ラグビーワールドカップ2019 は、2019年 9月20日 から11月2日 に日本 で開催された第9回ラグビーワールドカップ 。アジア 初、またティア1以外の国における初の開催となった。公式キャッチコピーは「4年に一度じゃない。一生に一度だ。 -ONCE IN A LIFETIME-」[ 2] 。決勝 で南アフリカ が32-12でイングランド を破り、3大会ぶり3回目の優勝を決めた。
開催国の立候補
最終的に立候補したのは以下の3協会。
3協会はいずれも2015年 大会にも立候補を表明していた。
以下の6協会も立候補の意志を表明していたが、最終的に断念。
2009年7月28日、ワールドラグビー (旧称:国際ラグビー評議会) の理事会にて日本 での開催が決まった[ 3] 。アジア 地域で初の開催となる。
開催スケジュール
2009年5月に日本ラグビーフットボール協会 が報告したプレゼンテーション資料では、2019年 9月4日 に開幕し10月18日 に決勝を行う案と、2019年 9月6日 に開幕し10月20日 に決勝を行う案の、2案が提示された[ 4] 。ワールドラグビー は2015年10月に大会スケジュールの発表を行い、2019年 9月20日 に東京で開幕戦を行い、11月2日 に横浜で決勝戦を行うと説明した[ 1] 。
大会ロゴ・テーマ
上の開催スケジュールと共に10月27日、大会ロゴ・テーマも発表された。大会ロゴはワールドラグビー のロゴを基調とし、中央部に日の出の太陽と日本の象徴である富士山 を配置。大会のテーマは一体感や団結、結束を意味する「ユニティー」となった[ 5] 。デザインは発表1年前からワールドラグビーと大会組織委員会が協議を重ね、ロンドン などに事務所を置くデザイン会社フューチャーブランド に作成を依頼した[ 6] [ 7] 。
公式マスコット
2018年 1月26日 に「レンジー 」(Ren-G) が発表された。歌舞伎 演目の連獅子 をモチーフにした親子ペア (白髪の「レン」と赤髪の「ジー」) で、ともに顔はラグビーボール型となっている[ 8] 。
実績のあるデザイナー・制作チームなど計10組の指名コンペにて、50作品の応募があった。組織委職員の投票やワールドラグビーの意向などで決定した[ 9] [ 10] 。ラグビーW杯でのマスコット採用は、1999年のウェールズ大会以来、6大会ぶりで21世紀初となる。
なお、レンジーは2020年 8月24日 、日本ラグビーフットボール協会初の公式マスコットとしても採用された。ラグビーの普及活動やイベントなどでの活動を予定している[ 11] 。
開催都市
開催都市は以下の12都市である。
なお、14都市が立候補を行ったことが、2014年 11月5日 に発表された。また、2014年12月15日 に横浜市と神奈川県が合同で追加申請を行い[ 12] [ 13] 、合計15都市が立候補した。2015年3月2日 に試合の開催都市が発表され、12都市で開催されることが決定した[ 14] [ 15] 。
括弧内の自治体名は会場が所在するものの立候補・会場招致に関わっていない自治体で、自治体名に括弧のないものは都道府県と市が連名で立候補したことを示す。また、下記の会場名は、大会実行委員会及びワールドラグビーの表記に準じている。本大会ではワールドラグビーの「施設に、施設又はその所有者と一定の人 (個人及び法人を含む)、製品、サービス又はブランドとの間の何らかの関係を示唆又は暗示する名称が付されていないこと 」等の規定に基づき、会場及びその周辺等の施設名称において施設命名権 等を外した名称としている[ 16] [ 注釈 1] 。
東京都 (調布市 )
神奈川県 横浜市
静岡県 (袋井市 )
大阪府 東大阪市
東京スタジアム
横浜国際総合競技場
小笠山総合運動公園エコパスタジアム
東大阪市花園ラグビー場
北緯35度39分51.4秒 東経139度31分37.7秒 / 北緯35.664278度 東経139.527139度 / 35.664278; 139.527139 (東京スタジアム )
