大橋 貴洸(おおはし たかひろ、1992年9月22日 - )は、将棋棋士。所司和晴七段門下。棋士番号は308[1]。関西本部所属[2][3]。國學院高等学校卒業[4]。
棋歴
プロ入りまで
和歌山県新宮市で生まれ、幼稚園入園前に東京に転居した。小学4年生の時に父と共に将棋を覚える[5]。八王子将棋クラブに通い、1年少々でアマ五段になり、研修会に入会[6][7]。研修会在籍中はアマ大会で活躍した[8][9]。
2006年9月、中2のときに研修会A2から奨励会6級に編入。編入後4年で三段となった[5]。入会当初は関東奨励会所属であったが、三段リーグ4期目の2012年に関西奨励会に移籍[6]。この移籍について「高校卒業以降、勝ったり負けたりが続き、成績が上向くきっかけを模索していた。その中で何か掴めればいいなと思った」「関西で活躍する若手棋士も多く、それを肌で感じてみたい気持ちがあった」と2018年のインタビューで明かしている[5]。以降、棋士となった現在に至るまで関西に所属している。
三段リーグには第48回(2010年下期)から参加[10]、当初5期は指し分けもしくは負け越しが続いたものの、第53回(2013年上期)で10勝8敗と初の勝ち越し。第54回(2013年下期)では、星野良生、宮本広志、梶浦宏孝と並ぶ13勝5敗の好成績を挙げ、順位の差で昇段は逃すも次点(1回目)となる[11]。順位1位で臨んだ第55回(2014年上期)は最終日まで昇段の目があったが、17-18回戦を連敗し11勝7敗で終わる[12]。
2015年、関西奨励会トーナメントで準優勝[13]。同年の第46期新人王戦で決勝三番勝負に進出し(対菅井竜也)に進出し、奨励会三段として2人目の優勝及び次点獲得(2回目の次点獲得により、フリークラスでの四段昇段の権利を得る)が懸かっていたが、先勝するも2連敗し準優勝に終わる[14]。
第58回三段リーグ(2015年下期)では14勝4敗の都成竜馬が成績1位となり、12勝6敗で井出隼平・佐々木大地・大橋と石川優太の4人が並んだが、順位の差により井出が成績2位で昇段、成績3位の佐々木が2回目の次点獲得により四段昇段(フリークラス編入)[15]、大橋は成績4位だった。
二度目の順位1位で臨んだ第59回三段リーグ(2016年上期)は、藤井聡太が13勝5敗、大橋を含めて5名が12勝6敗で並ぶ混戦となったが、順位1位の大橋が成績2位で四段昇段を決めた[1][16]。
プロ入り後
2016年10月1日付で四段昇段。同期昇段は藤井聡太。
第68回(2018年度)NHK杯戦予選で牧野光則・平藤眞吾・都成竜馬に勝ち本戦へ初出場。本戦でも1回戦で順位戦A級の三浦弘行に勝利。2回戦で同じく順位戦A級の豊島将之に敗れた。
第31期竜王戦(2018年度)6組ランキング戦・準決勝で上村亘に勝ち、5組昇級を決めた。(決勝で都成竜馬に敗れ、本戦出場には至らなかった。)
2018年8月19日、第3回YAMADAチャレンジ杯で、黒沢怜生(準決勝)と近藤誠也(決勝)に勝ち、初の棋戦優勝をした。
2018年10月20日、第8期加古川青流戦でも梶浦宏孝に決勝で勝ち、優勝を決めた。
2019年7月31日、第61期王位戦予選で安用寺孝功に勝ち、五段に昇段[17]。
2019年10月23日、第32期竜王ランキング戦5組昇級者決定戦(対阿部光瑠六段)に勝ち、4組昇級とともに六段に昇段(竜王ランキング戦連続2回昇級による)。
2021年3月5日、第79期順位戦C級2組で佐藤慎一五段に勝ち、8勝2敗の成績でC級1組への昇級を決めた[18]。
2021年4月1日、耀龍四間飛車により第48回(2020年度)将棋大賞の升田幸三賞を受賞した[19]。
2022年3月8日、第80期順位戦C級1組で宮本広志五段に勝ち、9勝1敗の成績でB級2組への昇級を前期に続き2期連続で決めた[20]。
第70期王座戦挑戦者決定トーナメントでは1回戦で藤井聡太に勝利すると、千田翔太・石井健太郎にも勝ち自身初の挑戦者決定戦に駒を進めた。しかし豊島将之に敗れタイトル挑戦には届かなかった[21]。
2023年2月8日、第81期順位戦のB級2組9回戦で中川大輔に勝利し、最終局を待たずしてB級1組昇級を決め、七段に昇段した[22]。
棋風
- 居飛車寄りのオールラウンド・プレイヤー。得意戦法は横歩取り[1]。
- 序盤戦法において独創的な研究手を用いることが多く、接頭に「耀龍(ようりゅう)」とつけた戦法名で研究成果を書籍でも出版している(「耀龍」は大橋の造語で、「あらゆる駒を耀かせ、龍の舞を披露し勝利へ導く」を意味している[23])。耀龍を冠する戦法として、7八に銀を上げるひねり飛車である「耀龍ひねり飛車」[24]と、片美濃囲いではなく、玉を3八にして右金を上げる四間飛車を「耀龍四間飛車」がある[25]。後者は第48回将棋大賞(2020年度)の升田幸三賞を受賞している[19]。
人物
- プロ入り前の奨励会員時代から、対局時に着るスーツにこだわりを持つ。奨励会三段であった2016年2月時点の報道では、グリーンのスーツが「勝負服」であった[7]。「高校を卒業して制服を着なくなった時期で『勝負服』という意味合いでスーツを着用しようと思った」と語っている[26]。
- 2016年10月にプロ入りしてからは、対局時の独特のスーツが話題を呼んでいる[27]。
- 目立つ出で立ちに反し、非常におとなしい性格[28]。字が上手で「青の絆」など、他棋士と異なる独特の揮毫をする[29]。
- 2021年12月18日、オリジナルチョコレート"TAKAHIRO OHASHI CHOCOLATE"を期間限定発売した[26][30]。
- 國學院高等学校の先輩である佐藤康光よりABEMAトーナメント2023年大会(第6回)ドラフト指名された[4][31]。
昇段履歴
主な成績
棋戦優勝
将棋大賞
- 第46回(2018年度) 新人賞[32]
- 第48回(2020年度) 升田幸三賞[19]
在籍クラス
順位戦・竜王戦の在籍クラスの年別一覧
開始 年度
|
(出典)順位戦
|
(出典)竜王戦
|
期
|
名人
|
A級
|
B級
