クリオ (現行)
クリオ (CLIO )は、フランス の自動車メーカー、ルノー が製造・販売している小型の乗用車 (コンパクトカー )である。日本ではルーテシア (LUTECIA )を名乗る[注 1] 。
初代(1990年 - 2001年)
1990年 のモンディアル・ド・ロトモビル (パリサロン)でシュペール5 の後継車としてデビューし、同年秋に欧州 で発売された。1991年 度には欧州で最も権威のある自動車賞であるヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー を受賞している。
後席とクォーターウインドウを廃したバン もラインナップされているが、ホイールベース を拡大して大きな箱を背負ったフルゴネット(小型貨物 の意)は、シュペール5ベースのエクスプレス (Express )を継続生産する方針となったため、設定されなかった。
エンジンは当初、1.1L(C1E )/1.2L(C3G )/1.4L(E7J )/1.7L(F2,F3 )のガソリンと1.9Lのディーゼルエンジン 、LPガス・ガソリン切り替え式バイフューエル 車がキャブレター または燃料噴射 と組み合わせて設定された。
グレードは下記を基本に、各種特別仕様とスポーツグレードが設定された。「バカラ」は先代シュペール5に続き、本革の内装とコート を収納するケースを備え、専用デザインのアルミホイールを標準装備とした高級グレードである。
RL (L ow: エントリーグレード)
RN (N ormale :中間グレード)
RT (T op: トップグレード)
RC (C ommerciale: 商業グレード)
バカラ (高級グレード)
RL
Chipie
Be Bop
Super Chipie
RN
Oasis
Fidji
Night and day
NRJ
Aïda
Club Med
RT
Elle
Shanghaï
Olympique
Alizé
MTV
バカラ
16S
ウィリアムズ
日本には1991年から、1.4LのRN、RT、バカラ、16Vの4グレードが、当時の輸入元であったジヤクス (JAX)の手によって「ルーテシア」 の車名[注 1] で導入された。すべて左ハンドル車で、ボディタイプは3ドアと5ドア、トランスミッションは5速MT またはAT が設定された。その後、フロントのルノーバッジがリブ付きのタイプから、スムーズな新デザインのタイプに変更される。
1994年6月にマイナーチェンジされフェイズ(Phase)2へ移行する。主な外装の変更点は新デザインのフロントグリル、サイドモールディング、リアガーニッシュ、テールランプなどで、内装ではシートなどが変更された。日本ではジヤクスがルノーの輸入から撤退したため、一時期輸入がストップしていたものの、ヤナセ グループが設立したフランス・モーターズ によって、フェイズ2のRN 1.4L(4AT)、RT 1.8L(4AT)、16V(5MT)の左ハンドル仕様が導入された。
1996年に再びマイナーチェンジが実施されフェイズ3となり、ヘッドランプが丸みを帯びたウィンカーレンズ一体型になったほか、フロントグリル、ボンネットの形状も変更された。フォグランプは従来の角型から、R19 やラグナと共通の丸みを帯びたタイプに変更。リアハッチにはハイマウントストップランプ が内蔵された。エンジンやミッションも一部変更を受け、日本へは当初RN 1.4Lの3速ATのみが3ドアと5ドアで導入された。
バリエーション
ウィリアムズ
1993年 、16Sをベースに、ラリー のホモロゲーション 獲得のための限定モデル、クリオ・ウィリアムズ を発売した。当初の予定台数であった3,800台はすぐに完売したため増産され、総生産台数は5,417台に達した。
最初のシリーズの生産終了後、ルノーは多くのユーザーの要望に応え、ウィリアムズ2 とウィリアムズ3 の特別仕様車を発表した。最終的にクリオ・ウィリアムズは1万2,100台が生産された。
「ウィリアムズ」という車名は、当時のフォーミュラ1 においてルノーと提携関係にあったウィリアムズF1 チームから名付けられたものだが、ウィリアムズはデザインやエンジンには何ら関与しておらず、開発はルノー社のモータースポーツ部門であるルノー・スポール が行った。
ベースとなった16Sからの変更点は、外装ではスピードライン製のゴールドのスポーク型ホイール(タイヤサイズに変更はない)と、ハッチゲートと左右のリアフェンダーに貼られた「Williams」のステッカーに留まるが、足回りはルノー・19 (R19)のものに変更されてトレッドの拡大化が図られている。また、内装においてもフロアカーペット、シートベルト、メーター類、シフトノブが専用色である青に変更され、シートもR19のものに変えられている。
