『ザ・フェイム』 (英: The Fame) は、アメリカ合衆国の音楽家、レディー・ガガのデビュー盤。2008年の発売開始から世界的なヒットを記録し、レディー・ガガの名を世に広く知らしめた。
『ザ・フェイム』は発売してからというもの数々の賞を受賞した。第52回グラミー賞では5部門にノミネートされ、その中には年間アルバム賞も含まれる。結果的にグラミーではベスト・エレクトロニック/ダンス・アルバム部門と収録シングル「ポーカー・フェイス」へのベスト・ダンス・レコーディング部門を受賞しており、ブリット・アワードでも2010年の最優秀インターナショナル・アルバム賞を受賞した。2013年[1]と2022年には『ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・ベスト・デビュー・アルバム100』の一枚として選ばれており、2023年時点でBillboard 200では年代を問わない全体の売り上げランキングで第12位にランクされている。
制作背景とスタイル
本作の制作が行われたのは、ブリトニー・スピアーズやプッシーキャット・ドールズなどへの楽曲提供をしつつ、ガガがアーティストとしてニューヨークのクラブを制覇しつつある頃であった。2008年1月のMTVイギリスのインタビューにて、ガガは「2年半かけてアルバム制作に取り組んでいる」と答えている[2]。レッドワン、マーティン・キールセンバウム、ロブ・フサーリなどの協力のもと制作が進められ、ガガ本人も作詞作曲に携わった[3]本作は、音楽的には80年代のシンセポップからの影響が色濃いダンス・ミュージックと位置づけられている。
収録された曲はその名の通り「富と名声」というテーマに基づいている。ガガは本作の制作意図について、「『Fame』というのは、誰もが自分を有名だと感じることがあるということ。大衆文化は芸術。大衆文化を憎んでも本物のクールさは味わえない。だから私はそれを受け入れて『ザ・フェイム』で表現した。私はあなたたち全員をパーティに招待したい。私のライフスタイルを皆にも味わって欲しいの」と解説している[3]。
評価と売上
本作は批評家から肯定的な評価を受けた。ガガの才能は賞賛され、歌声はグウェン・ステファニーと比較された。
本作はイギリス、カナダ、アイルランドのチャートで1位を獲得、アメリカではBillboard 200チャートで最高4位、Dance/Electronic Albumsチャートで1位になった。日本においても大ヒットを記録しており、2010年5月時点で、出荷枚数が70万枚を超えたとの報道が出された[要出典]。8月には、日本レコード協会から、75万枚以上を売り上げた作品へ贈られるトリプル・プラチナムに認定されている[4]。全世界での売上は1200万枚以上に達した。
アルバムからのカットシングル2作も世界的なヒットとなった。1枚目のシングル『ジャスト・ダンス』はアメリカのBillboard Hot 100チャートを含む6カ国のチャートで1位を獲得し、続く2作目の『ポーカー・フェイス』はほとんど全ての音楽市場で1位になった。
ガガは本作を引っさげて初のコンサート・ツアー『The Fame Ball Tour』を行った。
収録曲解説
- 『ジャスト・ダンス』
- ガガが10分で書き上げたもので、パーティから二日酔いで帰った人の様子を、人生の辛さと闘う人に向けて、快楽と愛情を主題に歌った曲だという[5]。
- 『ラヴゲーム』
- ガガがナイトクラブで肉体関係を楽しむ人々に影響を受け、4分で書いた曲であるという[6]。
- 『パパラッチ』
- About.comのインタビューで「自身の戦いと名声と愛に対する渇望に影響を受けて書いたものだ」と語られており、メディアを誘うことや名声と愛についての問題を提示するラブソングとなっている[7]。
- 『ポーカー・フェイス』
- 博打を楽しむガガのボーイフレンドに影響を受けて制作され、歌詞はガガのバイセクシャルとしての経験に基づいている[8][9]。
- 『ボーイズ・ボーイズ・ボーイズ』
- モトリー・クルーの『ガールズ・ガールズ・ガールズ』に影響を受けており、その制作意図について「『ガールズ・ガールズ・ガールズ』の男性版を作りたかった」とガガは述べている[3]。
- 『ビューティフル、ダーティ、リッチ』
- 自分探しについての曲で、ロワーイーストサイドに住んでいた頃にドラッグに手を出し、パーティ三昧の日々を送っていた経験が反映されている[3]。
- 『エイ、エイ(ナッシング・エルス・アイ・キャン・セイ)』
- 今のボーイフレンドと別れ、新しい誰かを見つけることについて述べられている。
- 『ブラウン・アイズ』
- イングランドのロックバンド、クイーンに影響を受けた曲である[3]。
ザ・モンスター
当初は8曲の新曲を収録した『ザ・フェイム』の再発版だったが、レディー・ガガと彼女の所属レーベルは『ザ・モンスター』は、独立したEPであると発表した。EPのデラックス版は、アルバムをまだ持たない人々のために『ザ・フェイム』のボーナス版がついている。
収録曲
通常盤
これはカナダ、メキシコ、ヨーロッパ諸国、オーストラリアとニュージーランドで発売されたヴァージョンである。
