土合駅(どあいえき)は、群馬県利根郡みなかみ町湯檜曽にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)上越線の駅である。
概要
群馬県内の普通鉄道の駅としては最北端に位置する。当駅までが高崎支社管轄であり、上り線の清水トンネルの出口付近に新潟支社との境界が設置されている。当駅に停車する普通列車は新潟支社の担当で、高崎支社の担当は、隣の湯檜曽駅とともに施設管理のみとなっている。
下り線ホームは新清水トンネル内の地下82メートルにあり、地上の駅舎から486段の階段を10分ほどかけて下りないと到達できないことから、「日本一のモグラ駅」として親しまれている。「関東の駅百選」認定駅の1つ。
歴史
- 1935年1月の例では、下りだけでも4本の定期列車が臨時停車していたほか、3本の臨時スキー列車が停車していた[2]。
駅構造
山間部にあり、上り線が地上駅、下り線が地下駅となっている。平常時は無人駅で常駐する駅員はおらず、自動券売機も設置されていないため、旧改札口のところに乗車駅証明書発行機が設置されている。なお、臨時列車の運転時には、管理駅である水上駅から駅員が派遣されて臨時窓口が設けられることもある。駅舎内には待合室がある。トイレは改札外に1か所ある(下り線ホームのトイレは使用停止)[9]。
駅舎は山小屋をイメージしたデザインで、1968年10月に完成した[3]。外壁には新清水トンネル掘削時に出てきた石英閃緑岩が使われている[3]。
2020年2月12日から3月22日にかけて、JR東日本とJR東日本スタートアップによるグランピング場施設「DOAI VILLAGE」の実証実験が行われ[報道 1]、同年8月8日にかつての駅務室に喫茶「mogura」がオープンし[報道 2]、同年11月14日の「DOAI VILLAGE」の開業をもってグランドオープンした[報道 3]。
当駅待合室内では、寝泊まり(STB)をする登山客らが食事用にガスコンロなどを使用する事例が相次ぎ、2016年4月には待合室が一時閉鎖された[新聞 1]。その後再開放されているが、定期的にJR職員や警察が巡回を行っている。
当駅最大の特徴は、上下のホーム間が大きく離れていることである。これは、上越線の複線化の際に下りホームを地下70 mの新清水トンネル内に設置したことによるもので、上りホームや駅舎のある地上と下りホームの間には81 mもの高低差がある。下りホームから駅舎に行くには、ほぼ一直線に伸びる462段の階段(長さ338 m)を上り、次いで湯檜曽川と国道291号を跨ぐ143 mの連絡通路に設けられた計24段の階段を上る必要がある。改札口から下りホームまでは徒歩10分程度を要するため、駅員が配置されていた時代には、下り列車については改札が発車10分前に打ちきられ、市販の時刻表にもその旨が記載されていた。階段の中間部付近にはベンチが設置されている。462段の階段横にはエスカレーターの設置スペースが確保されている[新聞 2]が、現在まで設置の予定はない。
下りホームは単式1面1線の構造である。かつては通過線(本線)と副本線が設けられており、副本線にホームが設置されていたが、2008年5月から10月にかけてホーム改良工事が行われ、ホームが副本線から本線へと移され、同時に嵩上げが行われた[注釈 1]。なお、この工事では旧副本線部分は完全に埋められておらず、却ってホーム幅は狭くなったほか、実質的なホーム有効長は6両分に短縮されている。待合室は旧ホーム側に設置されている。かつてはトイレも旧ホーム側に設置されていたが、2022年12月1日に閉鎖された[9]。このほか、年間を通じて気温が15℃程度とほぼ一定であることから、2020年からは元運転事務室だった部屋を利用し、みなかみ町のクラフトビール製造者「OCTONE Brewing」と提携してビールの熟成を行っている[10]。
上りホームは単式1面1線で、駅舎に面する地上部にある。かつては上下で1本のホームを共用する島式ホームだったが、複線化の際に旧下りホームは待避線となり、優等列車の通過待ちに使われた[11]。その後、駅舎側の線路が撤去され1面1線となっている。ホームは駅舎に近い4両分のみが嵩上げされており、それ以外の部分は通常使用されていない。
のりば
(出典:JR東日本:駅構内図)
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上り線地上ホームから改札への通路(2010年7月)
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上り線地上ホームから見た駅舎(2021年7月)
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上り線地上ホーム(2021年7月)
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湯檜曽川に架かる下り線地下ホーム連絡通路橋(2022年5月)
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連絡通路風よけ(地下ホーム列車通過時の突風緩衝用)(2021年7月)
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駅地下ホームから長い階段を見上げる。階段左端の岩盤が露出した部分は、将来のエスカレーターの設置のために残されたスペースである。(2021年7月)
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下り線地下ホーム(2021年7月)
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下り線地下ホーム待合室(2021年7月)※現在、トイレ・洗面所は閉鎖、使用停止
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待避線が撤去される前の土合駅(2008年1月2日)
利用状況
群馬県統計年鑑公式サイトによると、1日の平均乗車人員は以下の通りである[12]。
年度 |
一日平均 乗車人員
|
2000年 |
21
|
2001年 |
21
|
2002年 |
19
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2003年 |
18
|
2004年 |
22
|
2005年 |
18
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2006年 |
16
|
2007年 |
16
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2008年 |
17
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2009年 |
14
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2010年 |
24
|
2011年 |
22
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2012年 |
20
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2013年 |
19
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夏季や秋季には谷川岳などへの登山客を中心として一定数の利用客がある。また、下り地下ホームを目当てに訪れる観光客も増えている[新聞 3]。
かつては多くのハイカー達による乗降客で賑わった時期もある。例えば1960年の谷川岳山開きの日には、上野駅発の夜行列車から降りる客でホームが埋め尽くされ[13]、改札口には長い行列ができる混雑ぶりだった[新聞 3]。下り地下ホーム完成当時、工事関係者が「谷川岳に登るのに、これぐらいの階段で疲れるようじゃだめだろう」と語り[新聞 4]、登山客の一部がウォーミングアップとして階段を駆け上がる競争を行なっていたこともある[新聞 3]。2001年頃までは、ゴールデンウィーク時期に新宿駅発当駅着の臨時夜行快速が運行されていた。
しかし、1982年の上越新幹線開業や1985年の関越自動車道開通の影響を受けて乗降客が減少したことにより、1985年3月から無人駅化した[新聞 3]。
現在、関越自動車道の水上インターチェンジが車で20分程度の距離にあることや、この区間の定期普通列車の本数が少ないこと、またこの付近で最も主要な観光ポイントである谷川岳ロープウェイの駅まで若干の距離があることなどから、ハイカーや登山客は自家用車か、水上駅や上毛高原駅から谷川岳ロープウェイまでの路線バス(旅客列車より本数が多い)を利用することが多く、あえて当駅を利用する人は少なくなっている。
駅周辺
駅前を通る国道291号は県境の清水峠付近が車両通行不能(点線国道)となっているため、ここから車で直接、新潟県方面に行くことはできない。
その他
隣の駅
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
- ■上越線
- 湯檜曽駅 - 土合駅 - 土樽駅
脚注
注釈
出典
報道発表資料
新聞記事
関連項目
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外部リンク