|
C級
|
0
|
期
|
竜王
|
1組
|
2組
|
3組
|
4組
|
5組
|
6組
|
決勝 T
|
|
1組
|
2組
|
1組
|
2組
|
2016
|
75
|
四段昇段前
|
30
|
|
|
|
|
|
|
6組
|
--
|
5-2
|
2017
|
76
|
|
|
|
|
|
C246
|
8-2
|
31
|
|
|
|
|
|
|
6組
|
--
|
5-1
|
2018
|
77
|
|
|
|
|
|
C204
|
7-3
|
32
|
|
|
|
|
|
5組
|
|
--
|
5-1
|
2019
|
78
|
|
|
|
|
|
C210
|
8-2
|
33
|
|
|
|
|
4組
|
|
|
--
|
2-2
|
2020
|
79
|
|
|
|
|
|
C205
|
8-2
|
34
|
|
|
|
|
4組
|
|
|
--
|
2-2
|
2021
|
80
|
|
|
|
|
C131
|
|
9-1
|
35
|
|
|
|
|
4組
|
|
|
0-1
|
5-0
|
2022
|
81
|
|
|
|
B220
|
|
|
9-1
|
36
|
|
|
|
3組
|
|
|
|
--
|
3-2
|
2023
|
82
|
|
|
B111
|
|
|
|
7-5
|
37
|
|
|
|
3組
|
|
|
|
--
|
0-2
|
2024
|
83
|
|
|
B106
|
|
|
|
|
38
|
|
|
|
|
4組
|
|
|
--
|
|
順位戦、竜王戦の 枠表記 は挑戦者。右欄の数字は勝-敗(番勝負/PO含まず)。 順位戦の右数字はクラス内順位 ( x当期降級点 / *累積降級点 / +降級点消去 ) 順位戦の「F編」はフリークラス編入 /「F宣」は宣言によるフリークラス転出。 竜王戦の 太字 はランキング戦優勝、竜王戦の 組(添字) は棋士以外の枠での出場。
|
年度別成績
公式棋戦成績
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2016
|
6 |
2 |
4 |
0.3333 |
[35]
|
2017
|
58 |
46 |
12 |
0.7931 |
[36]
|
2018
|
53 |
37 |
16 |
0.6981 |
[37]
|
2019
|
52 |
38 |
14 |
0.7307 |
[38]
|
2020
|
39 |
27 |
12 |
0.6923 |
[39]
|
2016-2020 (小計)
|
208 |
150 |
58 |
|
|
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2021
|
34 |
22 |
12 |
0.6470 |
[40]
|
2022
|
42 |
30 |
12 |
0.7142 |
[41]
|
2023
|
30 |
16 |
14 |
0.5333 |
[42]
|
2021-2023 (小計)
|
106 |
68 |
38 |
|
|
通算
|
314 |
218 |
96 |
0.6942 |
[43]
|
2023年度まで
|
著書
脚注
関連項目
外部リンク
日本将棋連盟所属棋士 ( 現役棋士 および 2024年度引退棋士) |
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タイトル 保持者 【九段 6名】 【七段 1名】 |
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九段 【26名】 | |
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八段 【33名】 | |
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七段 【45名】 | |
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六段 【27名】 | |
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五段 【21名】 | |
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四段 【15名】 | |
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2024年度 引退棋士 |
- 九段 青野照市 (2024年6月13日 引退)
- 八段 室岡克彦 (2024年6月18日 引退)
- 八段 中座真 (2024年6月19日 引退)
- 七段 伊奈祐介 (2024年5月10日 引退)
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現役棋士 全174名(2024年11月6日時点、日本将棋連盟所属) / △は2024年度の昇段 / 引退棋士の()は引退日 / 詳細は将棋棋士一覧を参照 |
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竜王 | |
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1組 (定員16名) | |
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2組 (定員16名) | |
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3組 (定員16名) | |
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4組 (定員32名) | |
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5組 (定員32名) | |