北緯35度30分36.16秒 東経139度36分22.49秒 / 北緯35.5100444度 東経139.6062472度 / 35.5100444; 139.6062472 (横浜国際総合競技場 )
北緯34度44分35.60秒 東経137度58分13.81秒 / 北緯34.7432222度 東経137.9705028度 / 34.7432222; 137.9705028 (Shizuoka Stadium )
北緯34度40分8.2秒 東経135度37分35秒 / 北緯34.668944度 東経135.62639度 / 34.668944; 135.62639 (東大阪市花園ラグビー場 )
収容人数: 49,970人
収容人数: 72,327人
収容人数: 50,889人
収容人数: 26,544人
福岡県 福岡市
愛知県 豊田市
東平尾公園博多の森球技場
豊田スタジアム
北緯33度35分09秒 東経130度27分39秒 / 北緯33.585889度 東経130.46079度 / 33.585889; 130.46079 (東平尾公園博多の森球技場 )
北緯35度05分04.2秒 東経137度10分14.2秒 / 北緯35.084500度 東経137.170611度 / 35.084500; 137.170611 (豊田スタジアム )
収容人数: 22,563人
収容人数: 45,000人
(北海道 ) 札幌市
大分県 (大分市 )
札幌ドーム
大分スポーツ公園総合競技場
北緯43度0分54.62秒 東経141度24分35.16秒 / 北緯43.0151722度 東経141.4097667度 / 43.0151722; 141.4097667 (札幌ドーム )
北緯33度12分2秒 東経131度39分27秒 / 北緯33.20056度 東経131.65750度 / 33.20056; 131.65750 (大分スポーツ公園総合競技場 )
収容人数: 41,410人
収容人数: 40,000人
熊本県 熊本市
(兵庫県 ) 神戸市
埼玉県 熊谷市
岩手県 釜石市
熊本県民総合運動公園陸上競技場
神戸市御崎公園球技場
熊谷ラグビー場
釜石鵜住居復興スタジアム
北緯32度50分13秒 東経130度48分0秒 / 北緯32.83694度 東経130.80000度 / 32.83694; 130.80000 (Umakana Yokana Stadium )
北緯34度39分24.15秒 東経135度10分8.27秒 / 北緯34.6567083度 東経135.1689639度 / 34.6567083; 135.1689639 (Kobe City Misaki Park Stadium )
北緯36度09分50秒 東経139度24分40秒 / 北緯36.164度 東経139.411002度 / 36.164; 139.411002 (Kumagaya Rugby Ground )
北緯39度16分 東経141度53分 / 北緯39.267度 東経141.883度 / 39.267; 141.883 (Kamaishi Recovery Memorial Stadium )
収容人数: 32,000人
収容人数: 30,312人
収容人数: 24,000人
収容人数: 16,187人
なお会場のキャパシティーについては、J SPORTSは日本大会開催のガイドラインとして次を挙げている[ 18] 。
開幕戦・決勝戦 - 6万人以上
プールA規模 - 4万人以上
プールB規模 - 2万人以上
プールC規模 - 1万5000人以上
※いずれも座席のみとし、芝生席はカウントしない。
全カテゴリー共通 - 大型映像装置やナイター照明設備の設置など、国際試合に適合したスペックへの改修・新設
2015年9月28日、公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会は、開会式・開幕戦を東京スタジアム、決勝戦を横浜国際総合競技場でそれぞれ開催することが決まったと発表した[ 15] 。
各会場におけるラウンドごとの開催試合数を表にまとめた。
都市
スタジアム
プールステージ
準々決勝
準決勝
3位決定戦
