』(太平社、1998年)
- マルティーヌ・ブール絵 マリー・オディール・ジュード文『おはなのすきなおおかみくん』(講談社 世界の絵本、1999年)
- ジャンージャック・サンペ作・絵『サン・トロペ』(太平社、1999年)
- ノエル・デュ・ファイユ『田園閑話』『フランス・ルネサンス文学集2』(白水社、2016年)
- ジャン=ジャック・サンペ 作・絵『今さら言えない小さな秘密』ファベル, 2019.8
出演
脚注
関連項目
外部リンク
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1930年代 - 1950年代(第1回 - 第42回) |
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1960年代 - 1970年代(第43回 - 第82回) |
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1980年代 - 1990年代(第83回 - 第122回) |
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1980年代 |
- 第83回 該当作品なし
- 第84回 尾辻克彦「父が消えた」
- 第85回 吉行理恵「小さな貴婦人」
- 第86回 該当作品なし
- 第87回 該当作品なし
- 第88回 加藤幸子 「夢の壁」/ 唐十郎「佐川君からの手紙」
- 第89回 該当作品なし
- 第90回 笠原淳「杢二の世界」、高樹のぶ子「光抱く友よ」
- 第91回 該当作品なし
- 第92回 木崎さと子「青桐」
- 第93回 該当作品なし
- 第94回 米谷ふみ子「過越しの祭」
- 第95回 該当作品なし
- 第96回 該当作品なし
- 第97回 村田喜代子「鍋の中」
- 第98回 池澤夏樹「スティル・ライフ」/ 三浦清宏「長男の出家」
- 第99回 新井満 「尋ね人の時間」
- 第100回 南木佳士「ダイヤモンドダスト」/ 李良枝「由煕」
- 第101回 該当作品なし
- 第102回 大岡玲「表層生活」/瀧澤美恵子「ネコババのいる町で」
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2000年代 - 2010年代(第123回 - 第162回) |
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2020年代 - 2030年代(第163回 - ) |
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