『プレーンスケープ トーメント 』(Planescape: Torment )は、『アドバンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズ 』(AD&D)をベースにしたコンピュータRPG (CRPG)。Black Isle Studios (英語版 ) が Windows 向けに開発し、Interplay Entertainment (英語版 ) から1999年 12月12日 にリリースされた。日本では、SEGA から日本語マニュアル付き英語版が発売された。背景となるキャンペーン・セッティングには「プレーンスケープ (英語版 ) 」を採用している。ゲームエンジン には、BioWare の『バルダーズ・ゲート 』でも使用されたインフィニティ・エンジン (英語版 ) の改良版を採用している。
本作はストーリー主導型のゲームで、当時の他のCRPGと比べると戦闘の比重は小さい。主人公の The Nameless One(名も無き者)は殺されても何度でも蘇るイモータル であるが、すべての記憶を失っており、自分の名前さえ思い出すことができない。記憶を取り戻すために扉の町シギル(シジル)やその他の AD&D のプレーン を探索するのがゲームの中心となる。
ゲームは商業的にはそれほど成功しなかったが、多くの批評家から称賛され、カルト・クラシック(en:cult video game )となった[2] 。没入感のある大量のテキスト、「プレーンスケープ」をベースにした暗く謎めいた設定、主人公のユニークな人格などは、従来のCRPGの多くの特徴と一線を画すものであった。多くのゲームライター が1999年最高のCRPGと考え、リリース以降長きにわたって注目され続けている。
また本作発売から21年後の2020年には日本語化MODが配布されている[3] 。
ゲームの概要
『トーメント』は BioWare のインフィニティ・エンジンをベースにしており、ゲームは等角投影法 で描写された2次元の世界で表現される[4] [5] 。探索画面では、地面をクリックして移動したり、オブジェクトをクリックして調べたりするというようにプレイヤーキャラクター を操作する[6] 。アイテム や呪文は、ホットキー 、「クイック・スロット」、またはラジアル・メニューから使用できる[7] 。
ゲームのルールは『アドバンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズ』第2版をベースにしているが[8] 、主人公は自分が死ぬことができない理由を探し求めているイモータルであるため[9] 、通常の『AD&D』のルールを超越した能力を持っている。ゲーム開始時に行うキャラクター作成 では、主人公の能力値(ストレングス、インテリジェンス、カリスマなど)にポイントを割り振る[10] [11] 。ゲーム開始時の主人公のキャラクタークラス はファイターであるが、対応する教師を見付ければ、シーフ やメイジ になったり、ファイターに戻ったりすることができる[6] 。主人公は鎧を装備できないが、代わりに魔法のタトゥー を「装備」することで能力を強化することができる[12] 。主人公が死んでもたいていの場合は何もペナルティがなく、別の場所で復活 する[13] 。
主人公以外にもゲームの中で出会ったキャラクターのうち何人かがパーティに加わるが、主人公に同行するのは一度に5名までである。仲間にしたキャラクターは、他の NPC との会話中に発言することがあるほか、ゲーム中ランダムにパーティ・メンバー間での会話が発生する場合もある[11] 。
『トーメント』は、戦闘よりも会話によるクエストの解決を重視している。ゲームの戦闘エンカウンター の多くは、会話によって解決したり、ステルスによって回避したりすることができる[11] 。incite PC Gaming のレビューは、「このゲームはほぼ完全にストーリー主導であり、適切な質問をすれば、暴力が必要になる回数はわずかである」としている[14] 。主人公はジャーナルを携帯しており、プレイヤーがゲームのさまざまなクエストやサブプロットの経過を追うのに役立つ[8] 。
アライメント はキャラクターの道徳的および倫理的な観点を「善と悪」および「秩序と混沌」の独立した軸に基づいて決定するものである。本来の AD&D ではアライメントは静的な属性であるが、『トーメント』の主人公は「トゥルー・ニュートラル」(善でも悪でもなければ、秩序でも混沌でもない)のキャラクターとしてゲームを始め、ゲームを進めるうちに行動に応じてこの属性が徐々に変化する[4] [15] 。NPC の反応は主人公のアライメントに応じて変化する[8] 。NextGen のレビューは、「このゲームは、親切で法を遵守する善人ぶったプレイヤーと、だれかれ構わず殺そうとする悪党プレイヤーの両方に娯楽を提供する」としている[16] 。
脚注
^ “Planescape: Torment - Credits ”. Allgame . 2009年8月7日時点のオリジナル よりアーカイブ。2009年3月19日 閲覧。
^ Chris Dahlen (2005年8月23日). “Planescape: Torment ”. The Escapist (magazine) . 2011年8月19日 閲覧。
^ “発売から21年の時を経て『Planescape: Torment』日本語化Modが登場! 有志が1人で翻訳 ”. Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト (2020年11月2日). 2024年7月6日 閲覧。
^ a b Kasavin, Greg (1999年12月21日). “Planescape: Torment for PC Review ”. GameSpot . 2009年8月7日時点のオリジナル よりアーカイブ。2009年2月27日 閲覧。
^ Williams, Derek. “Planescape: Torment Overview ”. Allgame . 2009年8月7日時点のオリジナル よりアーカイブ。2009年2月27日 閲覧。
^ a b Norton, Matt (1999). Planescape: Torment Instruction Manual . Irvine, California: Interplay
^ Loijens, Joost (2000年1月22日). “Planescape: Torment Review (page 2) ”. GameSpy . 2009年8月7日時点のオリジナル よりアーカイブ。2009年2月27日 閲覧。
^ a b c Carr, Diane (May 2003). “Play Dead: Genre and Effect in Silent Hill and Planescape: Torment ” . Game Studies 3 (1). ISSN 1604-7982 . オリジナル の2009年8月7日時点におけるアーカイブ。. https://webcitation.org/5iqx3F0ms?url=http://www.gamestudies.org/0301/carr/ 2009年5月1日 閲覧。 .
^ Turner, Jay (2000年11月24日). “Review: Planescape: Torment ”. GamePro . 2009年8月7日時点のオリジナル よりアーカイブ。2009年2月27日 閲覧。
^ Wolf, Michael (March 2000). “Planescape: Torment review”. PC Gamer US (Brisbane, California: Imagine Media) 7 (3): 82-83. ISSN 1080-4471 .
^ a b c Loijens, Joost (2000年1月22日). “Planescape: Torment Review ”. GameSpy . 2009年8月7日時点のオリジナル よりアーカイブ。2009年2月27日 閲覧。
^ Schiesel, Seth (2000年4月27日). “A Universe Where Ideas Can Trump Actions” . The New York Times . オリジナル の2009年8月7日時点におけるアーカイブ。. https://webcitation.org/5iqx3F0nL?url=http://www.nytimes.com/library/tech/00/04/circuits/articles/27game.html
^ Purchese, Rob (2000年1月15日). “Planescape: Torment Review ”. Eurogamer . 2009年8月7日時点のオリジナル よりアーカイブ。2009年2月27日 閲覧。
^ Gladstone, Darren; Nikki Douglas (March 2000). “Ungrateful Dead: A Long, Strange Tip Through the Afterlife in Planescape: Torment ”. incite PC Gaming : 110-112.
^ Dahlen, Chris (2005年8月23日). “Planescape: Torment ”. The Escapist . 2009年8月7日時点のオリジナル よりアーカイブ。2009年3月4日 閲覧。
^ Wolf, Michael (March 2000). “Planescape: Torment : Scarred and dead but still kickin' butt”. NextGen : 110-112.
外部リンク
英語版ウィキクォートに本記事に関連した引用句集があります。