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透磁率

この項目の内容は、2019年5月20日に施行されたSI基本単位の再定義の影響を受けます。そのため、その変更を反映するために改訂する必要があります。
透磁率
magnetic permeability
量記号 μ
次元 M L T−2 I−2
種類 スカラー [疑問点]
SI単位 H/m
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透磁率(とうじりつ、: permeability)または導磁率(どうじりつ)は、磁場(磁界)の強さ H磁束密度 B との間の関係を B = μH で表した時の比例定数 μ である。単位は H/m (ヘンリーメートル)、あるいは N/A2ニュートン毎平方アンペア)。

磁界の強さ H と磁束密度 B との関係、磁化曲線または B-H カーブの傾きになる。実用的な強磁性磁気材料では、磁化曲線はヒステリシスをもつので、透磁率は始め小さく(初透磁率)、その後大きくなる。

真空の透磁率 μ0 との比 μr = μ/μ0比透磁率という。均質で等方的な媒質の比透磁率は、光学波長域では1である。

透磁率の値の例

以下の表を使用する場合は、強磁性体の透磁率が磁束密度によって大きく変化することに注意。例えば4 %ケイ素鋼は通常0 T付近で2000の比透磁率を持つが、最大では35000にもなる[1]。十分に高い磁束密度中では磁気飽和を起こすため、どんな物質の比透磁率も1となる。

代表的な物質における磁化率と透磁率の値
物質 磁化率 χm
(volumetric SI)
透磁率 μ [H/m] 比透磁率 μ/μ0 磁束密度 最大周波数
Metglas英語版 1.26×100 1000000[2] 0.5 Tにおいて 100 kHz
(水素雰囲気中で焼きなましされた、99.95 % 純鉄) 2.5×10−1 200000[3]
ナノパーム 1.0×10−1 80000[4] 0.5 Tにおいて 10 kHz
ミューメタル 2.5×10−2 20000[5] 0.002 Tにおいて
ミューメタル 6.3×10−2 50000[6]
コバルト合金 (高透磁率ストリップ素材) 2.3×10−2 18000[7]
パーマロイ 8000 1.0×10−2 100000[3] 0.002 Tにおいて
(99.8 % 純鉄) 6.3×10−3 5000[3]
ケイ素鋼 5.0×10−3 4000[5] 0.002 Tにおいて
フェライトステンレス鋼 (焼きなました物) 1.26×10−3 - 2.26×10−3 1000–1800[8]
マルテンサイト系ステンレス鋼 (焼きなました物) 9.42×10−4 - 1.19×10−3 750–950[8]
フェライト (マンガン亜鉛系) >8.0×10−4 640 (または、それ以上) 100 kHz ~ 1 MHz
フェライト (ニッケル亜鉛系) 2.0×10−58.0×10−4 16–640 100 kHz ~ 1 MHz[要出典]
炭素鋼 1.26×10−4 100[5] 0.002 Tにおいて
ニッケル 1.26×10−4 - 7.54×10−4 100[5] – 600 0.002 Tにおいて
マルテンサイト系ステンレス鋼 (焼き入れ) 5.0×10−5 - 1.2×10−4 40–95[8]
オーステナイト系ステンレス鋼 1.260×10−6 - 8.8×10−6 1.003–7 [8][9] [※ 1]
ネオジム磁石 1.32×10−6 1.05[10]
プラチナ 1.256970×10−6 1.000265
アルミニウム 2.22×10−5[11] 1.256665×10−6 1.000022
木材 1.25663760×10−6 1.00000043[11]
空気 1.25663753×10−6 1.00000037 [12]
コンクリート (乾燥) 1[13]
真空中(μ0) 0 1.25663706212×10−6 [※ 2] 1, 正確に[※ 3]
水素 −2.2×10−9[11] 1.2566371×10−6 1.0000000
テフロン 1.2567×10−6[5] 1.0000
サファイア −2.1×10−7 1.2566368×10−6 0.99999976
−6.4×10−6
or −9.2×10−6[11]
1.256629×10−6 0.999994
−8.0×10−6 1.256627×10−6 0.999992
ビスマス −1.66×10−4 1.25643×10−6 0.999834
超伝導体 −1 0 0
強磁性体(およびフェリ磁性)の磁化曲線とそれに対応する透磁率

透磁率は磁場によって変化する。上の表に示した値は近似であり、記載の磁束密度においてのみ有効である。これらは周波数0においての値であり、実際には透磁率は一般的に周波数の関数である。高周波での透磁率は、磁場と磁束密度の間の位相差を考慮し複素数として表されることもある。

脚注

注釈

  1. ^ The permeability of Austenitic Stainless Steel strongly depends on the history of mechanical stress applied to it, such as cold working
  2. ^ 以前は4π × 10−7と定義されていたがSI基本単位の再定義により測定値に変更された。
  3. ^ 定義より

出典

  1. ^ G.W.C. Kaye & T.H. Laby, Table of Physical and Chemical Constants, 14th ed, Longman
  2. ^ https://metglas.com/wp-content/uploads/2016/12/2714A-Technical-Bulletin.pdf
  3. ^ a b c "Magnetic Properties of Ferromagnetic Materials", ''Iron''”. C.R Nave Georgia State University. 2013年12月1日閲覧。
  4. ^ "Typical material properties of NANOPERM", ''Magnetec''” (PDF). 2011年11月8日閲覧。
  5. ^ a b c d e "Relative Permeability", ''Hyperphysics''”. Hyperphysics.phy-astr.gsu.edu. 2011年11月8日閲覧。
  6. ^ Nickel Alloys-Stainless Steels, Nickel Copper Alloys, Nickel Chromium Alloys, Low Expansion Alloys”. Nickel-alloys.net. 2011年11月8日閲覧。
  7. ^ "Soft Magnetic Cobalt-Iron Alloys", ''Vacuumschmeltze''”. www.vacuumschmeltze.com. 2013年8月3日閲覧。
  8. ^ a b c d Carpenter Technology Corporation (2013年). “Magnetic Properties of Stainless Steels”. Carpenter Technology Corporation. 2013年6月18日閲覧。
  9. ^ British Stainless Steel Association (2000年). “Magnetic Properties of Stainless Steel”. Stainless Steel Advisory Service. 2013年6月18日閲覧。
  10. ^ Juha Pyrhönen, Tapani Jokinen, Valéria Hrabovcová (2009). Design of Rotating Electrical Machines. John Wiley and Sons. p. 232. ISBN 0-470-69516-1. https://books.google.co.jp/books?id=_y3LSh1XTJYC&pg=PT232&redir_esc=y&hl=ja 
  11. ^ a b c d Richard A. Clarke. “Clarke, R. ''Magnetic properties of materials'', surrey.ac.uk”. Ee.surrey.ac.uk. 2011年11月8日閲覧。
  12. ^ B. D. Cullity and C. D. Graham (2008), Introduction to Magnetic Materials, 2nd edition, 568 pp., p.16
  13. ^ NDT.net. “Determination of dielectric properties of insitu concrete at radar frequencies”. Ndt.net. 2011年11月8日閲覧。

関連項目

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