決勝
北海道札幌市
札幌ドーム
2
岩手県釜石市
釜石鵜住居復興スタジアム
2
埼玉県熊谷市
熊谷ラグビー場
3
東京都調布市
東京スタジアム
5
2
1
神奈川県横浜市
横浜国際総合競技場
4
2
1
静岡県袋井市
小笠山総合運動公園エコパスタジアム
4
愛知県豊田市
豊田スタジアム
4
大阪府東大阪市
東大阪市花園ラグビー場
4
兵庫県神戸市
神戸市御崎公園球技場
4
福岡県福岡市
東平尾公園博多の森球技場
3
熊本県熊本市
熊本県民総合運動公園陸上競技場
2
大分県大分市
大分スポーツ公園総合競技場
3
2
選外となった都市
招致時に候補地としながら立候補しなかった都市
新国立競技場での開催断念・代替会場
2015年 7月17日、安倍晋三 首相 が会談で、森喜朗 元首相 (東京オリンピック・パラリンピック組織委員会 会長で日本ラグビーフットボール協会 名誉会長) の了解を得た上、国立競技場の建設計画 見直しを発表し、竣工の遅れを想定して新国立競技場(仮称) でのW杯(開幕戦と決勝戦)開催を見送った[ 19] 。「目安は6万人以上の収容能力」との条件から、他への会場変更を検討すべきとの意見も一部で出ていた[ 20] 。
なお、東京ドーム での開催は、協会関係者は「現実的ではない」とし[ 21] 、東京スタジアム (東京・調布市) の改修使用案が浮上した[ 22] 。ワールドラグビー は、9月末までの代替会場と運営予算の計画提出を求めた[ 23] (2011年にも開催返上危機があった[ 24] )。9月28日、組織委員会が代替会場の決定を発表した[ 15] 。
大会運営支援
ファンゾーン
大会の開催される都市では、会場に入れなかった観客のためのパブリックビューイング や、開催地を訪れたラグビーファンの交流を行う場として、大会公認の「ファンゾーン」が設けられた。ファンゾーンが開場するのは大会期間中の特定日のみで、会場ごとに異なる。一部のファンゾーンは試合会場へのシャトルバスの発着地にもなっていた。
今大会のファンゾーンは以下の16箇所に設けられる[ 25] 。試合会場とは異なる基礎自治体に設けられる場合のみ会場名の後ろに所在地を付記した。
開催都市特別サポーター
2017年6月14日、組織委員会は開催都市にゆかりのある著名人等を対象に、国内外での告知活動に当たる「開催都市特別サポーター」を選任し[ 38] 、事前イベントやファンゾーンなどで大会を盛り上げた。
公式ボランティアプログラム「NO-SIDE」
大会運営にあたって、組織委員会は2018年4月23日から7月18日にかけて公式ボランティアプログラム「NO-SIDE」として大会ボランティアを募集し、応募者は3万8000人超[ 39] を記録した。(この数字は、ラグビーワールドカップ史上最多)2018年8月から12月にかけて開催されたインタビューロードショー(採用説明・選考会)を経て、組織委は約13,000名 (当初予定は10,000名) を大会ボランティアとして採用した。大会ボランティアを含む全ての運営スタッフの愛称として「TEAM NO-SIDE」が名付けられ、大会ボランティアはその中でも「大会の顔」として位置付けられた。2019年1月以降の継続的な研修(トレーニングロードショー)を経て、12のロール(役割)に分かれて大会運営に参画。各開催都市の駅や空港、ファンゾーンにおける案内を担う「街なか&ファンゾーンガイド」や試合会場における観戦客のおもてなしを担う「観客サービス」、大会ゲストやメディア対応、ワークフォースセンター (大会運営スタッフ休憩所) の運営など、その活動は多岐にわたった。[ 40] [ 41] [ 42] 。
出場チーム
は前週よりランキングが上昇、 は前週よりランキングが下降。 はプールステージで敗退したチーム。
予選名
前回大会順位 予選順位
出場チーム
出場回数
出場決定日
開幕時からの世界ランキング 変遷[ 43]
9月
10月
11月
16日
23日
30日
0 7日
14日
21日
28日
0 4日
開催国
プールB 3位
日本
9大会連続9度目
10
9
8
8
7
8
8
8
前回大会 ベスト12
