錦鶏間祗候(きんけいのましこう、旧字体:錦鷄閒󠄁祗候)は、功労のあった華族や官吏を優遇するため、明治時代の半ばに設けられた資格。職制・俸給等はない名誉職。宮中席次等では勅任官に準じた待遇を受けた。麝香間祗候の次に位置する。
概要
錦鶏間祗候は、1890年(明治23年)に廃止された元老院の議官であった者を処遇するため、同年5月30日に設置された[1]。当初の定めによれば、(1)勅任官に満5年以上在任する者(再任の場合は前任のときの任期を通算する)、(2)前項の年数に満たなくとも勲三等以上に叙せられた者または復古及び軍功賞典を受ける者の中から任じることとされた。また、その待遇は勅任官に準じるものとされた[2]。
宮中席次では第3階に属する第26の順位で、第24の高等官二等(勅任官)、第25の功二級の下、第27の勅任待遇、第28の伯爵の上に位置付けられた。
なお、錦鶏間とは本来は京都御所内の部屋の一つ、御学問之間のことである。江戸時代の朝廷内にあった伺候衆の流れを汲む。
主な任官者
あ行
か行
さ行
た行
- 醍醐忠敬 - 元老院議官
- 田所美治 - 文部次官・貴族院議員
- 田中芳男 - 男爵・元老院議官・貴族院議員
- 田辺太一 - 元老院議官
- 田辺輝実 - 高知県令・宮崎県知事・佐賀県知事・三重県知事・宮城県知事・貴族院議員
- 田辺良顕 - 高知県知事・元老院議官
- 高岡直吉 - 宮崎県知事・島根県知事・鹿児島県知事・札幌市長・門司市長
- 高木秀臣 - 東京控訴院検事長
- 高崎五六 - 男爵・元老院議官・東京府知事・北白川宮別当
- 高崎親章 - 大阪府知事・京都府知事・宮城県知事・岡山県知事・長野県知事・茨城県知事・貴族院議員
- 高橋新吉 - 日本勧業銀行総裁・貴族院議員
- 武井守正 - 男爵・鳥取県知事・石川県知事・枢密顧問官
- 谷森真男 - 香川県知事・貴族院議員
- 丹下謙吉 - 馬政局馬政官
- 千坂高雅 - 岡山県知事・貴族院議員
- 千頭清臣 - 栃木県知事・宮城県知事・新潟県知事・鹿児島県知事・貴族院議員
- 調所広丈 - 男爵・高知県知事・鳥取県知事・貴族院議員
- 辻新次 - 男爵・文部次官・貴族院議員
- 津田出 - 元老院議官・貴族院議員
- 津田真道 - 男爵・法学博士・元老院議官・衆議院副議長
- 寺島秋介 - 男爵・貴族院議員
- 寺原長輝 - 奈良県知事・茨城県知事・福岡県知事・貴族院議員
- 田健治郎 - 男爵・枢密顧問官・台湾総督・農商務大臣・司法大臣・逓信大臣・貴族院議員・衆議院議員
- 道家斉 - 農商務官僚・貴族院議員
- 時任為基 - 宮城県知事・大阪府知事・愛知県知事・静岡県知事・高知県知事・宮崎県知事・元老院議官・貴族院議員
- 得能通昌 - 印刷局長・貴族院議員
- 徳久恒範 - 富山県知事・香川県知事・熊本県知事・広島県知事・貴族院議員
な行
は行
ま行
や行
ら行
- 李家隆介 - 富山県知事・石川県知事・静岡県知事・長崎県知事・下関市長
わ行
- 若槻禮次郎 - 内閣総理大臣・内務大臣・大蔵大臣・貴族院議員
- 若林賚蔵 - 島根県知事・奈良県知事・山梨県知事・佐賀県知事・香川県知事・愛媛県知事・広島県知事・京都府知事・貴族院議員
- 渡正元 - 正三位・勲二等、元老院議官・貴族院議員
- 渡辺清 - 男爵・福島県知事・貴族院議員
- 渡辺勝三郎 - 徳島県知事・新潟県知事・長崎県知事・横浜市長・東洋拓殖株式会社総裁
- 渡辺洪基 - 東京府知事・帝国大学総長・駐オーストリア公使・衆議院議員・貴族院議員
- 渡辺驥 - 大審院検事長・元老院議官・貴族院議員
- 渡辺融 - 高知県知事・山口県知事
- 渡辺譲 - 海軍工務監
- 渡辺廉吉 - 行政裁判所部長・貴族院議員
脚注
- ^ 「宮中ニ錦鶏間祗候ヲ置クノ件」(明治23年5月30日)
- ^ 「錦鶏間祗候ハ勅任待遇トス」(明治23年11月4日宮内省達第21号)
関連項目