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6組 (参加70名) |
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★挑戦者 / △次期昇級 / ▼次期降級 / 初 初参加棋士(棋士として初参加) / 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照。 |
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名人 | |
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A級 | |
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B級1組 | |
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B級2組 | |
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C級1組 | |
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C級2組 | |
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フリー クラス
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| 宣言 | |
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棋戦限定 出場 | |
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2024年度 引退者 |
- 伊奈祐介 (2024年5月10日 引退)
- 青野照市 (2024年6月13日 引退)
- 室岡克彦 (2024年6月18日 引退)
- 中座真 (2024年6月19日 引退)
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次期から の出場者
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フリークラスからの昇級者 | |
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2024年10月1日昇段者 | |
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先頭の数字は順位(名人、フリークラス以外)/ フリークラスの数字は在籍可能残り年数(2024年度開始時点) B級2組 - C級2組の * は降級点の数(B級2組・C級1組は降級点2回で降級、C級2組は降級点3回で降級) 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照 |
一般棋戦優勝 2回 |
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2010年代 | |
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関連項目 | |
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タイトル戦経験者は除く五段以下でプロ入り15年以下の棋士などが参加。第2回まで棋戦名は「上州YAMADAチャレンジ杯」 |
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2010年代 | |
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2020年代 | |
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関連項目 | |
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四段の棋士・三段リーグ上位者・女流棋士・アマチュアが参加。 |
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将棋大賞 |
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1970年代 | |
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1980年代 | |
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1990年代 | |
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2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
前年度の活躍が対象 |
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1990年代 | |
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2000年代 | |
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2010年代 | |
---|
2020年代 | |
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前年度の活躍が対象。< >は特別賞。 |
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