優勝
ニュージーランド
9大会連続9度目
2
1
1
1
1
1
3
2
2位
オーストラリア
9大会連続9度目
6
6
6
6
6
6
6
6
3位
南アフリカ共和国
7大会連続7度目
4
5
5
5
5
4
2
1
4位
アルゼンチン
9大会連続9度目
11
11
10
10
10
10
10
10
ベスト8
ウェールズ
9大会連続9度目
5
4
2
2
2
3
4
4
フランス
9大会連続9度目
8
7
7
7
8
7
7
7
アイルランド
9大会連続9度目
1
2
4
4
4
5
5
5
スコットランド
9大会連続9度目
7
8
9
9
9
9
9
9
プールA 3位
イングランド
9大会連続9度目
3
3
3
3
3
2
1
3
プールC 3位
ジョージア
5大会連続5度目
12
12
11
14
14
14
14
14
プールD 3位
イタリア
9大会連続9度目
14
14
14
12
12
12
12
12
ヨーロッパ地区
1位[ 注釈 2] [ 44]
ロシア
2大会ぶり2度目
2018年0 5月15日
20
20
20
20
20
20
20
20
オセアニア地区
1位
フィジー
6大会連続8度目
2017年0 7月0 8日
9
10
12
11
11
11
11
11
2位
トンガ
7大会連続8度目
2017年0 7月15日
15
15
16
16
13
13
13
13
ヨーロッパ・オセアニアプレーオフ勝利
サモア
8大会連続8度目
2018年0 7月14日
16
16
15
15
15
15
15
15
アフリカ地区
1位
ナミビア
6大会連続6度目
2018年0 8月18日
23
23
23
23
23
23
23
23
アメリカ地区
1位
アメリカ合衆国
6大会連続8度目
2017年0 7月0 1日
13
13
13
13
17
17
17
17
2位
ウルグアイ
2大会連続4度目
2018年0 2月0 3日
19
19
18
18
18
18
18
18
最終プレーオフ通過
カナダ
9大会連続9回目
2018年11月24日
22
22
22
22
22
22
22
22
プールステージ
2017年5月10日に京都府 京都市 上京区 の京都御苑 内にある京都迎賓館 の藤の間ホールでプールステージの組み合わせ抽選会が行われ、内閣総理大臣の安倍晋三 や女子レスリングの吉田沙保里 等が抽選に参加した。競技日程は同年11月2日に発表された。
組み合わせ抽選会の様子 (2017年5月10日撮影)
都庁第一本庁舎2階の発表会場 (2017年11月2日撮影)
9月20日の開幕戦「日本vsヨーロッパ地区1戦」(2017年11月2日撮影)
9月28日の「日本vsアイルランド戦」(2017年11月2日撮影)
決定した競技日程 (2017年11月2日撮影)
秋篠宮文仁親王が名誉総裁を務めたラグビーワールドカップ2019 開幕戦を観覧される (2019年9月20日撮影)
勝点の加算法[ 45]
勝利:4ポイント
引分:2ポイント
敗戦:0ポイント
以下のポイントはボーナスポイントとして加算する
トライ数が4以上:1ポイント (勝敗にかかわらず加算)
7点差以内で敗戦:1ポイント
中止試合については大会規定により「0-0の引分」扱いとなり、両チームに勝ち点2ずつを与える[ 46] 。
順位決定方法
勝点が同点のチームが2つ以上ある場合は、以下の順に比較して順位を決定する[ 45] 。
直接対決の勝者
得失点差
トライ差数 (トライ数-被トライ数)
得点数
トライ数
2019年10月14日付のワールドラグビーランキング でのポイントが高い方
順位表の項目
Pld :試合数 W :勝利数 D :引分数 L :敗戦数 TF :トライ数 TA :被トライ数PF :得点数 PA :失点数 +/- :得失点差 BP :ボーナスポイント Pts :勝点
凡例
決勝トーナメント に進出、2023年大会予選免除
プールステージ敗退だが2023年大会予選免除
開催時刻はいずれも現地時間 (JST /UTC+9 )。
プールA
Pld
W
D
L
TF
TA
PF
PA
+/−
BP
Pts