ウィリアムズに搭載される直列4気筒 2.0リットル16V(F7R)エンジンは、直列4気筒1.8リットル16V(F7P)エンジンをベースに、バルブサイズ、カムプロフィール、クランクストローク、オイルクーラーと多岐にわたって変更が行われている。最高出力は150PSを発生し、最高速は215km/hに達する。
ウィリアムズの3つのバージョンの違いの多くは安全機能の補強や外観の変更など、クリオ自体のフェイズ更新によるものである。それ以外の差異としては、ウィリアムズ1および2にはサンルーフの設定がなく、最終型のウィリアムズ3になってサンルーフが採用された。塗装にも違いがあり、ウィリアムズ1および2は449(ブルースポーツ)で塗られているのに対して、ウィリアムズ3はわずかに明るい432(メチルブルー)で塗られている。
日本では当時のインポーターであるフランス・モーターズによって10台が試験導入されたが正規輸入には至らず、並行輸入 で上陸した個体が存在するのみである。
エンジン・バリエーション
モデル
エンジン 型式
総排気量
バルブ配置
燃料供給方式
最高出力
最大トルク
生産年
ガソリン
1.2
E5F
1171 cc
SOHC 8v
キャブレター
54 PS (40 kW; 53 hp) at 6000 rpm
83 N⋅m (61 lb⋅ft) at 3500 rpm
1990–1993
E7F
シングルポイント インジェクション
1990–1997
C3G
1995–1996
D7F
1149 cc
マルチポイント インジェクション
54 PS (40 kW; 53 hp) at 5250 rpm
93 N⋅m (69 lb⋅ft) at 2500 rpm
1996–1998
58 PS (43 kW; 57 hp) at 5250 rpm
93 N⋅m (69 lb⋅ft) at 2400 rpm
1997–1998
1.4
E7J
1390 cc
シングルポイント インジェクション
75 PS (55 kW; 74 hp) at 5750 rpm
107 N⋅m (79 lb⋅ft) at 3500 rpm
1990–1998
79 PS (58 kW; 78 hp) at 5750 rpm
1996–1998
1.7
F3N
1721 cc
90 PS (66 kW; 89 hp) at 5750 rpm
?
1990–1991
1.8
F3P
1794 cc
88 PS (65 kW; 87 hp) at 5750 rpm
142 N⋅m (105 lb⋅ft) at 2750 rpm
1990–1996
1783 cc
90 PS (66 kW; 89 hp) at 5750 rpm
144 N⋅m (106 lb⋅ft) at 2750 rpm
1996–1998
1.8 RSi
1794 cc
マルチポイント インジェクション
109 PS (80 kW; 108 hp) at 5500 rpm
155 N⋅m (114 lb⋅ft) at 4250 rpm
1993–1995
1783 cc
107 PS (79 kW; 106 hp) at 5500 rpm
150 N⋅m (110 lb⋅ft) at 2750 rpm
1995–1998
16S / 16V
F7P
1764 cc
DOHC 16v
135 PS (99 kW; 133 hp) at 6500 rpm
158 N⋅m (117 lb⋅ft) at 4250 rpm
1991–1995
2.0 Clio Williams
F7R
1998 cc
147 PS (108 kW; 145 hp) at 6100 rpm
175 N⋅m (129 lb⋅ft) at 4500 rpm
1994–1998
ディーゼル
1.9 d
F8Q
1870 cc
SOHC 8v
64 PS (47 kW; 63 hp) at 4500 rpm
118 N⋅m (87 lb⋅ft) at 2250 rpm
1991–1998
2代目(1998-2007年)
1998年 3月からヨーロッパで発売され、同年11月より、「ルーテシア」の車名で日本に導入された。なお、ワイパーの停止位置は左ハンドル仕様も右ハンドル仕様も同じ向きだが、右ハンドル仕様の運転席側アームは専用設計のダブルリンク式を採用している。
1999年1月に1.6L 16V (K4M)エンジンが追加。同年9月にこのエンジンを搭載したモデルが「16V」として専用ツインヘッドランプを与えられ、3ドア・5MTのみで日本に導入される。
1999年7月に1.4L 16V (K4J)エンジンが追加。
1999年11月に16Vと同じツインヘッドランプに加え本革シート、革巻きステアリング・ホイール、スーツケース、木目調パネル、専用アルミホイール、アルミ製ボンネットなどを標準装備した以前の「バカラ」の後継にあたる高級仕様「エクスプレッション」が追加導入された。
