小倉 久史(おぐら ひさし、1968年5月15日 - )は、将棋棋士。棋士番号は188。東京都出身。中原誠十六世名人門下。
棋歴
初挑戦となった1988年前期の三段リーグを16勝2敗で1位通過、20歳でプロデビュー。中原の弟子の中で、最も早くプロになった。小倉に土をつけた屋敷伸之が2位で小倉と同様三段リーグ1期抜けを果たしたが、第1回を除くと三段リーグ初挑戦者によるワンツーフィニッシュは2023年9月に至るまでこの時が唯一であり、三段リーグ1期抜けも両者のほかには第12回(1992年度後期)で川上猛、第24回(1998年度後期)で松尾歩、第53回(2013年度前期)で三枚堂達也、第59回(2016年度前期)で藤井聡太、第71回(2022年度前期) で齊藤裕也が達成しただけである。
プロ入り後
1993年度、第6期竜王戦の6組ランキング戦で準優勝し、5組へ初昇級を果たした。
1994年、新人王戦でベスト4進出。
1995年度、第36期王位戦で初の王位リーグを果たしたが、白組で5戦全敗に終わった。
1996年度、順位戦8期目にして、10戦全勝でC級1組への昇級を果たした。残り1局の時点で昇級が決まっていたが、10勝目は亡き母に捧げる1勝であったという[1]。
2003年度は、第44期王位戦で2回目のリーグ入り。羽生善治、渡辺明を破る活躍を見せたが、リーグ残留には失敗した。
2006年度、第19期竜王戦にて3連敗を喫し、6組へ降級したが、翌期の第20期竜王戦にて6組の昇級者決定戦を制し、即座に5組へ復帰した。
2008年度の第66期順位戦と、翌年度の第67期順位戦で苦戦。結果、2期連続で降級点を喫したため、C級2組へ陥落となった。
2011年度は第24期竜王戦にて3連敗を喫し、再び6組へ降級したが、翌期の第25期竜王戦にて6組の昇級者決定戦を制し、2回目の5組復帰に成功した。
2013年度は第71期順位戦で苦戦し、C級2組で1回目の降級点となった。そして2015年度の第73期順位戦でも成績が振るわず2回目の降級点を喫した。また、第28期竜王戦では5組残留決定戦で大平武洋に敗れ、3度目の6組降級となった。
そして2016年度(第74期順位戦)でも苦戦が続き、3回目の降級点が付いたため、フリークラスへの陥落となった。
一方、同年度の早指し棋戦では強さを発揮。第66回のNHK杯将棋トーナメント予選決勝で佐々木慎六段を破り、本戦へ出場。1回戦では、橋本崇載八段に敗れた。
その後も苦戦が続いていたが、2021年度は一転して好調となり、年度単位で12勝11敗の成績を収めた(6年度振りの2桁勝利数と、9年度振りの勝ち越し、という成績だった)。
棋風
- 振り飛車を得意とし、特に積極的に攻める「下町流[2]」と命名した三間飛車を多く採用する。
人物
- 小学6年生のとき(1979年)、新宿の小田急デパートで開かれた第一回小田急将棋まつりの小学生大会で決勝戦まで勝ち進んだが、2歳年下の羽生善治に敗れ準優勝だった。2017年10月5日、ニコニコ生放送に叡王戦の解説として出演した際、リスナーからこの時の戦型を質問され、「はっきり覚えてますよ。羽生さんの左美濃で5七銀が4六にあがる当時流行していた急戦。終盤逆転されてしまったが、いい将棋だった」と語った。この大会には森内俊之も出場(羽生に敗れ3位)している[3]。
- 2008年1月現在、羽生善治に勝ち越している数少ない棋士の一人[4]。
- 競馬、麻雀が趣味。競馬では、自分が好きな馬に、1レースに百万単位の金を賭けたことがある[1]という情報があったが、2017年10月5日、ニコニコ生放送に叡王戦の解説として出演した際、これは間違いで、正しくは一万円が五十万円くらいになったことがある程度であると訂正した。
- 「下町流」を生んだ東京都江東区の多くの小学校で、将棋教室や指導などを二十年以上にわたり行なっている[5]。近年はさらに、師匠ゆかりの宮城県にも活動拠点を広げ、タイトル戦などでは仙台会場で大盤解説をすることが多い[注 1]。
弟子
棋士となった弟子
名前 |
四段昇段日 |
段位、主な活躍
|
山本博志 |
2018年4月1日
|
五段
|
(2023年4月17日現在)
昇段履歴
- 1982年00月00日:6級 = 奨励会入会
- 1986年00月00日:初段
- 1988年10月01日:四段 = プロ入り
- 1992年10月28日:五段(勝数規定/公式戦100勝)
- 1998年05月20日:六段(勝数規定/五段昇段後公式戦120勝)
- 2005年10月24日:七段(勝数規定/六段昇段後公式戦150勝)[6]
- 2022年04月01日:八段(フリークラス規定)[7]
主な成績
在籍クラス
年度別成績
公式棋戦成績
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
1988
|
16 |
12 |
4 |
0.7500 |
[10]
|
1989
|
49 |
26 |
23 |
0.5306 |
[11]
|
1990
|
39 |
21 |
18 |
0.5385 |
[12]
|
1988-1990 (塁計)
|
104 |
59 |
45 |
|
|
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
1991
|
40 |
23 |
17 |
0.5750 |
[13]
|
1992
|
46 |
30 |
16 |
0.6522 |
[14]
|
1993
|
37 |
22 |
15 |
0.5946 |
[15]
|
1994
|
38 |
23 |
15 |
0.6053 |
[16]
|
1995
|
39 |
21 |
18 |
0.5385 |
[17]
|
1996
|
41 |
28 |
13 |
0.6829 |
[18]
|
1997
|
29 |
11 |
18 |
0.3793 |
[19]
|
1998
|
41 |
29 |
12 |
0.7073 |
[20]
|
1999
|
38 |
19 |
19 |
0.5000 |
[21]
|
2000
|
34 |
16 |
18 |
0.4706 |
[22]
|
1991-2000 (小計)
|
383 |
222 |
161 |
|
|
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2001
|
40 |
24 |
16 |
0.6000 |
[23]
|
2002
|
38 |
25 |
13 |
0.6579 |
[24]
|
2003
|
35 |
16 |
19 |
0.4571 |
[25]
|
2004
|
25 |
12 |
13 |
0.4800 |
[26]
|
2005
|
36 |
18 |
18 |
0.5000 |
[27]
|
2006
|
26 |
12 |
14 |
0.4615 |
[28]
|
2007
|
30 |
12 |
18 |
0.4000 |
[29]
|
2008
|
33 |
18 |
15 |
0.5455 |
[30]
|
2009
|
32 |
16 |
16 |
0.5000 |
[31]
|
2010
|
33 |
16 |
17 |
0.4848 |
[32]
|
2001-2010 (小計)
|
328 |
169 |
159 |
|
|
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2011
|
27 |
11 |
16 |
0.4074 |
[33]
|
2012
|
35 |
19 |
16 |
0.5429 |
[34]
|
2013
|