日本
4
4
0
0
13
-
115
62
+53
3
19
アイルランド
4
3
0
1
18
-
121
27
+94
4
16
スコットランド
4
2
0
2
16
-
119
55
+64
3
11
サモア
4
1
0
3
8
-
58
128
-70
1
5
ロシア
4
0
0
4
1
-
19
160
-141
0
0
10月5日 (土) 19:30
日本
38 - 19
サモア
豊田スタジアム , 豊田 観客数: 39,695 (88.2%)人 レフリー: ヤコ・ペイパー (南アフリカ )
トライ: ラファエレ 28' c姫野和樹 53' c 福岡堅樹 76' m 松島幸太朗 80+5' cコンバート: 田村優 (3/4) 29', 55', 80+7'PK: 田村優 (4/5) 3', 8', 24', 51'
レポート
トライ: タエフ 73' cコンバート: タエフ (1/1) 74'PK: タエフ (4/5) 10', 15', 34', 45'
プールB
Pld
W
D
L
TF
TA
PF
PA
+/−
BP
Pts
ニュージーランド
4
3
1
0
22
-
157
22
+135
2
16
南アフリカ共和国
4
3
0
1
27
-
185
36
+149
3
15
イタリア
4
2
1
1
14
-
98
78
+20
2
12
ナミビア
4
0
1
3
3
-
34
175
-141
0
2
カナダ
4
0
1
3
2
-
14
177
-163
0
2
プールC
Pld
W
D
L
TF
TA
PF
PA
+/−
BP
Pts
イングランド
4
3
1
0
17
-
119
20
+99
3
17
フランス
4
3
1
0
9
-
79
51
+28
1
15
アルゼンチン
4
2
0
2
14
-
106
91
+15
3
11
トンガ
4
1
0
3
9
-
67
105
-38
2
6
アメリカ合衆国
4
0
0
4
7
-
52
156
-104
0
0
プールD
Pld
W
D
L
TF
TA
PF
PA
+/−
BP
Pts
ウェールズ
4
4
0
0
16
-
136
69
+67
3
19
オーストラリア
4
3
0
1
20
-
136
68
+68
4
16
フィジー
4
1
0
3
16
-
110
108
+2
3
7
ジョージア
4
1
0
3
9
-
65
122
-57
1
5
ウルグアイ
4
1
0
3
6
-
60
140
-80
0
4
台風による影響
房総半島台風
令和元年房総半島台風 (台風15号、ファクサイ)の影響で交通機関に欠航や運休などが相次いだことから、一部代表チームの事前キャンプ地での歓迎イベントが中止になる自治体 が発生した[ 47] [ 48] 。
台風18号
2019年9月29日、大会組織委員会は台風18号 (ミートク)の進路によっては九州地方に強い風雨が予想され、試合開催にも影響を及ぼす可能性を懸念し、同年10月2日に福岡市の東平尾公園博多の森球技場にて開催を予定しているフランス対アメリカが中止になる可能性があると発表。両チームに連絡した[ 49] 。その後、9月30日に台風が試合開催に影響を及ぼす可能性がなくなったとして、同ゲームを予定通り実施すると発表した[ 50] 。
東日本台風
2019年10月10日、ワールドラグビーと大会組織委員会は、同年最大級の規模となる台風19号(ハギビス。後に令和元年東日本台風 と命名)が関東・東海エリアに甚大な影響を及ぼす可能性を懸念し、10月12日に豊田スタジアムで開催予定だったニュージーランド対イタリア戦、横浜国際総合競技場で開催予定だったイングランド対フランス戦のプールステージ2試合を中止することを決定した[ 46] 。ラグビーワールドカップで試合が中止になるのは初めて[ 51] 。
13日開催試合については天候状況をふまえて試合開始6時間前までに判断するとしていたが、当日になり釜石鵜住居復興スタジアムで開催予定だったナミビア対カナダ戦の中止を決定した[ 52] 。また、横浜国際総合競技場の日本対スコットランド戦は予定通り開催されたが、台風の影響で売店の一部が休業することから、ソフトドリンクの持ち込みをこの試合に限り認める措置が採られた[ 53] 。