1999年12月に2.0L 16V (F4)エンジンを搭載し、エンジンや足回り、内外装などをルノー・スポール で独自にチューンしたモデル2.0 Renault Sport (ルノー・スポール) (RS)が追加される。このモデルは1年後の2000年12月に左ハンドルのみの展開で、日本正規導入を果たす。2000年1月には1.9L ディーゼルにターボを装着した「1.9 dTi」が追加されている。
2001年2月に1.2L 16V (D4F)エンジンを追加。同年4月1日から日本市場にも1.4L (K4J) RXTが導入される[1] 。
2001年6月に内外装に大掛かりなマイナーチェンジが実施されフェイズ2 に移行。外装では丸みを帯びていたヘッドランプが、三角形状となり、フロントグリル周辺も大きく意匠変更された。テールランプも形状こそ同じものの内部点灯部の配置やレンズ意匠が変更されており、見た目の印象が違っている。リアハッチの開閉ボタン部も変更され、従来より大きい物に変更された上、新たにルノーのバッジが付けられた。それに伴いフランス国内向けなどは、左下に装着されていたRENAULTのロゴが省かれている。内装ではダッシュボード、メーター周りの意匠を大きく変更、さらにステアリングホイール、リアヘッドレスト形状なども変更を受けた。日本では2002年3月にまず「RS」からフェイズ2が導入され、追って翌月に「1.4 RXT」もフェイズ2に変更された。
2004年に再度小変更が実施され、フェイズ3 となった。外装の変更点はヘッドランプ・ベゼルがブラックからシルバーに変更、フロントグリルのスリットの形状を変更(除くスポール)、一部モデルにおいてフロントバンパー形状も小変更(フォグランプが外側に張り出しているタイプを採用)、ボディ同色リアルーフスポイラーの採用、装着ホイールの変更。内装ではトリム類の変更とメーターパネル内の燃料計と水温計がアナログ式からデジタル式に変更された。
2005年9月に後継車クリオ3が登場した後も、バリエーションを縮小した上で生産を継続。さらに新デザインのフロントバンパーやリアハッチ(ナンバープレートがリアバンパー移動)を与えられたClio Campus(クリオ・キャンパス) (フェイズ4 )も投入。
2007年以降もクリオ・キャンパスのみに絞り生産を継続。2009年6月さらにマイナーチェンジが実施され、フロントバンパー、フロントグリル、ヘッドランプなどを新意匠としフェイズ5 となる。2012年の半ば頃にClio Campus BYEBYE(クリオ・キャンパス・バイバイ) が登場し、同年いっぱいで誕生から実に約15年、欧州市場での販売を終えた。しかしアルゼンチン 市場では2012年10月にフロントマスクなどに最新のルノーデザインを纏った大幅なマイナーチェンジ版であるClio Mío (クリオ・ミオ )が登場。メーターパネルはフェイズ3に似たものだが、ダッシュボードはフェイズ1と共通形状のものを採用するなど部品の折衷が見られる。
バリエーション
ノルマンディ 地方ディエップ にあるルノー・スポール の専用工場で、1日あたり33台が生産されるスペシャルモデル。2.0LDOHC エンジンを搭載し、メカクローム 社によって加工されるシリンダーヘッドの吸気ポート、ノモニック製バルブ、足回りにも大型化されたディスクブレーキ、OZ製15インチアルミホイールが奢られるなど、レーシングカーのテクノロジーが注ぎ込まれている。ボディタイプは5速MTの3ドアハッチバックのみ。
本車の「PlayStation 2 バージョン」が2004年 にヨーロッパで限定発売された。シートに「PS2」のロゴが刺繍で入るほか、フロントサイド部分にもロゴが入る。なお、ルノー・クリオ・ルノー・スポールは、PlayStation 2のソフト「グランツーリスモ4 」内でドライブ(プレイ)することが出来る。
クリオの後席を取り外し、そこにV型6気筒エンジンを横置きで搭載 したミッドシップ 後輪駆動 の2シーターモデル。その成り立ちから「5ターボ の再来」としばしば評される。1998年 のパリサロン でプロトタイプが発表され、2000年 に販売を開始した。3.0LV型6気筒 DOHCエンジン(L7X)をリアミッドシップ搭載し、最高出力233ps/6000rpm、最大トルク30.6kgfm/3750rpmを発生する。組み合わせられるトランスミッションは6速MTのみである。タイヤサイズも17インチに大径化されており、これを収めるためにFRP製のフレアフェンダーを装着している。
