カラマツソウ(唐松草[5])Thalictrum aquilegiifoliumL. var. intermediumNakai - 高さ200cmにおよぶことがある。茎葉は3-4回3出複葉、小葉は卵形、広卵形、扇形。托葉と小托葉がある。花期は6-9月。萼片は白色から帯紫色で早落性。花糸は棍棒状になる。1花あたりの痩果は7-15個で楕円形。北海道、本州の海岸から標高3000mの高山まで分布し、日当たりの良い草地に生育する[1]。
マンセンカラマツ(満鮮唐松[6])Thalictrum aquilegiifolium L. var. sibiricumRegel et Tiling - 1花あたりの痩果は3-8個で倒卵形、痩果の先端が切頭または凹頭になる。本州の日本海側、四国、九州に分布し、海岸から山地の草原、林縁に分布するが亜高山、高山には出現しない。絶滅危惧IB類(EN)(環境省)。国外では朝鮮半島、中国大陸東北部、サハリン、シベリア東部に分布する[1][3]。
ハルカラマツ節 Sect. Baicalensia
ハルカラマツ(春唐松[5])Thalictrum baicalenseTurcz. ex Ledeb. - 高さ50-100cm。茎葉は2-3回3出複葉、小葉は広くさび状倒卵形からくさび形。小托葉はない。花期は6-7月。萼片は黄白色で早落性。花糸は先が棍棒状になる。痩果は4-8個で球状楕円形。北海道、本州の福島県・栃木県・群馬県・埼玉県に分布し、湿り気のある草地など生育する。絶滅危惧II類(VU)(環境省)。国外では朝鮮半島北部、中国大陸東北部、シベリア東部に分布する[1]。
シロカネカラマツThalictrum koikeanumSera, N.Hamada et Kadota - 高さ50-180cm。茎葉は4-6回3出複葉、小葉は倒卵形から卵形、または楕円形。托葉は膜質で鞘状、小托葉はない。花期は7月。萼片は白色で強く反曲し宿存性。葯は黄色で花糸は糸状。痩果は10-18個で紡錘形。本州の広島県東北部の特産で、ヒノキ植林の林内や林縁などの湿地に生育する。2011年新種記載の種[1]。
シキンカラマツ(紫錦唐松[5])Thalictrum rochebruneanumFranch. et Sav. - 高さ50-200cmかそれを超える。茎葉は3-5回3出複葉、小葉は広倒卵形から円形、または広卵形。托葉は膜質で切れ込み、小托葉はない。花期は7-8月。萼片は淡紅紫色で宿存性。葯は鮮黄色で花糸は糸状。痩果は約20個で紡錘形。本州の福島県・茨城県・群馬県・新潟県・長野県に分布し、夏緑林の林縁や林間の湿り気のある草地に生育する[1]。
アキカラマツ節 Sect. Thalictrum
ヒメカラマツ(姫唐松[5])Thalictrum alpinum L. var. stipitatumY.Yabe - 高さ8-20cm。根出葉は2-3回3出複葉、小葉は卵形から広卵形、またはやや円形。托葉は膜質で全縁、小托葉はない。花期は7-8月。萼片は黄緑色で早落性。葯は鮮黄色で花糸は糸状で帯紫色。痩果は4-6個で紡錘形、果柄は長さ1.5-3mm。本州の早池峰山・中部地方の高山、四国に分布し、高山帯の風の強い礫地や草地に生育する。国外ではヒマラヤ地域に広く分布する[1]。
チャボカラマツThalictrum foetidum L. var. glabrescensTakeda - 高さ10-50cm、茎は斜上してジグザグに伸びる。根出葉は3-5回3出複葉、小葉は倒卵形から卵形、または広卵形。小托葉はない。花期は5-6月。萼片は紫褐色で早落性。葯は鮮黄色、花糸は糸状で紫褐色。痩果は2-6個で紡錘形、無柄。北海道の道央、本州の岩手県に分布し、超塩基性岩地や石灰岩地の岩礫地に生育する[1]。絶滅危惧II類(VU)(環境省)。
