DN42

dn42(Decentralized Network 42)は、インターネット上に構築された、コミュニティによって運用される実験的なオーバーレイ…

DN42

dn42Decentralized Network 42)は、インターネット上に構築された、コミュニティによって運用される実験的なオーバーレイ・ネットワークである[1]。参加者間をWireGuardなどのトンネルで接続し、その上でBGPを用いて経路情報を交換する[2]

ネットワーク技術、特にBGPなどのルーティング技術を実際に運用しながら学習・実験する環境として利用されている[3][4]

概要

dn42では、参加者が運用するルーター同士をインターネット経由のトンネルで接続し、参加者の自律システム間でBGPを用いて経路情報を交換する[2]。トンネルにはWireGuard、GRE、OpenVPN、Tinc、IPsecなどが利用される[2]

RIPE Labsは2016年の記事で、dn42をネットワーク愛好家によって運用されるプライベートなネットワークで、実際のインターネットではなく実験環境でネットワーク構築を試すための手段として紹介している[3]。また、2025年に開催されたIranian Network Operators Group(IRNOG)の会合では、BGPなどのルーティングプロトコルを学習・実践するための実験ネットワークとしてdn42が紹介された[4]

2026年のFOSDEMでは、dn42について、BGP、IPv4、IPv6、DNSなどのインターネット技術を実験するためのテストベッドとして紹介する講演が行われた[1]

技術構成

ルーティング

dn42の自律システム間の経路交換にはBGPが用いられる[2]。参加者はBIRD、FRRouting(FRR)、OpenBGPDなどのBGP実装を利用できる[5]

参加者間の物理的な専用回線を必要とせず、多くの場合はインターネット上に構築したトンネルを経由してBGPセッションを確立する[2]

IPアドレス

dn42では、IPv4アドレスとして主に 172.20.0.0/14 が使用される[6]。このアドレス空間には用途ごとの予約領域などが存在し、利用可能な範囲はdn42 Registryのポリシーによって管理される[6]

IPv6ではユニークローカルアドレス(ULA)の fd00::/8 が使用される[6]。dn42ではIPv6を優先した利用が推奨されており、一般的なIPv6プレフィックスの登録サイズとして /48 が案内されている[5]

グローバルにルーティング可能なIPプレフィックスはdn42の通常のアドレス空間としてはサポートされず、Registryで提供されるフィルター情報などによって制限されている[6]

自律システム番号

dn42では参加者を識別するために自律システム番号(ASN)が使用される。dn42の新規参加者には、通常 4242420000 から 4242423999 の範囲からASNを登録することが推奨されている[5]

この範囲は、RFC 6996でPrivate Use向けとして予約されている32ビットASNの範囲 4200000000 から 4294967294 の一部に含まれる[7]

Registry

dn42では、ASN、IPプレフィックス、経路、DNSなどのリソース情報を管理する独自のRegistryが運用されている[5]

RegistryはGitリポジトリとして管理されており、参加者は必要なオブジェクトを追加し、Pull Requestを提出することでリソースの登録や変更を申請する[5]。IPプレフィックスの広告元となるASNについても route および route6 オブジェクトとして登録され、経路広告の検証に利用される[6]

DNS

dn42内部では .dn42 名前空間を使用するDNSサービスが運用されている[8]。複数の参加者によって再帰DNSサービスが提供されており、Anycastを利用したリゾルバも運用されている[8]

用途

dn42は、インターネットで使用されるルーティング技術を学習・実験するための環境として利用されている。RIPE Labsでは、実際のインターネット上でネットワークを構築する代わりに利用できる実験環境としてdn42が紹介されており、Peering、トラフィック制御、ルートダンピング、BGPの収束などを試す用途が挙げられている[3]

またFOSDEMでは、BGPやIPv4・IPv6、DNSの実験のほか、ハッカースペースなどのネットワーク同士を相互接続する用途が紹介されている[1]

関連項目

脚注

  1. ^ a b c Automating BGP peerings in the dn42 environment” (英語). FOSDEM 2026. 2026年8月20日閲覧。
  2. ^ a b c d e Home” (英語). DN42 Wiki. 2026年8月20日閲覧。
  3. ^ a b c Samir Jafferali (2016年12月19日). “Build your own Anycast Network in Nine Steps” (英語). RIPE Labs. 2026年8月20日閲覧。
  4. ^ a b Milad Afshari (2025年5月13日). “IRNOG Beyond Tehran: Growing a Nationwide Network Operators Community in Iran” (英語). RIPE Labs. 2026年8月20日閲覧。
  5. ^ a b c d e Getting Started” (英語). DN42 Wiki. 2026年8月20日閲覧。
  6. ^ a b c d e Address-Space” (英語). DN42 Wiki. 2026年8月20日閲覧。
  7. ^ J. Mitchell (2013年7月). “RFC 6996: Autonomous System (AS) Reservation for Private Use” (英語). RFC Editor. 2026年8月20日閲覧。
  8. ^ a b DN42 DNS” (英語). DN42 Wiki. 2026年8月20日閲覧。

外部リンク

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