ショートホイールベース に加えて高重心であることから挙動は極めてピーキーであり、ドライビングにはある程度のスキルを要する。これは重量のあるパワートレインと拡げられたトレッドからの入力に車体の剛性が追いついていないためで、サーキット のような路面不整の少ない状況でも、ハードブレーキングのたびにロックするホイールが異なる場合がある。
ルノー伝統のワンメイクレース「クリオ・カップ」では、2000年前後に本車をベースとしたカップカーが用いられた。
2003年 には後期型となるPhase 2が登場した。ノーマルのクリオと同様のフェイスリフトが行われ、インテリアも新デザインのものに変更された。エンジンは排気量こそ不変だが、最高出力255ps/7150rpm、最大トルク30.6kgfm/4650rpmと発生回転数が向上した。タイヤサイズも18インチにアップし、足回りも見直され、前期型で指摘されていたピーキーな挙動もいくらか改善された。
2005年 に販売終了となったが、本車が確立した「大排気量+MR」の体系はその後のメガーヌ やR.S.01 に引き継がれて行くこととなる。
生産は当初TWR(トム・ウォーキンショー・レーシング) が担当していたが、Phase2はルノー・スポール で製造された。
クリオ・ルノー・スポール V6
クリオ・ルノー・スポール V6 Phase2
4ドアのノッチバックセダン 仕様である。日本には導入されていない。地域によってクリオセダン、クリオクラシック、タリアなど異なる車名で販売された。また、ルノーと日産自動車 のアライアンス関係の下、メキシコ などでは「日産・プラティーナ 」という名称で販売された。
2008年 に発表された2代目は車名からクリオが外れて単にシンボルとなった。ただし、同車はクリオIIIではなく引き続きクリオIIをベースとしている。
エンジン・バリエーション
モデル
エンジン型式
バルブ配置
総排気量
最大出力
最大トルク
適用(年)
ガソリン
1.0
D7D
SOHC 8v
999 cc
58 PS (43 kW; 57 hp)
ブラジル , 2000-07
1.0 16v (ガソリン/エタノール)
D4D
SOHC 16v
77 PS (57 kW; 76 hp)
ブラジル, 2003–
1.2
D7F
SOHC 8v
1149 cc
58 PS (43 kW; 57 hp) @ 5,250 rpm
93 N⋅m (69 lb⋅ft) @ 2,500 rpm
1998–2012
1.2 16v
D4F
SOHC 16v
75 PS (55 kW; 74 hp) @ 5,500 rpm
105 N⋅m (77 lb⋅ft) @ 3,500 rpm
2001-2012
1.4
K7J
SOHC 8v
1390 cc
114 N⋅m (84 lb⋅ft) @ 4,250 rpm
1998–2001
K4J
DOHC 16v
95 PS (70 kW; 94 hp) @ 6,000 rpm
127 N⋅m (94 lb⋅ft) @ 3,750 rpm
1999-2000
K4J 710
98 PS (72 kW; 97 hp) @ 6,000 rpm
2000-2005
1.6
K7M
SOHC 8v
1598 cc
90 PS (66 kW; 89 hp) @ 5,250 rpm
131 N⋅m (97 lb⋅ft) @ 2,500 rpm
1998-2000
K4M 744
DOHC 16v
107 PS (79 kW; 106 hp) @ 5,750 rpm
148 N⋅m (109 lb⋅ft) @ 3,750 rpm
1999-2005
2.0 RS
F4R 736
1998 cc
169 PS (124 kW; 167 hp) @ 6,250 rpm
200 N⋅m (150 lb⋅ft) @ 5,400 rpm
1999-2004
2.0 RS 182
F4R 738
178 PS (131 kW; 176 hp) @ 6,250 rpm
200 N⋅m (150 lb⋅ft) @ 5,250 rpm
2004-2006
3.0 RS V6
L7X
DOHC 24v
2946 cc
226 PS (166 kW; 223 hp) @ 6,000 rpm
300 N⋅m (220 lb⋅ft) @ 3,750 rpm
2000-2002
254 PS (187 kW; 251 hp) @ 7,150 rpm
300 N⋅m (220 lb⋅ft) @ 4,650 rpm
2003-2005
ディーゼル
1.5 dCi
K9K
SOHC 8v
1461 cc
64 PS (47 kW; 63 hp) @ 3,750 rpm
160 N⋅m (120 lb⋅ft) @ 1,900 rpm
2009–2012
65 PS (48 kW; 64 hp) @ 4,000 rpm
160 N⋅m (120 lb⋅ft) @ 2,000 rpm
2001–2005
