2000年ドイツグランプリ(2000 German Grand Prix)は、2000年のF1世界選手権第11戦として、2000年7月30日にホッケンハイムリンクで開催された。
予選
レースウィークのホッケンハイムは連日雨にたたられ、予選もその影響を受けた。予選開始早々ルーベンス・バリチェロは電気系トラブルのためストップしたが、スペアカーはフリー走行でクラッシュしたシューマッハが使っていたため、レースカーを修復して走る羽目になった。残り時間が少ない中予選落ちの可能性もあったが、辛うじて107%タイムを回避し18番手に滑り込んだ。
ポールポジションはデビッド・クルサードが獲得。コースコンディションが良いタイミングでアタックしたジャンカルロ・フィジケラが、3番手タイムを記録した。前戦オーストリアGPで一時3位を走行したペドロ・デ・ラ・ロサは自己最高の5番グリッドを獲得した。なお地元のハインツ=ハラルド・フレンツェンはシケイン不通過で自己ベストタイムが抹消され、17番手に沈んだ。
結果
決勝
決勝はドライコンディションで始まったが、サーキット上空に黒雲が近づいており、レース中の降雨が予想された。16番グリッドのジェンソン・バトンはフォーメーションラップに出遅れ、最後尾スタートとなった。
スタートでは4番グリッドのミカ・ハッキネンが絶妙な加速をみせ、トップに躍り出た。ポールポジションのデビッド・クルサードは隣のミハエル・シューマッハの動きを牽制。シューマッハはアウト側に進路を変えたが、後方から来たジャンカルロ・フィジケラと接触してダブルリタイアとなった。シューマッハはこれで2戦連続0周リタイアとなり、マシンを降りるとフィジケラに怒りのゼスチャーを見せた。
その後、マクラーレンのハッキネンとクルサードがワン・ツー走行で3位以下を引き離していく。後方では18番手スタートのルーベンス・バリチェロが通常の1ストップ作戦ではなく2ストップ作戦を選択し、燃料が軽いマシンで一気にポジションを挽回。3位まで浮上したあと、17周目に最初のピットストップを行い、5位でレースに復帰した。同様の作戦を採ったハインツ=ハラルド・フレンツェンも6位まで順位を上げた。
レース展開は一旦落ち着くが、25周目に予期せぬハプニングが起こる。1コーナー先のコースサイドに不審者が入り込み、コース上を横切るという危険な行為をとったため、急遽セーフティカーが導入された(身柄を拘束された不審者は、メルセデス・ベンツを解雇された元従業員だったことが判明する)。各車はこのタイミングで一斉にピットストップを行うが、マクラーレン勢は10秒のリードが帳消しになった上に、クルサードはピットインが1周遅れたため2位から6位へポジションを落とした。一方、バリチェロとフレンツェンは2回目のピットストップを上手く合わせ込み、それぞれ3位と5位の好位置をキープした。29周目にレース再開となるが、ペドロ・ディニスがジャン・アレジと接触してタイヤを飛ばし、再びセーフティーカーが出動した。
2度目のリスタート後、サーキット西側で強い雨が降り始め、第3シケインからインフィールドセクション、ホームストレートにかけてはずぶ濡れだが、森の中のストレート区間は乾いたままという状況になった。35周目、先頭のハッキネンと2位ヤルノ・トゥルーリがピットでレインタイヤに履き替えるが、3位のバリチェロはドライタイヤのまま走り続けて首位に立つ。終盤はハッキネンに追い上げられたが、難しい路面状況での粘りが実を結び、そのままトップチェッカーを受けた。フレンツェンも同じくレースを盛り上げたが、ハッキネンに抜かれた直後にマシントラブルのためストップした。
バリチェロはF1デビュー8年目、出走124戦目[1]での初優勝。この時点ではもっとも遅い初優勝記録となり[2]、表彰台ではブラジル国旗を手に男泣きした。新人バトンは最後尾スタートから自己ベストの4位まで挽回してみせた。
結果
- ファステストラップ:バリチェロ 1分44秒300 (LAP 20)
- ラップリーダー:ハッキネン (LAP 1-25)、クルサード (LAP 26-27)、ハッキネン (LAP 28-35)、バリチェロ (LAP 36-45)
脚注
関連項目