このほか、両日に開催された残りの4試合についても、交通機関の不通などにより来場できなかった人を対象として払い戻しを行うことを検討している[ 54] 。
上記により、ナミビア対カナダ戦が台風の影響で中止となったが、カナダ代表選手17人が釜石市 ボランティアセンターの職員とともに午後2時から2時間ほど、浸水被害に遭った同市千鳥町周辺で道路の泥かきや浸水した住宅から家具を運び出す作業にあたり、台風の影響を受けた市内の泥かきや家財の運び出しを手伝った。コナー・トレイナー は「試合ができなかったことは残念だけど、釜石の人を助けることができてよかった。今回の経験で災害の時に家族や友人を守る大切さを思い出すことができた」。ルーカス・ラムボール も「試合が中止になってプレーで動かなかった分、ここでしっかり働くよ」と語った[ 55] 。また、宮古市 を宿泊地としていたナミビア代表は、同チームから「被害に遭った市を元気づけたい」との申し出があり、キャプテンを含む25人の選手たちが、宮古駅 前と市庁舎周辺で30分ほど、握手や写真撮影などに応じた[ 56] 。
アイルランド代表が準々決勝を闘うこととなった2019年10月19日の前日18日に、アイルランド代表アナリストのビニー・ハモンド(Vinny Hammond)が、公開キャンプ地であった千葉県 市原市 にて、がれきの撤去などを手伝った。ハモンドは「キャンプをした思い出の場所が、悲惨な状況になってしまい悲しい。被災した人たちに力を与えられるような試合にしたい」と話した[ 57] 。
決勝トーナメント
3位決定戦を観覧する上皇陛下 と上皇后陛下
今大会のトーナメントにおいては、同点で所定80分を終了した場合、5分休憩ののち、最初に20分(10分ハーフ)の通常ルールでの延長戦 を行い、そこでも決着がつかない場合、さらに5分休憩ののち、10分間1本の再延長をサドンデス 方式 (すなわち、先にトライ、ペナルティーゴール、ドロップゴール などによって得点を挙げたチームが勝利し、その場で試合終了となる) を行い、再延長でも決着がつかない場合、キッキングコンペティション (ゴールキックを5人ずつ、蹴る場所を変えて試技を行い、その合計本数で勝敗を決する。5人終了時で同点であれば、6人目からは片方が成功・失敗に分かれるまで続くサドンデス方式) を実施する[ 45] 。
準々決勝
10月19日 (土) 16:15
イングランド
40 - 16
オーストラリア
大分スポーツ公園総合競技場 , 大分 観客数: 36,954 (92.4%)人 レフリー: ジェローム・ガルセス (フランス )
トライ: メイ (2) 18' c, 21' cシンクラー 46' cワトソン 76' cコンバート: ファレル (4/4) 19', 23', 47', 77'PK: ファレル (4/4) 30', 51', 66', 73'
レポート
トライ: コロインベテ 43' cコンバート: リアリーファノ (1/1) 44'PK: リアリーファノ (3/3) 12', 26', 41'
10月20日 19:15
日本
3 - 26
南アフリカ共和国
東京スタジアム, 調布 観客数: 48,831(97.7%)人 レフリー: ウェイン・バーンズ (イングランド)
PK: 田村優 (1/1) 20'
レポート
トライ: マカゾレ・マピンピ (2) 4' m, 70' m フランソワ・デ・クラーク 66' cコンバート: ハンドレ・ポラード (1/3) 66'PK: ハンドレ・ポラード (3/4) 44', 49', 64'
準決勝
3位決定戦
決勝
11月2日 (土) 18:00
イングランド
12 - 32
南アフリカ共和国
横浜国際総合競技場 , 横浜 観客数: 70103 (96.9%)人 レフリー: ジェローム・ガルセス (フランス )
PK: ファレル (4/5) 23', 35', 52', 60'