68 PS (50 kW; 67 hp) @ 4,000 rpm
160 N⋅m (120 lb⋅ft) @ 1,500 rpm
2006–2007
82 PS (60 kW; 81 hp) @ 4,000 rpm
185 N⋅m (136 lb⋅ft) @ 2,000 rpm
2002–2005
100 PS (74 kW; 99 hp) @ 4,000 rpm
200 N⋅m (150 lb⋅ft) @ 1,900 rpm
2004–2005
1.9 dTi
F9Q
1870 cc
80 PS (59 kW; 79 hp) @ 4,000 rpm
160 N⋅m (120 lb⋅ft) @ 2,900 rpm
2000–2001
3代目(2005–2014年)
2005年 9月にヨーロッパ で発売が開始された。傘下に収めている日産自動車 のコンパクトカーのマーチ やノート とプラットフォームを共用する。3代目から車名の文字体が小文字の「Clio」から大文字の「CLIO」に変更された。ボディサイズは多少大型化によりユーロNCAP の5つ星を獲得するなど安全性が飛躍的に向上している。安全性とパッケージングが評価を受け、発売直後の2005年11月に、2006年度のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー を受賞した。なお、2004年 に一足先にデビューしたルノー・モデュス は、このクリオIII がベースである。なお、新型であるクリオIIIが導入された後も、一部の国ではクリオIIが、「クリオ・キャンパス 」の名前で並行販売されている。
ボディタイプは従来通りの3ドアと5ドアハッチバックに加え、5ドアステーション・ワゴンが新たに加えられて計3種類展開となった。エンジンは、1.2L、1.4L、1.6Lガソリンエンジン の他にオプションでLPガス・ガソリン切り替え式バイフューエル 車、1.5Lディーゼルエンジン が用意される。また、本革シートや木目パネルを奢った往年の高級仕様「バカラ」を継承した「イニシアル(INITIALE)」仕様も用意されている。
カルロス・ゴーン 会長が本国発売後半年以内に日本市場導入をする方針を明らかにしていたことに合わせ、2006年 1月24日に日本でも「ルーテシア」の車名で発表され、3月20日から発売された[2] 。
日本に導入されたのは3ドアと5ドアのハッチバックのみで、ステーションワゴンは見送られた。当初導入されたエンジンは1.6Lガソリンの1種類のみで、これに5速マニュアル変速機および学習機能付きの電子制御"プロアクティブ" 4速オートマチック変速機の組み合わせが用意される。また、2007年 12月10日には最上位グレードとなる「イニシアル・パリ」も追加された。
なお、価格は205万8千円から285万円(ユーロ高の影響により2008年 4月1日に価格改訂)と、ボディサイズとエンジンが大きくなったことや、各種装備が充実されたことに伴い2代目より多少上がっている。
2010年 3月からはマイナーチェンジされたモデルが販売を開始。エクステリアを一新し、それまで4m以内だった全長は4mを越えた。従来「イニシアル・パリ」のみに設定されていた横滑り防止機構 を全車に設定。3ドアはルノー・スポールを除いて廃止、全車5ドアとなる。また、上級グレードの「イニシアル・パリ」と「éLe」を廃止し、モノ(単一)グレードとなった。なお、5速MTと4速ATは引き続き設定される。
2012年 2月23日 内外装の質感をアップさせた「NIGHT&DAY(ナイト・アンド・デイ)」を発表。このモデルは特別仕様ではなく、従来のグレードと入れ替わる形で販売される。尚、この改良を機に5速MTは廃止され、4速ATのみとなった。
2012年9月20日 特別限定車として「イニシアル・パリ(限定30台)」「エクスプレッションMT(限定40台)」を発売。このうちの「エクスプレッションMT」には2月のMT車販売終了以来となる5速MTを採用している。
バリエーション
2006年春よりヨーロッパで発売された3代目クリオ・ルノー・スポール は、197馬力の高性能エンジンの搭載にあわせ、トレッドを50 mmも拡幅し、ロードホールディングを向上、さらにブレンボ 製ブレーキや18インチホイールを搭載する。
2005年10月から開催されていた東京モーターショー にコンセプトバージョン が展示されていた。
2009年10月からの日本市場にも導入されたが、新しく施行される法規に対応できなくなったことから2010年 8月をもって販売終了。
エンジン・バリエーション
モデル
エンジン型式
バルブ配置
総排気量
最大出力
最大トルク
適用(年)
ガソリン
1.2 L
D4F
SOHC 16v
1149 cc
76 PS (56 kW; 75 hp)
?
