彩虹(簡体字:彩虹、英語:CH)は、 中国航天科技集団(CASC)の中国航天空気動力技術研究院(CAAA)によって開発された無人航空機 (UAV)のシリーズ名である[1]。
CH-3
CH-3は、彩虹シリーズの無人航空機である。CH-3は、ルータン バリ・イージーに似た珍しい前翼(カナード翼)を採用している。機体後部のレシプロエンジンによって推進式ブレード3枚プロペラを回転させる[2]。
2015年1月、ナイジェリア北部でイスラム過激派のボコ・ハラムに対するナイジェリア軍の作戦で投入したCH-3が墜落したことが報じられた[3]。同年7月、ナイジェリア軍のCH-3が写真で公開された[4]。
2015年9月、パキスタン軍はCH-3をベースに国産化したNESCOMブラク(英語版)によってアフガニスタンと国境を接する北ワジリスタンのシャワル渓谷で3人のイスラム過激派の殺害に成功してアメリカ、イギリス、イスラエルに次いで無人攻撃機を実戦に使用した例となった[5][6]。
2016年2月、ナイジェリア軍はCH-3によってボコ・ハラムを空爆し、米国、英国、イスラエル、パキスタン、イラクに続く無人機攻撃の成功例とされた[7]。
2016年5月、ミャンマー北部の治安作戦で投入されているとみられるミャンマー軍のCH-3が写真で公開された[8]。
2016年10月、トルクメニスタンの軍事パレードでCH-3が公開された[9]。
スペック [10]
- 全幅:8.0m
- 最大離陸重量:630kg
- ペイロード:60 – 80kg
- 運用高度:3,000~5,000m
- 最大速度:407km/h
- 巡航速度:180~220km/h
- 航続距離:2,400km
CH-4
CH-4は、彩虹シリーズの中高度長時間滞空無人航空機(MALE)である[1]。CH-4の設計はMQ-9 リーパーと酷似しているが、唯一の視覚的な違いはMQ-9のY字尾翼がCH-4にないことである[11][12]。CH-4にはCH-4AとCH-4Bの2つの派生型が存在する。CH-4Aは偵察用であり、CH-4Bは攻撃用である[1]。
2014年8月、上海協力機構の軍事演習「平和への使命2014」でCH-4は複数の目標に対するミサイル攻撃を披露した[13]。
2015年10月、イラク軍はCH-4の映像を公開し[14]、ISILがイラクの国土の3分の1を支配した2015年からISILを260回攻撃して掃討戦に貢献した[15]。
2017年1月、サウジアラビア空軍はキング・ファイサル航空学校(英語版)創立50周年記念式典でCH-4を公開した[16]。同年3月、サウジアラビア国王サルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズの訪中の際にCASCとアブドルアジズ国王科学技術都市(KACST)はCH-4のライセンス生産とその関連機器のノックダウン生産を行う契約を結んだ[17]。同年5月、KACSTは国産無人機のSaqr-1(英語版)を発表したが、同じ中国製のAR-1空対地ミサイルとFT-9誘導爆弾を採用してる共通点からCH-4Bがベースになったともされる[18]。
2018年5月、ヨルダン軍のCH-4がSOFEX 2018で公開された[19]。
2018年8月、イエメンのフーシがサウジアラビア軍のCH-4を撃墜したことを発表した[20]。サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)は2015年からイエメン内戦にCH-4を投入していることが衛星写真から報じられていた[21]。
2018年10月、アルジェリア軍のCH-4がCH-3とともに映像で公開された[22]。
2019年10月、インドネシア軍のCH-4が軍事パレードで公開された[23]。
スペック
[1][24]
- 全長: 9m
- 全幅:18m
- 全高:2.7m
- 最大離陸重量:1260kg(CH-4A)、1330kg(CH-4B)
- ペイロード:115kg(CH-4A)、345kg(CH-4B)
- 実用上昇限度:7,200m
- 運用高度:5,300m
- 最大速度:235km/h(CH-4A)、210km/h(CH-4B)
- 巡航速度:180km/h
- 航続距離:3,500 km(CH-4A)、1,600 km(CH-4B)
CH-5
採用国
- アルジェリア
- アルジェリア人民国軍 :CH-3、CH-4[25]
- エジプト
- エチオピア
- インドネシア
- ヨルダン
- パキスタン
- イラク
- ミャンマー
- ナイジェリア
- サウジアラビア
- トルクメニスタン
- アラブ首長国連邦
- ザンビア
- セルビア
関連項目
出典
- ^ a b c d “中国製の軍事ドローン「彩虹4号」(上)射撃能力向上目指す”. フジサンケイビジネスアイ (2019年10月13日). 2019年10月10日閲覧。
- ^ a b “Nigeria’s use of China origin CH-3 UCAV confirmed”. Defence Blog (2015年7月30日). 2019年10月10日閲覧。
- ^ “It Looks Like An Armed Chinese-Made Drone Crashed In Nigeria”. ビジネスインサイダー (2015年1月30日). 2019年11月19日閲覧。
- ^ “China’s First Drone War Is Here”. デイリー・ビースト (2017年4月14日). 2019年11月19日閲覧。
- ^ a b c d e “Zambia receives UAVs for counter-poaching operations”. Defence Web (2018年3月16日). 2019年10月10日閲覧。
- ^ “パキスタンの国産無人機が初攻撃、過激派の戦闘員3人殺害”. AFPBB (2015年9月8日). 2019年11月19日閲覧。
- ^ “Watch Nigeria's First Confirmed Drone Strike -- Against Boko Haram”. Popular Science (2016年2月23日). 2019年11月19日閲覧。
- ^ “Is Myanmar Using Armed Chinese Drones For Counterinsurgency?”. The Diplomat (2016年6月9日). 2019年11月19日閲覧。
- ^ “Le Turkménistan s’équipe en « Made in China »”. East Pendulum (2016年10月30日). 2019年11月19日閲覧。
- ^ “CH 3 & 3A”. 2008年11月8日閲覧。