# | タイトル | 作詞 | 作曲・編曲 | 作曲者 | 時間 |
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1. | 「ジャスト・ダンス(featuring コルビー・オドニス & エイコン)」 | | | レディー・ガガ、レッドワン、エイコン | |
2. | 「ラヴゲーム」 | | | レディー・ガガ、レッドワン | |
3. | 「パパラッチ」 | | | レディー・ガガ、ロブ・フサーリ | |
4. | 「ビューティフル、ダーティー、リッチ」 | | | レディー・ガガ、ロブ・フサーリ | |
5. | 「エイ、エイ(ナッシング・エルス・アイ・キャン・セイ)」 | | | レディー・ガガ、マーティン・キールセンバウム | |
6. | 「ポーカー・フェイス」 | | | レディー・ガガ、レッドワン | |
7. | 「ザ・フェイム」 | | | レディー・ガガ、マーティン・キールセンバウム | |
8. | 「マニー・ハニー」 | | | レディー・ガガ、レッドワン、ビラル・ハジ | |
9. | 「アゲイン・アゲイン」 | | | レディー・ガガ、ロブ・フサーリ | |
10. | 「ボーイズ・ボーイズ・ボーイズ」 | | | レディー・ガガ、レッドワン | |
11. | 「ブラウン・アイズ」 | | | レディー・ガガ、ロブ・フサーリ | |
12. | 「サマーボーイ」 | | | レディー・ガガ、ブライアン・キエラーフ、ジョシュア・M・シュワルツ | |
13. | 「アイ・ライク・イット・ラフ(カナダiTunes、メキシコ、オーストラリア・ボーナストラック)」 | | | レディー・ガガ、マーティン・キールセンバウム | |
アメリカ改訂版/インターナショナル版
改訂版は変えられたトラックリストを含む。アルバムジャケットのアートワークも若干変化している。『ラヴゲーム』『パパラッチ』『ボーイズ・ボーイズ・ボーイズ』『マニー・ハニー』がリミックスされている。『スターストラック』『ペーパー・ギャングスタ』『アイ・ライク・イット・ラフ』が加えられ、『アゲイン・アゲイン』が取り除かれた。
CD |
---|
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 作曲家 | 時間 |
---|
1. | 「ジャスト・ダンス(featuring コルビー・オドニス & エイコン)」 | | | レディー・ガガ、レッドワン、エイコン | |
2. | 「ラヴゲーム」 | | | レディー・ガガ、レッドワン | |
3. | 「パパラッチ」 | | | レディー・ガガ、ロブ・フサーリ | |
4. | 「ポーカー・フェイス」 | | | レディー・ガガ、レッドワン | |
5. | 「エイ、エイ(ナッシング・エルス・アイ・キャン・セイ)」 | | | レディー・ガガ、マーティン・キールセンバウム | |
6. | 「ビューティフル、ダーティー、リッチ」 | | | レディー・ガガ、ロブ・フサーリ | |
7. | 「ザ・フェイム」 | | | レディー・ガガ、マーティン・キールセンバウム | |
8. | 「マニー・ハニー」 | | | レディー・ガガ、レッドワン、ビラル・ハジ | |
9. | 「スターストラック (featuring フロー・ライダー & スペース・カウボーイ)」 | | | レディー・ガガ、マーティン・キールセンバウム、ニック・ドレスティ | |
10. | 「ボーイズ・ボーイズ・ボーイズ」 | | | レディー・ガガ、レッドワン | |
11. | 「ペーパー・ギャングスタ」 | | | レディー・ガガ、レッドワン | |
12. | 「ブラウン・アイズ」 | | | レディー・ガガ | |
13. | 「アイ・ライク・イット・ラフ」 | | | レディー・ガガ、マーティン・キールセンバウム | |
14. | 「サマーボーイ」 | | | レディー・ガガ、ブライアン・キエラーフ、ジョシュア・M・シュワルツ | |
15. | 「ディスコ・ヘブン(インターナショナル・ボーナストラック)」 | | | レディー・ガガ、ロブ・フサーリ、 トム・カーファフィアン | |
16. | 「アゲイン、アゲイン(日本ボーナストラック)」 | | | レディー・ガガ | |
17. | 「レトロ、ダンス、フリーク(日本ボーナストラック)」 | | | レディー・ガガ | |
ドイツ・デラックス・エディション |
---|
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 作曲家 | 時間 |
---|
16. | 「ポーカー・フェイス」(ライブのハウスピアノ版) | | レディー・ガガ、レッドワン | | |
17. | 「ジャスト・ダンス」(ライブ版) | | レディー・ガガ、レッドワン、エイコン | | |
18. | 「エイ、エイ (ナッシング・エルス・アイ・キャン・セイ)」(エレクトロニックピアノ&ヒューマンビートボックス版) | | レディー・ガガ、マーティン・キールセンバウム | | |