KR0x
1.2 L TCe 100
D4FT
101 PS (74 kW; 100 hp)
2007–
1.4 L
K4J
DOHC 16v
1390 cc
98 PS (72 kW; 97 hp)
BR0x
1.6 L
K4M
1598 cc
110 PS (81 kW; 110 hp)
112 PS (82 kW; 110 hp)
2005–
130 PS (96 kW; 130 hp)
2009-2012
2.0 L
M4R
1997 cc
138 PS (101 kW; 136 hp)
C/BR0x
F4R 830
197 PS (145 kW; 194 hp)
RS, 2006–09
F4R 832
200 PS (150 kW; 200 hp)
RS, 2010-
ディーゼル
1.5 L dCi
K9K
SOHC 8v
1461 cc
68 PS (50 kW; 67 hp)
?
2005–
86 PS (63 kW; 85 hp)
90 PS (66 kW; 89 hp)
2011–
106 PS (78 kW; 105 hp)
2005–
4代目(2012-2019年)
2012年7月3日に発表[3] 。マツダ から転籍したローレンス・ヴァン・デン・アッカー がデザインを担当。2010年 に発表されたコンセプトカー 「デジール 」のエッセンスを受け継いだ大型のCIマークやLED 式のDRL を備えるなど、従来型と比べて大胆なエクステリアデザインとなり、先代にあたるルノー・5時代から続いていた3ドアが廃止され、5ドアのみとなったが、リアドアのハンドルはCピラーに同化するようなデザインとされ、一見3ドアにも見えるようになっている。
エンジンはガソリンとディーゼル(dCi)が設定され、ガソリンは直列3気筒0.9Lポート噴射ターボ、直列4気筒1.2L 16V、直列4気筒1.2L直噴ターボ、そしてルノースポール用として200PS(トロフィーは220PS)を誇る1.6L直列4気筒直噴ターボエンジン(M5M )も設定(1.2Lターボと1.6Lターボは各国仕様共通で6速EDC のみの設定である)。ディーゼルは出力特性の違いにより75PSと90PSの2種の1.5Lエンジンが用意される。
2012年10月のパリ・モーターショー(モンディアル・ド・ロトモビル)ではルノー・スポールの手がけるスポーティバージョン「クリオR.S. 200 EDC」と、ワゴン版「クリオ エステート」が発表された。
日本における販売
2013年6月25日、ルノージャポンにより7月下旬に日本仕様を正式発表することをアナウンス。車名は先代までの「ルーテシア」を踏襲する。同時に、ルノージャポンHP内にも専用特設ページを設けた。
2013年7月25日、日本仕様を発表[4] 。9月24日より発売を開始する。装備内容の違いにより「ACTIF(アクティフ、注文生産)」「ZEN(ゼン、日本語 の禅 [注 2] に由来)」「INTENS(インテンス)」の3グレードを用意するが、全車1.2L直噴ターボ+EDC+右ハンドルの組み合わせのみとなり、欧州仕様に装備されるLED式のDRLは未装着となる。外装色は基本的に全7色が設定されるが、アクティフのみ3色となる。最上級のインテンスは全車標準設定内装色(パッククルール)「ノワール(黒)」のほか、オプションでボディカラーとの組み合わせにより「ルージュ(赤)」「ブルー」「マロン」も選べるようになっていて、同時に、アルミホイールの一部も各色でコーディネイトされる。また同日、日本デビュー記念として内外装にブルーのアクセントを加えた「フレンチクールリミテッド」を限定30台で販売することも発表された。