27 |
11 |
16 |
0.4074 |
[35]
|
2014
|
25 |
5 |
20 |
0.2000 |
[36]
|
2015
|
28 |
11 |
17 |
0.3929 |
[37]
|
2016
|
17 |
6 |
11 |
8.3529 |
[38]
|
2017
|
17 |
5 |
12 |
0.2941 |
[39]
|
2018
|
13 |
2 |
11 |
0.1538 |
[40]
|
2019
|
19 |
9 |
10 |
0.4737 |
[41]
|
2020
|
16 |
4 |
12 |
0.2500 |
[42]
|
2011-2020 (小計)
|
224 |
83 |
141 |
|
|
年度 |
対局数 |
勝数 |
負数 |
勝率 |
(出典)
|
2021
|
23 |
12 |
11 |
0.5217 |
[43]
|
2022
|
20 |
9 |
11 |
0.4500 |
[44]
|
2023
|
16 |
4 |
12 |
0.2500 |
[45]
|
2021-2023 (小計)
|
59 |
25 |
34 |
|
|
通算
|
1098 |
558 |
540 |
0.5081 |
[46]
|
2023年度まで
|
著書
- 『振り飛車党宣言!(1)四間飛車』(1993年11月、文庫版は2003年7月、毎日コミュニケーションズ)杉本昌隆、藤井猛との共著
- 『振り飛車党宣言!(3)居飛車穴熊対策』(1994年5月、文庫版は2003年9月、毎日コミュニケーションズ)同上
- 『振り飛車党宣言!(4)四間飛車対左美濃』(1994年12月、毎日コミュニケーションズ)同上
- 『小倉流向かい飛車の極意』(2003年9月、毎日コミュニケーションズ)
- 『下町流三間飛車~居飛穴攻略の新研究』(2006年4月、毎日コミュニケーションズ)
- 『三間飛車新時代』(2017年10月、マイナビ将棋BOOKS)弟子の山本博志との共著
脚注
注釈
出典
関連項目
外部リンク
日本将棋連盟所属棋士 ( 現役棋士 および 2024年度引退棋士) |
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タイトル 保持者 【九段 6名】 【七段 1名】 |
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九段 【26名】 | |
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八段 【33名】 | |
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七段 【44名】 | |
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六段 【27名】 | |
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五段 【20名】 | |
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四段 【15名】 | |
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2024年度 引退棋士 |
- 九段 青野照市(2024年6月13日引退)
- 八段 室岡克彦(2024年6月18日引退)
- 八段 中座真(2024年6月19日引退)
- 七段 伊奈祐介(2024年5月10日引退)
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現役棋士 全172名(2024年7月23日時点、日本将棋連盟所属) / △は2024年度の昇段 / 引退棋士の()は引退日 / 詳細は将棋棋士一覧を参照 |
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竜王 | |
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1組 (定員16名) | |
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2組 (定員16名) | |
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3組 (定員16名) | |
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4組 (定員32名) | |
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5組 (定員32名) | |
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6組 (参加70名) |
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★挑戦者 / △次期昇級 / ▼次期降級 / 初 初参加棋士(棋士として初参加) / 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照。 |
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名人 | |
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A級 | |
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B級1組 | |
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B級2組 | |
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C級1組 | |
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C級2組 | |
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フリー クラス
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| 宣言 | |
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棋戦限定 出場 | |
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2024年度 引退者 |
- 伊奈祐介(2024年05月10日 引退)
- 青野照市(2024年06月13日 引退)
- 室岡克彦(2024年06月18日 引退)
- 中座真(2024年06月19日 引退)
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先頭の数字は順位(名人、フリークラス以外)/ フリークラスの数字は在籍可能残り年数(2024年度開始時点) B級2組 - C級2組の * は降級点の数(B級2組・C級1組は降級点 2で降級、C級2組は降級点 3で降級) 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照 |
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