ソルトン湖(ソルトンこ、英: Salton Sea、英語の"Sea"は「海」だが、内陸湖なので「湖」とする)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州のインペリアル・バレーにあり、サンアンドレアス断層の上に直接乗っている塩水の内陸地溝湖である。南カリフォルニアのインペリアル郡とリバーサイド郡に跨るコロラド砂漠のソルトン盆地で標高が最も低い場所にある。デスヴァレーと同様に海面下にあり、その湖水面でマイナス227フィート (-69 m) と、デス・ヴァレーの最低点より55フィート (16.76 m) 高い全米二位で西半球二位の最低地点である。ソルトン湖にはニュー川、ホワイトウォーター川およびアラモ川が流れ込み、また農業用水の流出水やクリークの水も流入している。歴史上、この場所は湖ができたり乾燥地帯になったりを繰り返したが、1905年の洪水により砂漠にインペリアル・バレーの灌漑用水が流入し、現在見るような大きな湖が誕生した。
現在のソルトン湖は1905年に出現し始めた。これはインペリアル・バレーでの運河建設や灌漑農地開発に伴うものといえる。この年、豪雨と雪解け水によりコロラド川が脹れ上がり、アラモ運河の取水門を超えた。溢れた水は運河を下り、インペリアル・バレーに溝を穿ち、西のニュー川と東のアラモ川という2つの水路を造り出した。どちらも全長は60マイル (96 km) あった[5]。それから約2年間にわたって2つの川が散発的にコロラド川の水を運びソルトン盆地を満たして湖とした。
サザン・パシフィック鉄道は運河の取水口に土盛をして溢れ出しを止めようとしたが、その工事が迅速なものではなかったので、川水がインペリアル・バレーの乾燥した砂漠砂をさらに深く侵食し、このときはコロラド川に吸収されていたアラモ運河の経路に沿った上流で急速に大きな滝が形成された。この滝は当初15フィート (4.5 m) の高さだったが、裂け目からの流出が止められるまでに80フィート (24 m) にまで成長した。当初はこの滝がコロラド川の本流を無くしてしまう恐れがあり、その高さが300フィート (100 m) に達すると事実上問題に対処できない可能性があった。盆地が水で満たされ、ソルトンの町、サザン・パシフィック鉄道の側線およびトレス・マルティネスのインディアンの土地が水に浸かった。急な水の流入と盆地から排水する方法が無かったために、ソルトン湖が形成されることになった[6][7]。
1950年代には、その西岸にソルトンシティ、ソルトンシービーチ、およびデザートショアーズ、東岸にはデザートビーチ、ノースショアおよびボンベイビーチの町が建設されリゾート地として成功を収めた。湖の南東2マイル (3 km) にはナイランドの町も造られた。地熱活動も視認できている。東岸には坊主地獄や泥火山もある[8]。
ソルトン湖を救うための案が1955年以来評価されてきた。初期の概念には「パイプイン・パイプアウト」という案があり、カリフォルニア湾や太平洋から塩分濃度の低い海水を運び入れ、湖の塩分濃度の高い水を外に排出することだった。塩田として機能する蒸発池や、淡水湖と塩水湖に分離する大型ダムの建設という案もあった。他にもカリフォルニア湾から海面の高さの運河を引くという案もあった。ソルトン湖は海抜マイナス200フィート (-60 m) にあり、海面運河であれば大量の塩分濃度の低い海水を導くことができ、費用の高いポンプやパイプラインの必要性が無くなるものだった。この運河を大きなものにすればレクリエーション用途や大型の外洋船の航行も可能だった。海面運河には2つの目的があった。南カリフォルニアに内陸港を造ること、およびメキシコとアメリカ合衆国の大衆と野生生物にとってレクリエーションと環境に優しい資産を造ることだった。海面運河では湖の水面を予測可能な方法で制御する道筋も与えそうだった。しかし、塩分を外に出す方法が無ければ、塩分濃度は永久に上がり続けるのも事実だった。
^Lynch, David K.; Hudnut, Kenneth W. (2008), “The Wister Mud Pot Lineament: Southeastward Extension or Abandoned Strand of the San Andreas Fault?”, Bulletin of the Seismological Society of America98 (4): 1720–1729, doi:10.1785/0120070252
Metzler, Chris and Springer, Jeff - "Plagues & Pleasures on the Salton Sea" Tilapia Film, [2006] - Thorough history of the first 100 years at the Salton Sea and the prospects for the future
Stevens, Joseph E. Hoover Dam. University of Oklahoma Press, 1988. (Extensive details on the Salton Sea disaster.)
関連図書
Setmire, James G., et al. (1993). Detailed study of water quality, bottom sediment, and biota associated with irrigation drainage in the Salton Sea area, California, 1988–90 [Water-Resources Investigations Report 93-4014]. Sacramento, Calif.: U.S. Department of the Interior, U.S. Geological Survey.
Setmire, James G., Wolfe, John C., and Stroud, Richard K. (1990). Reconnaissance investigation of water quality, bottom sediment, and biota associated with irrigation drainage in the Salton Sea area, California, 1986–87 [Water-Resources Investigations Report 89-4102]. Sacramento, Calif.: U.S. Department of the Interior, U.S. Geological Survey.