2013年10月14日、モータースポーツジャパン2013 の会場で「ルノースポール(R.S.)」を発表(11月14日発売)。先代の2.0Lから1.6L直噴ターボのM5Mに置換され、6速EDCと組み合わせている、全車に走行モードを切り替えられる「R.S.ドライブ」と「ローンチコントロール」と呼ばれるパドルシフト 、「R.S.デフ」が備わる。グレードはベースの「シャシースポール」と強化サス&ローダウン、18インチタイヤ&ホイール等が備わる「シャシーカップ」の2種を用意する。後者には通常色4色に加え、台数限定で「ジョン シリウスM」を用意。
2014年12月25日、本国において人気が高い直列3気筒0.9Lターボエンジン+5MTを搭載した「ZEN 0.9L」を追加。ベースとなった「ZEN」と基本的な装備はほぼ同じだが、めっきパーツ等の加飾を増やし、ホイールも同形状ながら表面の一部をブラックアウトするなど、一部、「INTENS」の要素も取り込んでいる。また、気筒数が減ることで不利となる静粛性をカバーするために、新たにボンネット内に遮音材を装着している。尚、「ZEN 0.9L」の登場と同時に、従来の「ZEN」は「ZEN 1.2L」に改称された。
2015年6月11日、「ZEN 1.2L」を一部改良。外装を「ZEN 0.9L」と同仕様とした。同時に、「ZEN 0.9L」登場時に廃止されていたのちも若干の在庫を擁していたため公式サイト上に残っていた「ACTIF」の掲載を終了した。
2015年9月22日、「R.S.」に更なる高性能モデル「トロフィー」を設定(11月12日発売)。入れ替わりとして終売する「シャシーカップ」比でフロント20mm/リア10mmローダウンした強化サスを採用し、エンジン出力を高めた。
2016年2月25日、「INTENS」「ZEN」を一部改良[5] 。変更点は最高出力、最大トルク、6速ATの変速比のほか、アイドリングストップ機構の採用など。
2017年2月1日、基準車をマイナーチェンジ。フロントデザインを改良し、「ACTIF」を除く全車に新たにフルLED ヘッドランプを採用。全車1.2Lターボ搭載で、グレードは「GT」がカタログ落ちし、「INTENS」「ZEN」「ACTIF」の3種となる(「ACTIF」は受注生産)。同時に、0.9Lターボの「ZEN 0.9L」はレギュラーグレードから外れ、「S MT」として限定100台のみが販売される。
2017年7月6日、「R.S.」をマイナーチェンジ。フルLEDヘッドランプに加え、ポジションランプ/フォグランプ/ハイビーム/コーナリングランプとして機能する「R.S.ビジョン」を採用。グレードは「シャシーカップ」が復活し、「トロフィー」「シャシースポール」との3種となる。「シャシースポール」は装備レベルを見直して価格を引き下げた。
2017年10月12日、「ZEN MT」を追加。「ZEN」の基本装備はそのままに、0.9L直噴ターボ+5MTに換装。尚、「ZEN MT」の追加に伴い、「ZEN」は「ZEN EDC」に変更された。
2018年5月17日、限定50台で、F1マシン「R.S.18 」からインスピレーションを受けた特別仕様車「R.S.18」を発売。なお、同時期に「R.S.シャシースポール」が廃止されている。
2018年5月現在、欧州各国ならびに日本で用意されているグレード(装備レベル)一覧。韓国市場はルノーサムスン ディーラー網で販売される。
モデル コード
フランス
イタリア
イギリス
ドイツ
スペイン
ギリシャ
ルーマニア
トルコ
韓国
日本
LIFE
WAVE
EXPRESSION
AUTENTIQUE
Joy
ZEN
ACTIF
ZEN
LIVE
EXPRESSION+
ECO-DRIVE
EXPRESSION
Touch
INTENS
ZEN MT
INTENS
ENEGRY
DYNAMIQUE S MEDIANAV
SONDERMODELL PARIS
DYNAMIQUE
Icon
ZEN EDC
GT
ECO BUSINESS
DYNAMIQUE MEDIANAV
DYNAMIQUE
GT
R.S.
INTENS
R.S.
GT
GT LINE
LUXE
RENAULT SPORT
R.S. シャシーカップ
R.S.