19. | 「アゲイン・アゲイン」 | | レディー・ガガ | | |
イギリス & アイルランド・エディション(2009年)
2009年に発売されたイギリス、アイルランド版は改訂版と最初のリリースのトラックを全て含む。トラックの順序は他のヴァージョンと異なる。
CD |
---|
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 作曲家 | 時間 |
---|
1. | 「ジャスト・ダンス(featuring コルビー・オドニス)」 | | | レディー・ガガ、レッドワン、エイコン | |
2. | 「ラヴゲーム」 | | | レディー・ガガ、レッドワン | |
3. | 「パパラッチ」 | | | レディー・ガガ、ロブ・フサーリ、V・コッチ | |
4. | 「ポーカー・フェイス」 | | | レディー・ガガ、レッドワン | |
5. | 「アイ・ライク・イット・ラフ」 | | | レディー・ガガ、マーティン・キールセンバウム | |
6. | 「エイ、エイ(ナッシング・エルス・アイ・キャン・セイ)」 | | | レディー・ガガ、マーティン・キールセンバウム | |
7. | 「スターストラック (featuring フロー・ライダー & スペース・カウボーイ)」 | | | レディー・ガガ、マーティン・キールセンバウム、ニック・ドレスティ | |
8. | 「ビューティフル、ダーティー、リッチ」 | | | レディー・ガガ、ロブ・フサーリ | |
9. | 「ザ・フェイム」 | | | レディー・ガガ、マーティン・キールセンバウム | |
10. | 「マニー・ハニー」 | | | レディー・ガガ、レッドワン、ビラル・ハジ | |
11. | 「ボーイズ・ボーイズ・ボーイズ」 | | | レディー・ガガ、レッドワン | |
12. | 「ペーパー・ギャングスタ」 | | | レディー・ガガ、レッドワン | |
13. | 「ブラウン・アイズ」 | | | レディー・ガガ、ロブ・フサーリ | |
14. | 「サマーボーイ」 | | | レディー・ガガ、ブライアン・キエラーフ、ジョシュア・M・シュワルツ | |
15. | 「ディスコ・ヘブン(ボーナス・トラック)」 | | | レディー・ガガ、ロブ・フサーリ、トム・カーファフィアン | |
16. | 「アゲイン・アゲイン(ボーナストラック)」 | | | レディー・ガガ、ロブ・フサーリ | |
17. | 「ラヴゲーム(スペース・カウボーイ・リミックス)(エンハンスメントCDボーナス・トラック)」 | | | レディー・ガガ、スペース・カウボーイ | |
リリース日一覧
地域
|
リリース日
|
規格
|
カナダ
|
2008年8月19日
|
CD、デジタル・ダウンロード
|
ヨーロッパ
|
2008年8月29日
|
CD、デジタル・ダウンロード
|
オーストラリア
|
2008年9月6日
|
CD、デジタル・ダウンロード
|
2008年11月15日
|
ドイツ
|
2008年9月19日
|
CD、デジタル・ダウンロード
|
フランス
|
2008年10月13日
|
CD、デジタル・ダウンロード
|
アメリカ合衆国
|
2008年10月28日
|
CD、LP、デジタル・ダウンロード
|
イタリア
|
2008年10月31日
|
CD、デジタル・ダウンロード
|
2009年1月30日
|
CD、デジタル・ダウンロード(新ヴァージョン)
|
アイルランド
|
2009年1月9日
|
CD、デジタル・ダウンロード
|
イギリス
|
2009年1月12日
|
スペイン
|
2009年2月24日
|
CD
|
ブラジル
|
2009年3月24日
|
CD
|
中国
|
2009年5月4日
|
CD
|
日本
|
2009年5月20日
|
CD
|
2009年7月22日
|
CD(DVD付限定版)
|
チャート
ゴールド等認定
国
|
ゴールド等認定
|
売上
|
オーストラリア
|
ダブル・プラチナ[30]
|
180,000+
|
カナダ
|
トリプル・プラチナ
|
240,000+[31]
|
ニュージーランド
|
プラチナ[32]
|
30,000+
|
アイルランド
|
プラチナ
|
|
日本
|
トリプル・プラチナ[33]
|
750,000+
|
ポーランド
|
ゴールド
|
10,000+
|
イギリス
|
プラチナ
|
700,000+
|
アメリカ合衆国
|
プラチナ[34]
|
1,400,000+[35]
|
脚注
- ^ [1]
- ^ Harris, Chris (January 15, 2009). “Shes at number one and shes on our Spanking New for 09 list so we had a lil' chat with the Lady”. MTV UK. MTV Networks Entertainment Group. 2012年8月5日閲覧。
- ^ a b c d e “Lady Gaga: Biography”. LadyGaga.com. 2009年1月8日閲覧。
