本拠地の1つであるNHKホール
公益財団法人NHK交響楽団 (NHKこうきょうがくだん、英 : NHK Symphony Orchestra, Tokyo )は、日本 にあるオーケストラ の一つ。通称「N響 (エヌきょう)」。所在地は東京都 港区 高輪 二丁目16番49号。公益社団法人 日本オーケストラ連盟 正会員。近衛秀麿 らによって設立された「新交響楽団」が源流[1] である。
オーケストラの運営
公益財団法人 (2010(平成22)年4月1日より)であり、日本放送協会 (NHK)からの出向者が歴代の理事長を務めている。2023年7月現在の理事長は今村啓一 (元NHK解説委員長 )。NHKから受信料を財源に14億円(2013(平成25)年度)の交付金 (国内放送費に計上)を受け、楽団側は演奏の放送などで事業に協力している[2] 。その他に民間各社からも支援を受けている。この助成金は、旧放送法 、9条2項1号(1988(昭和63)年改正前)「放送番組編集上必要な劇団、音楽団を維持し、養成し、又は助成すること」を根拠に支出されている。この考え方は、現放送法20条(業務)2項6号「前項の業務に附帯する業務を行うこと」に引き継がれている[3] 。
NHKは別途、東京放送管弦楽団 など放送用専属オーケストラ を主要放送局ごとに持っており、紅白歌合戦 などの歌番組 や娯楽番組 でNHK交響楽団が演奏することはない。大河ドラマ のみが例外だが、ここでも演奏を担当するのはオープニング主題曲だけで、伴奏音楽部分や他のドラマの音楽は外部演奏団体が起用される。
コンサート
定期公演
月に3つのプログラムが2公演ずつ、6公演開催される[4] 。現在、NHK交響楽団ではこの2公演ずつを「1回」として定期公演の回数に入れている。
7月 、8月 、3月 は定期公演が開催されないため、年間27回・54公演が定期公演として開催されている。
Bプログラムは音響の良いサントリーホールで開催されるため人気がある。そのため、定期会員券も年間会員に限られ、また、座席数もNHKホールに比べて格段に少ないこともあり、1回券として発売される枚数も少ない。
なお、2021年3月から2022年6月にかけてNHKホールが改修工事のため閉館していたため[5] 、2021–22シーズンのA・Cプログラムは東京芸術劇場 で開催された[6] 。
主催公演
ベートーヴェン 「第9 」演奏会 - 12月 末、4公演ほどNHKホールにて開催される。
Music Tomorrow - 現代音楽 作品や委嘱作品と尾高賞 受賞作品でプログラムが組まれる。毎年5月〜6月ごろ開催。
N響「夏」 - 7月、ポピュラーなクラシック音楽 でプログラムが組まれ、NHKホールで開催される。
夏だ!祭りだ!!N響ほっとコンサート - 「夏休み特別公演」として毎年8月にNHKホールで開催されるファミリーコンサート。映画音楽やアニメ音楽がプログラムに加えられることも多い。
その他の公演
演奏は海外にも配信される。CD録音は「公共放送のオーケストラ」という性格上あまり積極的ではなかったが、近年はライヴ録音を中心にリリースも目立ってきている。販売は、スタジオ録音は各レコード会社が発行・発売、ライヴ録音はNHKサービスセンター発行・各レコード会社が発売するという形態をとっている。
定年退職した団員を中心に構成されたN響団友オーケストラ もあり、演奏活動を行っている。
演奏
伝統的にドイツ ・オーストリア 系音楽を主なレパートリーとし、歴代の名誉指揮者もほとんどがドイツ圏の出身者か地盤とする指揮者であったが、フランス語圏スイス生まれのシャルル・デュトワ を常任指揮者(のちに音楽監督)に迎える大転換の後は、色彩感の豊かな柔軟な音色を持つようになった。
放送交響楽団 としての性格も有することから多様な作品の演奏を求められ、クラシック音楽 以外にも劇伴 音楽やゲーム音楽 を演奏するなど、ジャンルは幅広い。NHK大河ドラマ のテーマ音楽を毎年演奏しているほか、アニメ『科学忍者隊ガッチャマン 』の劇場版(『交響組曲 科学忍者隊ガッチャマン 』)やシリウスの伝説 、テレビゲーム 『ドラゴンクエストシリーズ 』のBGM のオーケストラ演奏も行い、多数のサウンドトラック ・アルバムをリリースしている。特にPlayStation 2 版『ドラゴンクエストV 』では、ゲーム中のほぼ全ての楽曲においてNHK交響楽団の演奏によるものが採用されている。また、NHK Eテレ の番組『ピタゴラスイッチ ちょいむず』において「アルゴリズムたいそう」を演奏し、団員による体操も披露された。アナログ時代の日本テレビ クロージング「鳩の休日 」(長尺枠最後)も演奏していた。