RENAULT SPORT
RENAULT SPORT
R.S. トロフィー
この他にも国によってTONIC, DYNAMIQUE PLUS, EXCEPTION, R-LINKなども存在している。
エンジン・バリエーション
モデル
エンジン型式
バルブ配置
総排気量
最大出力
最大トルク
適用(年)
ガソリン
0.9 L TCe
H4Bt 400
DOHC
898 cc
90 PS (66 kW; 89 hp)
2012–
1.2 L 16V
D4F 740
DOHC 16v
1149 cc
75 PS (55 kW; 74 hp)
1.2 L TCe 120
H5Ft
1197/1198 cc
119 PS (88 kW; 117 hp)
1.6 L
M5M
1618 cc
200 PS (150 kW; 200 hp)
RS, 2013–
220 PS (160 kW; 220 hp)
RS Trophy, 2016-
ディーゼル
1.5 L dCi
K9K 612
SOHC 8v
1461 cc
75 PS (55 kW; 74 hp)
2012–
1.5 L Energy dCi
K9K 608
90 PS (66 kW; 89 hp)
K9K 608 (83g)
5代目 (2019年-)
2019年1月28日、5代目となるクリオのエクステリアを発表[6] 。2019年3月、ジュネーヴモーターショー にて実車と詳細を公開[7] 。
2019年5月30日、ヨーロッパで販売を開始した。ルノー・日産・三菱アライアンス が開発した「CMF-B 」プラットフォームを最初に採用するルノー車であり、ルノーグループが新開発したハイブリッド技術である「E-TECH」を搭載する最初のルノー車となる[8] 。生産はルノー・5の時代から先代まで続いていたフランス・パリ北部のフラン工場 から、ブルサ工場 とスロベニア・ノヴォ・メスト工場 に完全移管された。
欧州仕様のパワートレインは、最高出力65PS/75PSを発揮する1.0L3気筒自然吸気ガソリンエンジン(変速機は5速MTのみ)、100PSを発揮する1.0L3気筒ガソリンターボエンジン(5速MTとCVT)、130PSを発揮する1.3Lガソリンターボエンジン(7速DCTのみ)、85PS/115PSを発揮する1.5Lディーゼルターボエンジン(6速MTのみ)の4エンジン7種類[9] で始まったが年々厳しくなる排ガス規制等に対応する為、1年を待たずにdCi(ディーゼルターボ)を全廃するなど変更が加えられている。
2020年1月、ベルギーにてハイブリッド車 を初公開[10] 。同年6月12日にはフランスにてハイブリッド車の受注を開始[11] 。
ハイブリッドシステム「E-TECH」は、1.6L直列4気筒ガソリンエンジンに2つの電気モーター、マルチモードギアボックス、蓄電容量1.2kWhの230Vリチウムイオンバッテリーを組み合わせる。その結果、燃費性能は23.2km/L(WLTP計測による複合モード)、CO2排出量は96g/kmとなる。特別装備としてリアゲートなどにE-TECHのエンブレムが配されるほか、ドライバー正面のデジタルコックピットには充電中や電気モーターの稼働中にバッテリー残量を示すことができる。
2023年6月9日、三菱自動車工業 の欧州部門であるミツビシモーターズヨーロッパビーブイ(MME)が2023年3月にフェイスリフトを受けたクリオをベースとした「コルト 」を発表。同年秋の販売予定とアナウンスした。ルノーから三菱へのOEM供給はエクスプレス 、ASX に次いで3例目となる。
日本での販売
2020年7月9日、ルノー・ジャポンは5代目モデルを10月頃に日本市場に導入すると発表[12] 。車名は先代までの「ルーテシア」を踏襲する。
2020年10月15日、同年11月6日から販売開始すると発表[13] 。日本仕様は全てのグレードで、最高出力96kW(131ps)・最大トルク240N・m(24.5kgm)を発揮する1.3L(1.333L)直列4気筒直噴ターボとパドルシフト付き電子制御7速AT(7EDC)を組み合わせる。駆動方式は前輪駆動で、燃費性能は17.0km/L(WLTCモード)。導入されるのは、「ZEN(ゼン)」(受注生産)、「INTENS(インテンス)」、「INTENS Tech Pack(インテンス テックパック)」の3グレードである。
2022年6月30日、E-TECHの日本仕様を発表。グレードは「E-TECH HYBRID」と「E-TECH HYBRID Leather Pack」の2種。輸入車のコンパクトクラス唯一となるフルハイブリッドシステムを搭載し、WLTC25.2㎞/Lをマークする。ユニット自体は先立って発表されたアルカナ のそれと共通である。尚、ルーテシアE-TECHは大極司がルノージャポンCEO任期中の最後のモデルとなった。
脚注
注釈
出典
参考文献
L'Automobile MAGAZINE OCCASIONS mag N.28
Goo-net カタログ
web-CG ニュース
関連項目
外部リンク