トライ: マピンピ 66' cコルビ 74' cコンバート: ポラード (2/2) 67', 75'PK: ポラード (6/7) 10', 26', 39', 43', 46', 58'
マスターカード プレイヤー・オブ・ザ・マッチ
「マスターカード プレイヤー・オブ・ザ・マッチ」は、勝利国、敗退国に関わらず、毎試合ベストプレイヤー (印象的なプレーをした選手) に選ばれた選手が選ばれる賞。選ばれた選手は、トロフィーが贈呈される。トロフィーは、筑波大学 大学院教授の三谷純 が監修した[ 58] 。
大会協賛社
ワールドワイドパートナー
オフィシャルスポンサー
大会サプライヤー
放送
本大会はホストブロードキャスティングサービシズ (HBS) とIMG が設立したインターナショナルゲームズブロードキャスティングサービシズ (International Games Broadcast Services, IGBS) がホストブロードキャスターを務め、世界200カ国以上に配信された[ 64] 。
国際放送センター は東京スタジアムの北側駐車場の一部を利用して仮設された[ 65] 。
テレビ
日本国内では2015年大会に引き続いてNHK 、日本テレビ 、J SPORTS が放映権を取得している[ 66] 。
NHKは総合テレビ で4試合[ 注釈 3] 、Eテレ で1試合[ 注釈 3] 、BS1 で8試合[ 注釈 3] を生中継するほかBS4K 、BS8K にて生中継・録画中継を行った[ 70] 。日本テレビでは地上波で開幕戦と決勝を含む17試合[ 注釈 4] を中継した[ 71] ほか、大会直前の9月1日に開局[ 注釈 5] するBS日テレ4K での4K画質 放送も行った[ 72] 。J SPORTSでは全45試合[ 注釈 6] を4K画質で生中継した[ 73] 。
視聴率
※いずれもビデオリサーチ ・関東地区 調べ。
日本では日本対ロシア(日本テレビ)が平均18.3%、瞬間最高視聴率は25.5%を記録した。日本対アイルランド (NHK)が平均22.5%、瞬間最高視聴率は28.9%を記録した。日本対サモア(日本テレビ)が平均32.8%、瞬間最高視聴率は46.1%を記録した。日本対スコットランド(日本テレビ)が平均39.2%、瞬間最高視聴率は53.7%を記録した。準々決勝の日本対南アフリカ (NHK)の平均視聴率が41.6%、瞬間最高視聴率は49.1%を記録した。南アフリカ戦の視聴率は2019年に放送された全テレビ番組で1位、スコットランド戦が2位となった。この他、サモア戦が11位となった[ 74] [ 75] [ 76] 。
日本代表戦以外の試合では、日本テレビで9月21日16時から放送したプールステージ、フランス対アルゼンチンが平均6.0%、続けて18時30分から放送したニュージーランド対南アフリカが12.3%を記録した[ 77] 。
決勝トーナメントに入ってからは、準々決勝のニュージーランド対アイルランド(日本テレビ)が平均16.5%、瞬間最高22.5%を記録した。準決勝のニュージーランド対イングランド (NHK)の前半は平均11.7%、後半は平均16.3%を記録。ウェールズ対南アフリカ(日本テレビ)は平均19.5%、瞬間最高26.9%を記録した[ 78] 。決勝戦の南アフリカ対イングランド(日本テレビ)は平均20.5%、瞬間最高26.0%を記録した[ 79] 。
ラジオ
文化放送 とニッポン放送 は日本が入っている「プールA」の主要試合の生中継を行った[ 80] 。NHKラジオ第1 はそれに加えて決勝[ 70] 、FM は準決勝の生中継も実施した[ 69] 。また、日本が決勝トーナメントに進んだことを受けて文化放送とNHKラジオ第1は日本が出場する決勝トーナメントについても生中継を行った[ 81] [ 82] 。なお、インターネット配信については文化放送・ニッポン放送の中継をradiko により配信 (エリアフリー・タイムフリーともに対応) したが[ 83] 、NHKの中継はらじる★らじる やradikoによるインターネットでの配信は行わなかった。また、その他独自のインターネット中継は実施しなかった。
インターネット配信