年表
#○○ は定期公演の回数を示す
戦前
戦後
21世紀
指揮者
常任指揮者・名誉指揮者・正指揮者・音楽監督他
設立初期、約40年間にわたってジョセフ・ローゼンストック が専任、常任、名誉指揮者を務めていた。常任指揮者制度は1965年で廃止されたが、1996年にシャルル・デュトワが常任指揮者になり復活した。シャルル・デュトワは、その貢献により名誉音楽監督に就任している。ウラディーミル・アシュケナージが2007年8月末に音楽監督を退任した後は後任を置かず、アンドレ・プレヴィンが首席客演指揮者として就任している[17] 。
主な客演指揮者
NHK交響楽団は、「日本の音楽そのものの歴史」(朝比奈隆 )と言われるように、世界でもトップクラスの指揮者たちが客演している。
公演の放送
NHK交響楽団の定期演奏会の模様は、NHK-FM放送 とNHK Eテレ 『クラシック音楽館 』内にて放送される。また、FM放送はNHKネットラジオ「らじる★らじる」 にて、EテレはNHKプラス にてそれぞれ同時配信されている。
FM放送では、2022年度まで各公演回それぞれ初日の公演が随時(実際はN響の年間公演日程通り土・金・水で確定されている)生中継されていた。FMでの放送時間は、Aプログラムが土曜日18時から20時15分(『N響演奏会』と題された特別枠)、Bプログラム及びCプログラムが金曜日・水曜日19時から21時10分(『ベストオブクラシック 』枠)となっていた。この場合、通常ラジオ第1と同時放送となる夜19時の「NHKきょうのニュース 」は放送休止となっていた。
2023年度からはNHK交響楽団の意向もあり、FM放送は次のように変更されることになった[18] 。
AプログラムとBプログラムについては事前収録に変更(Cプログラムはこれまで通り生放送)
放送日時とそれに対応するプログラムの変更
Aプログラム及びCプログラム…木曜日・金曜日19時30分から21時10分(『ベストオブクラシック』枠)
Bプログラム…土曜日16時から17時50分(18時20分まで放送の場合あり、『N響演奏会』と題された特別枠)
Eテレの『クラシック音楽館』は、公演休憩部分を除くノーカット放送となっている。2022年度まではNHK BSプレミアム の『プレミアムシアター 』でも放送されたが、2023年度より放送枠を『クラシック音楽館』に一本化された[18] 。
定期演奏会以外では、年末恒例となっている『ベートーヴェン「第9」演奏会』の模様が、例年まずFMで生放送され、その後Eテレで順次放送される。またFM放送では、1950年代 からNHKが保存してきたN響の演奏を放送する番組『N響ザ・レジェンド』が、土曜日の19時20分から21時の枠で放送されている(前述の『N響演奏会』が放送される場合は休止となる)。
脚注
参考文献
NHK交響楽団『NHK交響楽団40年史』日本放送出版協会、1967年。
NHK交響楽団『NHK交響楽団50年史』日本放送出版協会、1977年。
小川昂 『新編 日本の交響楽団定期演奏会記録1927-1981』民主音楽協会、1983年。
松本善三『提琴有情 日本のヴァイオリン音楽史』レッスンの友社、1995年。
岩野裕一「NHK交響楽団全演奏会記録・「日露交歓交響管弦楽演奏会」から焦土の《第9》まで」『Philharmony 99/2000SPECIAL ISSULE』NHK交響楽団、2000年。
岩野裕一「NHK交響楽団全演奏会記録2・焼け跡の日比谷公会堂から新NHKホールまで」『Philharmony 2000/2001SPECIAL ISSULE』NHK交響楽団、2001年。
岩野裕一「NHK交響楽団全演奏会記録3・繁栄の中の混沌を経て新時代へ - "世界のN響"への飛躍をめざして」『Philharmony 2001/2002SPECIAL ISSULE』NHK交響楽団、2002年。
関連項目
外部リンク
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