- ^ https://web.archive.org/web/20100913122141/http://www.riaj.or.jp/data/others/gold/201008.html
- ^ “Interview: Lady Gaga”. Artistdirect.com. ARTISTdirect, Inc. (January 30, 2009). 2009年4月27日閲覧。
- ^ Scaggs, Austin (February 19, 2009). “The "Just Dance" singer on leotards, the first lady and raunchy lyrics”. Rolling Stone. Jann Wenner. 2009年3月31日閲覧。
- ^ Slomowicz, Ron (June 10, 2008). “Lady Gaga Interview”. About.com. The New York Times Company. 2009年4月17日閲覧。
- ^ McKay, Hollie (May 22, 2009). “Lady Gaga Opens Up About Her Preference for Boys That Look Like Girls”. Fox News. 2009年4月28日閲覧。
- ^ “Lady GaGa Entertains Thousands At Palm Springs White Party”. Access Hollywood. NBC (April 14, 2009). 2009年4月17日閲覧。
- ^ “Top 50 Albums Chart”. Australian Recording Industry Association. http://www.ariacharts.com.au/pages/charts_display_album.asp?chart=1G50
- ^ “Austria Albums Chart”. acharts. (2009年3月18日). http://acharts.us/austria_albums_top_75
- ^ “Belgium Albums chart”. acharts. (2009年3月21日). http://acharts.us/belgium_albums_top_50
- ^ “Canadian Album chart”. JAM!Misic. (2009年1月10日). http://jam.canoe.ca/Music/Artists/N/Nickelback/2009/01/07/7946831-jam.html
- ^ a b c d Lady Gaga "The Fame" Album Chart
- ^ European Top 100 Albums
- ^ Suomen virallinen lista
- ^ German Albums Chart
- ^ Greek Albums Chart
- ^ Irish Albums Chart
- ^ FIMI Artisti Album Chart - Archivie
- ^ ザ・フェイム - レディー・ガガ
- ^ Polish Albums Chart
- ^ Norway Albums Chart
- ^ [2]
- ^ Swedish Albums Chart
- ^ UK Albums Chart
- ^ Billboard Comprehensive Albums
- ^ Billboard Top Digital albums
- ^ Billboard Top Electronic albums
- ^ “ARIA TOP50 ALBUM CHART”. Australia The Fame certification. (2009年3月23日). http://ariacharts.com.au/pages/charts_display_album.asp?chart=1G50
- ^ Lady Gaga remains at No. 1
- ^ “The Fame certification”. RIANZ. http://www.rianz.org.nz/rianz/chart_facts.asp
- ^ “ゴールド等認定作品一覧 2010年4月”. 日本レコード協会 (2010年5月14日). 2010年5月14日閲覧。
- ^ “Gold and Platinum Search for Albums by Lady Gaga”. RIAA. http://www.riaa.com/goldandplatinumdata.php?table=SEARCH_RESULTS&artist=Lady%Gaga&format=ALBUM&go=Search&perPage=50
- ^ Billboard Top 200 Soundscan (3/21/2009)
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