Hulu とTVer が日本テレビ系でテレビ放送される17試合[ 注釈 4] をライブ配信[ 注釈 7] [ 85] 、J SPORTSオンデマンドが17試合のライブ配信を行った[ 73] 。NHKも総合テレビやBSで放送する試合を公式サイト内でライブ配信した[ 86] 。
また、J SPORTSオンデマンドとDAZN が全45試合[ 注釈 6] のハイライト配信を行った[ 73] [ 87] 。
観客動員
大会組織委員会は観客動員の目標として、全会場満員を掲げた。
台風の影響により中止となった3試合を除く観客動員数は170万4443人で1試合平均3万7877人だった。チケットは中止となった3試合を含む全試合を合計した販売数185.3万枚に対し、約184万枚が販売され、販売率は99.3パーセントに達した。プールステージの最多観客動員試合は日本対スコットランド(横浜)の67,666人、大会全試合を通じての最多観客動員試合は決勝の南アフリカ対イングランド(横浜)で70,103人だった[ 88] [ 89] 。
ファンゾーンの累計来場者数は、台風でパブリックビューイングが中止になるなどの影響があったにもかかわらず、準決勝1試合目を終えた段階で過去最高だった2015年イングランド大会を超えた[ 90] 。最終的な入場者数は約113万7000人[ 91] 。
チケットは、2018年1月よりコアなラグビーファン向けにまずは優先販売し、次に開催都市住民向け、その次がファンクラブ向けなど、細かく抽選販売のサイクルを組んで回すことで、ラグビーファンや周辺のターゲット層に対して希少価値を作り出すことに成功し、これが2019年1月から実施した先着販売における人気につながった[ 92] 。
2019年 11月3日 には、ワールドラグビー 会長サー・ビル・ボウモントが記者会見で「2019年日本大会はおそらく過去最高のラグビーW杯として記憶されるだろう」と語り、チケットの完売率、ファンゾーンに集まった観客数、テレビ中継の視聴率などが他大会の記録を超えたことについて、「素晴らしく、謙虚で歴史的なホスト国であった日本と日本人に心の底から感謝したい」とコメントした[ 93] 。
その他
「ラグビーナンバー」を装着したバス車両
脚注
注釈
^ 豊田スタジアム は命名権による名称ではないが、「TOYOTA」の名称が (RWCLのスポンサーではない) トヨタ自動車 を想起させるおそれがあるとして、英語名称のみ「CITY OF TOYOTA」および「City of Toyota Studium」へと名称変更している[ 17] 。「豊田スタジアム#名称について 」を参照。
^ ヨーロッパ予選における代表資格に問題があったとされた予選1位の ルーマニア と2位の スペイン 4位の ベルギー が勝ち点を減らされた結果、3位だったロシアが繰り上がり出場決定。
^ a b c 当初は総合でプールステージ3試合、BS1でプールステージと決勝トーナメント11試合を放送予定だったが、総合で放送予定だったプールB・アイルランド×サモア戦が台風19号関連報道に伴いEテレに振り替え[ 67] となった一方、BS1で放送予定だった準々決勝に日本が進出したことを受けて南アフリカ戦を[ 68] 、準決勝のイングランド×ニュージーランド戦についても総合での放送に振り替えた[ 69] 。また、BS1は総合への振り替えのほか、プールC・イングランド×フランスが中止となったため3試合減となった。
^ a b 当初は19試合を中継する予定だったが、プールCの2試合 (ニュージーランド×イタリア戦、ナミビア×カナダ戦) が東日本台風の影響で中止になったため2試合減となった。
^ 当初の開局予定は12月1日だったが、本大会に間に合わせるべく前倒しでの開局に踏み切った。
^ a b 当初は48試合を中継・配信する予定だったが、東日本台風の影響で一部の試合が中止となったため、3試合減となった。
^ 地上波やBSとの同時放送ではなく、国際映像と実況・解説なしの場内音声が配信された[ 84] 。
出典
関連項目
外部リンク
関連団体 代表 国際大会 国際リーグ 国内リーグ
国内大会
主要人物 関連項目