アポイカラマツ Thalictrum foetidum L. var. apoienseT.Shimizu - チャボカラマツより小型。小葉の質が厚く、小葉の長さが0.3-0.7mm、痩果は3-4個。北海道のアポイ岳とその周辺のカンラン岩地、後志地方大平山の石灰岩地に生育する[1][7]。絶滅危惧II類(VU)(環境省)。
アキカラマツThalictrum minus L. var. hypoleucum (Siebold et Zucc.) Miq. - 高さ15-200cm。根出葉は3-5回3出複葉、小葉は卵形から広卵形、または倒卵形。托葉と小托葉は膜質で鋸歯縁。花期は7-9月。萼片は黄白色で早落性。葯は黄白色で花糸は糸状。痩果は1-4個で紡錘形、無柄。北海道、本州、四国、九州に分布し、海岸から高山まで生育する。国外では朝鮮半島、中国大陸、千島列島、サハリン、ロシア沿海地方、モンゴルに分布する[1]。
オオカラマツThalictrum minus L. var. kemense (Fr.) Trelease - 高さ20-160cm。葉の裏面と痩果に腺毛が生え、果柄が長さ10-40mmになる。北海道、本州の中部地方以北に分布し、アキカラマツより高い場所に生える。別名、コカラマツ[1]。
ミョウギカラマツThalictrum minus L. var. chionophyllum (Nakai ex F.Maek.) Emura - 長さ40-100cm。茎葉は2-4回3出複葉、小葉は卵形から楕円形、表面が青緑色で裏面は雪白色。花期は7-8月。萼片は白色で早落性。葯は黄色で花糸は糸状。花はまばらにつき、果柄が長さ15-30mmになる。本州の群馬県、埼玉県に分布し、岩壁から懸垂する[1][7]。絶滅危惧IA類(CR)(環境省)。
イシヅチカラマツThalictrum minus L. var. yamamotoi (Honda) Sugim. ex Kadota - 葉の裏面に腺点があり、痩果と果柄に腺毛が生え、果柄が長さ5-11mmになる。花期は6月。四国、九州の宮崎県に分布し、石灰岩、サヌカイトの岩壁に生育する[1]。絶滅危惧IB類(EN)(環境省)。
イワカラマツ(岩唐松[9])Thalictrum sekimotoanum Honda - 高さ50-150cm。植物体に腺毛が密生し粘る。葉は2-4回3出複葉。花期は5-8月。花は円錐状に広がってつく。萼片は早落性。痩果は縦の稜が目立つ紡錘形。本州の秋田県・栃木県・山梨県・長野県に分布し、山地の礫地や岩場に生育する[9]。別名、ナツカラマツ[1]。門田裕一 (2016)『改訂新版 日本の野生植物2』「キンポウゲ科カラマツソウ属」では、アキカラマツの姉妹群、T. minus var. sekimotoanum (Honda) Kitam. として扱っている[1]。絶滅危惧II類(VU)(環境省)。
ノカラマツ(野唐松[5])Thalictrum simplex L. var. brevipesH.Hara - 高さ60-150cm。茎葉は1-3回3出複葉、小葉は狭倒卵形から広倒卵形。小托葉がある。花期は5-9月。萼片は黄白色から淡黄緑色で早落性。葯は黄白色で花糸は糸状。痩果は2-6個で紡錘形、無柄。本州、四国、九州に分布し、河川敷、荒れ地、山地草原の日当たりの良い乾いた草地に生育する。国外では朝鮮半島南部、中国大陸東北部に分布する[1]。絶滅危惧II類(VU)(環境省)。
Thalictrum foetidum L. var. foetidum - 日本に分布するチャボカラマツ、アポイカラマツの基本種。ユーラシア大陸に広く分布する。全体に腺毛が密生し、悪臭がある。岩手県の石灰岩地に分布するものに「ニオイカラマツ」の和名を与えられ、この基本種とされていたが、門田裕一 (2016)『改訂新版 日本の野生植物2』「キンポウゲ科カラマツソウ属」では、日本産のものはチャボカラマツ var. glabrescens に合一されている[1]。