- ^ “Archived copy”. 2013年12月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年11月21日閲覧。
- ^ "Red dawn: Communist China stepping up drone deployment,"The Washington Times, March 26, 2013
- ^ “Analyzing Peace Mission 2014: China and Russia Exercise with the Central Asian States”. SLDinfo. (2014年10月8日). https://sldinfo.com/2014/10/analyzing-peace-mission-2014-china-and-russia-exercise-with-the-central-asian-states/ 2019年11月19日閲覧。
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- ^ “中国軍用ドローンが世界を制する日”. ニューズウィーク. (2018年6月2日). https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/06/post-10294.php 2019年10月10日閲覧。
- ^ “Saudi Arabia unveiled CH-4 armed unmanned aerial vehicle”. Defence blog. (2017年1月27日). https://defence-blog.com/news/saudi-arabia-unveiled-ch-4-armed-unmanned-aerial-vehicle.html 2019年11月19日閲覧。
- ^ a b “Chinese drone factory in Saudi Arabia first in Middle East”. サウスチャイナ・モーニング・ポスト. (2017年3月26日). https://www.scmp.com/news/china/diplomacy-defence/article/2081869/chinese-drone-factory-saudi-arabia-first-middle-east 2019年10月10日閲覧。
- ^ “Saudi Arabia’s First Domestic Long-distance UAV Fires Only Chinese-made Missiles and Bombs”. China Topix. (2017年5月14日). http://www.chinatopix.com/articles/114144/20170514/saudi-arabia-first-domestic-long-distance-uav-fires-chinese.htm 2019年11月19日閲覧。
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- ^ “Saudi CH-4B armed UAV shot down by Houthi rebels in Yemen”. Defence Blog (2018年8月30日). 2019年11月19日閲覧。
- ^ Jeremy Binnie, “UAE, Saudi Arabia operating Chinese UAVs over Yemen”, IHS Jane's 360, 17 December 2015
- ^ “Première apparition officielle des CH 3A et CH 4B en Algérie”. MENADEFENSE (2018年10月30日). 2019年11月19日閲覧。
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- ^ “内地打击无人机“彩虹四号”挂弹试飞实弹打靶(图)” (中国語). 鳳凰網. (2014年8月31日). http://news.ifeng.com/a/20140831/41803521_0.shtml
- ^ “Algeria unveils Chinese UAVs”. ジェーン・ディフェンス・ウィークリー (2018年10月30日). 2019年10月10日閲覧。
- ^ “For the First Time, Chinese UAVs Are Flying and Fighting in the Middle East”. Popular mechanics (2015年12月22日). 2019年10月10日閲覧。
- ^ “中国无人机热销:埃及刚列装翼龙 又成彩虹5首个客户”. 新浪 (2018年2月4日). 2019年10月10日閲覧。
- ^ a b “China Has Already Won the Drone Wars”. Foreign Policy (2018年5月10日). 2019年10月10日閲覧。
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- ^ “Jordan puts Chinese UAVs on sale”. ジェーン・ディフェンス・ウィークリー (2019年6月4日). 2019年10月10日閲覧。
- ^ “China, Pakistan to Co-Produce 48 Strike-Capable Wing Loong II Drones”. The Diplomat (2018年10月9日). 2019年11月21日閲覧。
- ^ “China helps Iraq military enter drone era”. BBC (2015年10月12日). 2019年10月10日閲覧。
- ^ “China’s armed CH-3 drone spotted in Myanmar”. Defence Blog (2016年5月31日). 2019年10月10日閲覧。
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- ^ “[VIDEO Na Batajnici prikazane kineske izviđačko-borbene bespilotne letelice CH-92A, kupljeno 6 letelica sa 18 raketa]” (4 July 2020). Tango Six. 6 July 2020閲覧。
- ^ “RTS :: Politika :: Vučević: Vojna saradnja sa Kinom modernizuje odbrambene kapacitete VS”. www.rts.rs. 2023年10月25日閲覧。